僕の尊敬する人へ

奇妙

「最近物騒で怖いな…」

心にも思っていない言葉が口から漏れる。


だが、物騒なのは確かだった。飛び降り自殺から1週間がたった頃、今度は教員が死んだ。国語担当の笹井先生だ。生徒からも信頼されており、評判も悪くなかった。


なのになぜ？


しかも、こんな立て続けに自殺などありえない。嫌な予感がした。坂井湊は、自身の勘だけには頑固たる自信があったからだ。今までこの勘に何度も助けられ、だからこその自信だった。

嫌な予感の主な理由は笹井先生の死に方だった。


首から上がなくなっていたのだ。


噂によると、笹井先生は、猟銃を自身の口に入れ、弾を放った。猟銃の弾の勢いでだろう。首から上は吹き飛び原型とどめなかった。それを、朝登校してきた生徒が教室で発見したらしい。あたりは血の海になっていたそうだ。

考えただけでも恐ろしい。だが、本当にこんなことを笹井先生がするだろうか。そして、ここまでする理由は…？


もしや、これは自殺ではなく殺人？


考えれば考えるほど恐ろしい考えが浮かんでいく。自分の疑問を確かめる方法はないのに。

このまま見て見ぬふりをしておけば自分は巻き込まれずに済むだろう。深追いはしてはいけない。


 
きっとこの自殺の連鎖は続く
湊の勘が、そう告げていた。