ぼくらのごはん

1000

文字の大きさ
上 下
39 / 42

39 ママに

しおりを挟む
「おい!シルヴィア!ベランダで何してるんだよ!体が冷えるぞ!」
そう言ってきたのは侯爵家の三男のオスカー・ブライスだ。

彼はルイスの親友だ。
学園生活では彼も一緒に4人で楽しんでた仲だった。
彼はちょっと言葉遣いが荒いとこがある。
なんでも小さい頃よく平民と絡んでたとか。
貴族としてはあるまじき行為だけど、前世の記憶がある私からしたら親しみやすい人だ。

「ええ、ごめんなさい。今入ろうと思ったとこよ。」

「ん?なんか顔色悪いぞ?大丈夫か?」

「大丈夫よ。さぁ早く中に入りましょう。」

「っちょ。押さなくてもいいだろ…!?」

「…」



彼も気付いてしまった。ルイス達が密会してることを…



「…中に入るぞ。」

「え、ええ」

オスカーと私は会場の中に入った。



________________

「はい…」

私達が会場の隅っこに到着した時、オスカーは私にハンカチを渡してくれた。

「涙の跡がある。これで拭いてろ。」

「え、ええ。ありがとう。」

私は渡されたハンカチで涙を拭いた。

「新しいハンカチを贈り返すわ。」

「いいよ。いらん。男として泣いてる女が居たら心配するのは当たり前だ。もしそれが知り合いなら余計な。」

「あら、嫌だわ。私は恩をちゃんと返す人よ。お礼をさせてちょうだい。」

「ふ、そうだったな。じゃあ楽しみにしとく。」

「ええ。そうして。」

「…」

「…」

話が続くこと無く、2人は無言になってしまった。

(やっぱり話さないといけないのかしら…。オスカーは頑固だから、話逸らしても意味ないわね…)


「何か飲み物持ってくる。」

「え、いえ、大丈夫よ。要らないわ。」

「いや!持ってくる。」

そう言ったオスカーはさっさと飲み物が置かれてるテーブルに行った。

(ちょっとでも落ち着かせる為に持ってきてくれるのかしら?)


「はい。飲み物」

「え、ええ。ありがとう。」

オスカーは飲み物をくれた。


私達は淡々と飲み物を飲んでた。ちょうど飲み物を飲み終わった時、オスカーが話を切り出した。



「で、どうするんだ?」

「え?」

「ルイスの事だよ。まさか噂は本当とはな。」

「…」

「復讐でもするのか?」

「え…」


復讐なんて考えても見なかった。
これから私はどう生きようかで頭がいっぱいだった。


(自分のことしか考えられないなんて… 私って薄情ね。)


「いいえ、しないわ。」

「は!? 悔しくないのかよ!」

「あら、オスカー。あなた一応ルイスの親友でしょ?ルイスの身を案じないの?」

「それとこれは違うだろ!この件は完全にルイスが悪い。」

「復讐はしないわ。だって意味ないもの。」


そう。復讐は意味ない。復讐はただ行き場のない気持ちを何かに当たって気を晴らす行為。ただの八つ当たりで、自己満足だ。時間の無駄に過ぎない。


「でもちゃんと責任は取らせるわ。」

「ほう。」

「心配してくれてありがとう。」

「!? べ、別にこんぐらい大したことねぇよ。俺ら友達だろ?」

「ふふ、そうね。」


(オスカーと喋ってたらしょんぼりしてた気持ちが薄れてきたわ。)

そう思いながら会場を見渡した。会場は私とは反して煌びやかで賑やかだった。



「あ、あのさ「オスカー、私、ルイスと婚約破棄しようと思うの。」」

「へ?」

「私とルイスは政略結婚だけど、信用できないパートナーと一生一緒に生きれるとは思わないの。」

そう貴族の結婚は信頼で成り立ってる。だって信頼出来ない人と事業なんて出来ないでしょ?


「だから私、パーティの途中だけど帰ろうと思うの。」


そう私の未来の為に決断しないと。その為に色々準備が必要ね。

「…ああ。それがいい。だが、何かする前に休めよ。顔色が悪いぞ。」

「あら、レディに対して失礼よ。」

「準備万端の時に戦った方がいいだろ。お前の為に言ってるんだ。」

「別に戦いに行くんじゃないのよ。話し合いをするのよ。」

「それは余計に頭を使いそうだな。やっぱり休息は今のお前には必要だな。」

「ふふ。そうね。」


オスカーは心配性ね。まだ友人は捨てたもんじゃないわね。


「…シルヴィア、忘れるなよ。」

「ん?何をかしら?」

「俺は何があってもお前の味方だ。」

「…。ふふ。その口説き文句は好きな人に言うべきよ。」

「!? い、いや、俺は別にく、口説く為に言ったわ、わけじゃない!」


(ふふ。でもありがとうオスカー。今の私にとってその言葉は救いだわ。本当に感謝するわ。ありがとう。)


「じゃあ、行ってきます。」

「おう、頑張れ。」


そして私はパーティ会場から出た。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

盲目魔女さんに拾われた双子姉妹は恩返しをするそうです。

桐山一茶
児童書・童話
雨が降り注ぐ夜の山に、捨てられてしまった双子の姉妹が居ました。 山の中には恐ろしい魔物が出るので、幼い少女の力では山の中で生きていく事なんか出来ません。 そんな中、双子姉妹の目の前に全身黒ずくめの女の人が現れました。 するとその人は優しい声で言いました。 「私は目が見えません。だから手を繋ぎましょう」 その言葉をきっかけに、3人は仲良く暮らし始めたそうなのですが――。 (この作品はほぼ毎日更新です)

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

王女様は美しくわらいました

トネリコ
児童書・童話
   無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。  それはそれは美しい笑みでした。  「お前程の悪女はおるまいよ」  王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。  きたいの悪女は処刑されました 解説版

がらくた屋 ふしぎ堂のヒミツ

三柴 ヲト
児童書・童話
『がらくた屋ふしぎ堂』  ――それは、ちょっと変わった不思議なお店。  おもちゃ、駄菓子、古本、文房具、骨董品……。子どもが気になるものはなんでもそろっていて、店主であるミチばあちゃんが不在の時は、太った変な招き猫〝にゃすけ〟が代わりに商品を案内してくれる。  ミチばあちゃんの孫である小学6年生の風間吏斗(かざまりと)は、わくわく探しのため毎日のように『ふしぎ堂』へ通う。  お店に並んだ商品の中には、普通のがらくたに混じって『神商品(アイテム)』と呼ばれるレアなお宝もたくさん隠されていて、悪戯好きのリトはクラスメイトの男友達・ルカを巻き込んで、神商品を使ってはおかしな事件を起こしたり、逆にみんなの困りごとを解決したり、毎日を刺激的に楽しく過ごす。  そんなある日のこと、リトとルカのクラスメイトであるお金持ちのお嬢様アンが行方不明になるという騒ぎが起こる。  彼女の足取りを追うリトは、やがてふしぎ堂の裏庭にある『蔵』に隠された〝ヒミツの扉〟に辿り着くのだが、扉の向こう側には『異世界』や過去未来の『時空を超えた世界』が広がっていて――⁉︎  いたずら好きのリト、心優しい少年ルカ、いじっぱりなお嬢様アンの三人組が織りなす、事件、ふしぎ、夢、冒険、恋、わくわく、どきどきが全部詰まった、少年少女向けの現代和風ファンタジー。

ボクんちの先生。もとい、先生んちのボク。

紫 李鳥
児童書・童話
先生には、ある口癖があります。さて、それはなんでしょう?

老犬ジョンと子猫のルナ

菊池まりな
児童書・童話
小さな町の片隅で、野良猫が子猫を生み、暖かく、安全な場所へと移動を繰り返しているうちに、一匹の子猫がはぐれてしまう。疲れきって倒れていたところを少年が助けてくれた。その家には老犬のジョンがいた。

ローズお姉さまのドレス

有沢真尋
児童書・童話
最近のルイーゼは少しおかしい。 いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。 話し方もお姉さまそっくり。 わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。 表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成

【完結】魔法道具の預かり銀行

六畳のえる
児童書・童話
昔は魔法に憧れていた小学5学生の大峰里琴(リンコ)、栗本彰(アッキ)と。二人が輝く光を追って最近閉店した店に入ると、魔女の住む世界へと繋がっていた。驚いた拍子に、二人は世界を繋ぐドアを壊してしまう。 彼らが訪れた「カンテラ」という店は、魔法道具の預り銀行。魔女が魔法道具を預けると、それに見合ったお金を貸してくれる店だ。 その店の店主、大魔女のジュラーネと、魔法で喋れるようになっている口の悪い猫のチャンプス。里琴と彰は、ドアの修理期間の間、修理代を稼ぐために店の手伝いをすることに。 「仕事がなくなったから道具を預けてお金を借りたい」「もう仕事を辞めることにしたから、預けないで売りたい」など、様々な理由から店にやってくる魔女たち。これは、魔法のある世界で働くことになった二人の、不思議なひと夏の物語。

処理中です...