器用貧乏の意味を異世界人は知らないようで、家を追い出されちゃいました。

武雅

文字の大きさ
上 下
104 / 121

よくわからない質問

しおりを挟む
「お、お前、その魔道具は城の宝物庫に保管していた時間停止のアイテムバックでは無いか!!! それがどんな物か分かってて他人に渡そうと言うのか!!!」

バールが手に持っていたカバンからアイテムバッグを見て今度は父親らしき人が激昂しだした。
って城の宝物庫ってどこかの国のお偉いさん?

「分かっているさ、家でする時に一杯荷物を入れて行く為に持ち出したんだ、これからも必要だけど命の恩人に対するお礼に渡して何が悪い!!」
「悪いに決まっているだろう!!! 我が国にも数える程しかない貴重な魔道具だぞ!!」

うわ~、今度はなんか自分へのお礼の品で親子喧嘩始まった…。
「あの~、親子で真面目なお話している所申し訳ないんですが、自分、時間停止のアイテムBOXが使えるのでアイテムバッグ必要無いんですけど…、ってバールさんは知ってますよね?」

喧嘩中の2人の仲裁に入る形で暗にアイテムバッグは要らないと匂わしたんだけど、今度はバールが怒りだした…。
「カツヒコさん!! 確かにアイテムBOXが使えるかもしれませんが持ってても困る物じゃないですよ!!! これはどの国も喉が出る程欲しがる魔道具、それを要らないって本当に価値を分かってますか?」

いや、価値は分かってるんだけど、カトレアの部屋にも大容量で時間停止のアイテムバッグが沢山あったからぶっちゃけ在庫抱えてる状態なんだよね…。

「バーリアム! 青年は要らんと言っているだろう、それに時間停止のアイテムBOXを使えるなら魔道具を持つ必要もないし礼なら俺から国に手紙を送り金を用意させる。 だからそのアイテムバッグを返せ!!」
「いや、一度お礼に渡すと言ったのですから今更はいそうですかと言って引き下がれる訳ないでしょ!!
ないでしょ!!」

「お父様!! お兄様!! そんなアイテムバッグごときはどうでもいいです!! 私はカツヒコに聞きたい事があるんですから邪魔しないでください!!!」
フーレイゼって呼ばれてるお姫様が一喝すると2人はビクッとして大人しくなった。
実は一番地位がたかいのか?

「フーレイゼちゃん、どうでもいいって言うけどあれは大切な魔道具で戦争になったり、大規模な魔物討伐の時に必要になる国宝みたいな物なんだよ」
「お父様、今まで無くなっているのに気が付かなかったような物が国宝って管理が甘すぎます!!」

「そ、それはそうなんだけど、国宝って一杯あるじゃん? 管理するって言っても常に確認してる訳じゃないし…」
「お父様!!! 危機管理がなってません!! 大切な物だからこそ定期的に確認する必要があるんです。 無くなったのに気が付かないでいざ必要な時に初めて無いのに気が付いてからでは遅いんです!! これからは宝物庫の中にあるものをリスト化して月に1回は確認してください!!」

「う、うむ、フーレイゼちゃんの言う通りだな…、さっそくそうさせよう」
「そうしてください!!」

「バーリアム! お前がマジックバックを勝手に持ち出すからフーレイゼちゃんに怒られたじゃないか!!!」
「知るか!! ちゃんと宝物庫の品を管理してなかった親父が悪いんだろ!! 人のせいにするなよ!!」

「お父様、お兄様、喧嘩は他所でやってください!! カツヒコは貴方ですね!!! 聞きたい事があります、ここではなんですからレストランで話をしましょう」
「いや、昨日初めて顔を見ただけの人に大罪人扱いされるのは困るのでお断りします!」

「昨日初めて顔を見たとかは関係ありません!! 拒むなら私の護衛に命令して縛り上げてでも連れてきてもらいます!!」
親も親なら子も子だ…。
まったく話が通じない。

カトレア達の方を見ると私達は関係ないって顔をし手をヒラヒラさせながら宿に入っていってしまった。
いや、自分が何をしたと言うの?

全く心当たりがないにも関わらず、何故か親子喧嘩のような物に巻き込まれ、自分が逃げないようにする為か、数人の護衛らしき人に囲まれながらレストランに向かう。
いや、連行されてると言うべきか…。
そして席につくと、フーレイゼと呼ばれた王女? は飲み物を人数分注文し、それが運ばれてくるまでの間、自分の顔を無言で凝視している。

それにしても、父親もそうだしバーム…じゃなくて本名はバーリアムだったか、なんで2人も普通に座ってこっち見てるの?
バーム、じゃなくてバーリアムは自分たちの事を命の恩人と思ってるから害意は無い感じだけど、フーレイゼって王女様の父親はすっごくこっちを睨んでるんだけど…。

暫く沈黙が続いた後、飲み物が届いたところでフーレイゼさんが口を開いた。
「あなた、カツヒコって言うのよね? 階段から落ちた事はあるかしら?」
「????、階段から落ちた事? ありますよ。 実家が村の中では裕福だったので平屋でなくて2階建ての家でしたし、朝寝ぼけて足を滑らして落ちたりしましたね。 痛かったって記憶に残ってますよ」

「そう、実家でね…。 それ以外は?」
「それ以外? 特に階段からは落ちてないですね、今の所、ダンジョンの階段で足を滑らしたことも無いし…」

「そう…、それ以外の意味が伝わった回答なのか伝わって無い回答なのか、まあいいわ、そう簡単に尻尾を出さない事は予測してたことだから」
「尻尾を出すって、何度も言いますけどフーレイゼさんとは昨日初めて顔を合わせたんですよ? 何が言いたいんですか?」

よくわからない質問をされ尻尾を出すとか出さないとか言われ若干不機嫌気味にそう言うと、フーレイゼは顔色一つ変えず自分の顔を凝視し続けてる。

なんなんだこの人…。
昨日初めて顔を見た程度しか認識の無い人に階段から落ちた事あるか訳わからない質問してくるし。
見た目は王女様? らしく身なりも良いし結構かわいい顔してるんだけど、何が言いたくて、何が聞きたいのか全く分からない。

マジ何なんだこの人…。


しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

だらだら生きるテイマーのお話

めぇ
ファンタジー
自堕落・・・もとい楽して生きたい一人のテイマーのお話。目指すのはスローライフ!

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~

夏芽空
ファンタジー
無茶な仕事量を押し付けられる日々に、聖女マリアはすっかり嫌気が指していた。 「聖女なんてやってられないわよ!」 勢いで聖女の杖を叩きつけるが、跳ね返ってきた杖の先端がマリアの顎にクリーンヒット。 そのまま意識を失う。 意識を失ったマリアは、暗闇の中で前世の記憶を思い出した。 そのことがきっかけで、マリアは強い相手との戦いを望むようになる。 そしてさらには、チート級の力を手に入れる。 目を覚ましたマリアは、婚約者である第一王子から婚約破棄&国外追放を命じられた。 その言葉に、マリアは大歓喜。 (国外追放されれば、聖女という辛いだけの役目から解放されるわ!) そんな訳で、大はしゃぎで国を出ていくのだった。 外の世界で冒険者という存在を知ったマリアは、『強い相手と戦いたい』という前世の自分の願いを叶えるべく自らも冒険者となり、チート級の力を使って、順調にのし上がっていく。 一方、マリアを追放した王国は、その軽率な行いのせいで異常事態が発生していた……。

冒険者パーティから追放された俺、万物創生スキルをもらい、楽園でスローライフを送る

咲阿ましろ
ファンタジー
とある出来事をきっかけに仲間から戦力外通告を突きつけられ、パーティを追放された冒険者カイル。 だが、以前に善行を施した神様から『万物創生』のスキルをもらい、人生が一変する。 それは、便利な家具から大規模な土木工事、果てはモンスター退治用のチート武器までなんでも作ることができるスキルだった。 世界から見捨てられた『呪われた村』にたどり着いたカイルは、スキルを使って、美味しい料理や便利な道具、インフラ整備からモンスター撃退などを次々とこなす。 快適な楽園となっていく村で、カイルのスローライフが幕を開ける──。 ●表紙画像は、ツギクル様のイラストプレゼント企画で阿倍野ちゃこ先生が描いてくださったヒロインのノエルです。大きな画像は1章4「呪われた村1」の末尾に載せてあります。(c)Tugikuru Corp. ※転載等はご遠慮ください。

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

処理中です...