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29階層の町、マイン
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29階層にある町、マインの中は石造りの家が立ち並び、鉱夫と思われる人や冒険者が行き来し、製鉄をしていると思われる建物などもある。
そして何より町を歩いて気が付いたけど、酒場と娼館が結構ある…。
恐らく鉱夫の為にある施設なんだろうけど、鉄の採掘ってそこまで儲かるのか?
そう思いながらも宿屋で部屋を確保した後、食堂のおばちゃんに質問をしたところ、29階層はこの町を拠点にそこら中に坑道が掘られていて、鉄だけでなく魔力を帯びた魔鉄も採れるらしく、鉱夫の給料もかなり良いらしい。
とはいえ、鉄や魔鉄が採れると言っても塊で採れる訳では無く、鉄や魔鉄が多く含まれた鉱石が良く採れるというだけで良い給料や利益が出る理由は、町に入って気付いた製鉄所と思われる場所の存在が影響しているとの事、どうやら迷宮が出来、ここで採掘が始まってからしばらくして完成した製鉄をおこなう魔道具があり、そこで製鉄しインゴットにして迷宮の外に販売をする事で通常より利益を出す事が出来ているらしい。
ただ、200年以上前の事なので誰が作ったのか、どういう構造なのかも分からず、魔道具製作者に管理を託された子孫8人が鉱夫の元締めとなり共同で管理してる。
話を聞く限り、かなりの量の鉱石を製鉄魔道具の投入口に入れると石と金属に分離され排出されるとの事だけど、製鉄魔道具自体が相当な熱を持っており、製鉄所は常に窓を開けていても暑いとの事で製鉄所勤務者も重労働だけど高給取りとの事だ。
酒場や娼館が多いのが頷ける…。
閉塞して娯楽が少ない空間だと酒を飲むか女を買うか、博打をするぐらいしかないもんね…。
「それにしても製鉄魔道具ね…。 私も聞いた事が無いけどもし構造を解明して複製出来たらかなりのお金になるかもね。 大量の炭を必要とする、たたら製鉄と違って魔力の供給を確保出来れば稼働できるから、とは言えこの魔道具を稼働させられればだけど…」
「この世界でもたたら製鉄って言葉があるんだ…。 因みに反射炉は?」
「反射炉? 聞いた事ないわね…」
「ああ~、150年前ぐらいに召喚者が伝え広めたって聞いたな…。 でもどちらにせよ木炭を大量に使用するみたいだけどな」
どうやら反射炉はすでに普及しているらしい…。
カトレアは墳墓のダンジョンの最下層につい最近まで居たから知らないのは当然と言えば当然か…。
「でも簡単に魔力供給って言っても相当魔力を消費するんじゃない?」
「でしょうね、ただ推測だけどこの町にある製鉄魔道具は迷宮の魔力を吸い上げて稼働してるわ、それも魔物が産まれる為に必要な魔力を消費し、鉱石などが産まれる魔力は消費しないように計算されてね」
「迷宮の魔力を吸い上げて? しかも魔物を生み出す魔力だけを消費? そんな事出来るの?」
「出来なくは無いわ。 この町の周辺には魔物が少ないのがその証拠よ、これだけ広い空間なんだから壁から魔物が産まれ続けても良いはずなのに魔物が異常に少ない。 という事はこの一帯から魔物が産まれる為の魔力が使われてるとしか考えられないのよ」
確かにカトレアの言う通り、マインの町がある空間には魔物が殆どおらず、大ネズミが数匹チョロチョロ俳諧しているだけだった。
でもそう考えると製鉄魔道具って相当魔力を消費するんじゃない? だとしたら構造を解析して複製出来ても実用的ではないな…。
むしろ売った後、詐欺扱いされそうだ…。
「それにしても鉱山があって鉄や魔鉄が産出されるのに鍛冶工房とかは無いんだね…」
「あ~、鍛冶工房や錬金工房、あと薬屋なんかは49層の町にあるらしいぞ、下層の方が消耗品は需要が高いからな」
「確かに、この辺の階層だったらCランク冒険者のパーティーで準備さえしっかりしてれば特に困る事は無いでしょうし、浅い階層に工房を作ってもね…」
ルイーズさんが仕入れた情報にカトレアの言葉に納得する。
確かにこの階層周辺で活動する多数の冒険者は大体Cランクパーティーの為、29層の町に工房を作っても予備の武器やポーション類が無くなったりしない限りは地上で購入したほうが安そうな気がする。
それに比べ49階層なら長期で迷宮探索する上級冒険者が良く利用するだろうし探索で得た素材や魔道具、財宝類なんかもあるから金回りもよさそうだ。
「なんか凄くこの迷宮内にある村や町は考えられて配置されてる?」
「まさか、そんな訳はないだろ…」
ルイーズさんが即座に否定するも、なんか凄く作為的な気がする。
村を作り食料を供給できる階層、町を作り探索の拠点に出来る階層、まだ57階層までしか攻略されていないらしいけど、その下の階層にも同じように村や町が作れる階層がありそうな気がする。
まあ、深い階層に村や町を作ってもそこまで深い階層に移住する人が居るかどうかだけど…。
そう思いつつ、宿の風呂で汗を流し、明日以降の打ち合わせをして休息を取る。
打合せって言っても、明日からまた49層にある町まで一気に進むことを確認しただけなんだけど…。
とは言え階層によっては珍しい果物が実る木が群生している階層や良質な肉と言われるスノーボアなど居る階層もあるらしいので、そういう階層では果物やボアなどを乱獲するとカトレアが宣言してた…。
そんなに果物とかボアとか乱獲って。
確かに乱獲しても絶滅はしないけど、生き物系は受肉して無いのを仕留めても魔石だけしか残らないし、仮に受肉してるのを全部仕留めたら他の人が困る気がするんだけど…。
あ~、どうやらカトレアもルイーズさんも、そしてリーズもそんなの関係ない! って顔してる。
後から階層に来て狩りをする人可哀そう。
仕留めても仕留めても得られるのは魔石だけって、心折れるんじゃないかな…。
そして何より町を歩いて気が付いたけど、酒場と娼館が結構ある…。
恐らく鉱夫の為にある施設なんだろうけど、鉄の採掘ってそこまで儲かるのか?
そう思いながらも宿屋で部屋を確保した後、食堂のおばちゃんに質問をしたところ、29階層はこの町を拠点にそこら中に坑道が掘られていて、鉄だけでなく魔力を帯びた魔鉄も採れるらしく、鉱夫の給料もかなり良いらしい。
とはいえ、鉄や魔鉄が採れると言っても塊で採れる訳では無く、鉄や魔鉄が多く含まれた鉱石が良く採れるというだけで良い給料や利益が出る理由は、町に入って気付いた製鉄所と思われる場所の存在が影響しているとの事、どうやら迷宮が出来、ここで採掘が始まってからしばらくして完成した製鉄をおこなう魔道具があり、そこで製鉄しインゴットにして迷宮の外に販売をする事で通常より利益を出す事が出来ているらしい。
ただ、200年以上前の事なので誰が作ったのか、どういう構造なのかも分からず、魔道具製作者に管理を託された子孫8人が鉱夫の元締めとなり共同で管理してる。
話を聞く限り、かなりの量の鉱石を製鉄魔道具の投入口に入れると石と金属に分離され排出されるとの事だけど、製鉄魔道具自体が相当な熱を持っており、製鉄所は常に窓を開けていても暑いとの事で製鉄所勤務者も重労働だけど高給取りとの事だ。
酒場や娼館が多いのが頷ける…。
閉塞して娯楽が少ない空間だと酒を飲むか女を買うか、博打をするぐらいしかないもんね…。
「それにしても製鉄魔道具ね…。 私も聞いた事が無いけどもし構造を解明して複製出来たらかなりのお金になるかもね。 大量の炭を必要とする、たたら製鉄と違って魔力の供給を確保出来れば稼働できるから、とは言えこの魔道具を稼働させられればだけど…」
「この世界でもたたら製鉄って言葉があるんだ…。 因みに反射炉は?」
「反射炉? 聞いた事ないわね…」
「ああ~、150年前ぐらいに召喚者が伝え広めたって聞いたな…。 でもどちらにせよ木炭を大量に使用するみたいだけどな」
どうやら反射炉はすでに普及しているらしい…。
カトレアは墳墓のダンジョンの最下層につい最近まで居たから知らないのは当然と言えば当然か…。
「でも簡単に魔力供給って言っても相当魔力を消費するんじゃない?」
「でしょうね、ただ推測だけどこの町にある製鉄魔道具は迷宮の魔力を吸い上げて稼働してるわ、それも魔物が産まれる為に必要な魔力を消費し、鉱石などが産まれる魔力は消費しないように計算されてね」
「迷宮の魔力を吸い上げて? しかも魔物を生み出す魔力だけを消費? そんな事出来るの?」
「出来なくは無いわ。 この町の周辺には魔物が少ないのがその証拠よ、これだけ広い空間なんだから壁から魔物が産まれ続けても良いはずなのに魔物が異常に少ない。 という事はこの一帯から魔物が産まれる為の魔力が使われてるとしか考えられないのよ」
確かにカトレアの言う通り、マインの町がある空間には魔物が殆どおらず、大ネズミが数匹チョロチョロ俳諧しているだけだった。
でもそう考えると製鉄魔道具って相当魔力を消費するんじゃない? だとしたら構造を解析して複製出来ても実用的ではないな…。
むしろ売った後、詐欺扱いされそうだ…。
「それにしても鉱山があって鉄や魔鉄が産出されるのに鍛冶工房とかは無いんだね…」
「あ~、鍛冶工房や錬金工房、あと薬屋なんかは49層の町にあるらしいぞ、下層の方が消耗品は需要が高いからな」
「確かに、この辺の階層だったらCランク冒険者のパーティーで準備さえしっかりしてれば特に困る事は無いでしょうし、浅い階層に工房を作ってもね…」
ルイーズさんが仕入れた情報にカトレアの言葉に納得する。
確かにこの階層周辺で活動する多数の冒険者は大体Cランクパーティーの為、29層の町に工房を作っても予備の武器やポーション類が無くなったりしない限りは地上で購入したほうが安そうな気がする。
それに比べ49階層なら長期で迷宮探索する上級冒険者が良く利用するだろうし探索で得た素材や魔道具、財宝類なんかもあるから金回りもよさそうだ。
「なんか凄くこの迷宮内にある村や町は考えられて配置されてる?」
「まさか、そんな訳はないだろ…」
ルイーズさんが即座に否定するも、なんか凄く作為的な気がする。
村を作り食料を供給できる階層、町を作り探索の拠点に出来る階層、まだ57階層までしか攻略されていないらしいけど、その下の階層にも同じように村や町が作れる階層がありそうな気がする。
まあ、深い階層に村や町を作ってもそこまで深い階層に移住する人が居るかどうかだけど…。
そう思いつつ、宿の風呂で汗を流し、明日以降の打ち合わせをして休息を取る。
打合せって言っても、明日からまた49層にある町まで一気に進むことを確認しただけなんだけど…。
とは言え階層によっては珍しい果物が実る木が群生している階層や良質な肉と言われるスノーボアなど居る階層もあるらしいので、そういう階層では果物やボアなどを乱獲するとカトレアが宣言してた…。
そんなに果物とかボアとか乱獲って。
確かに乱獲しても絶滅はしないけど、生き物系は受肉して無いのを仕留めても魔石だけしか残らないし、仮に受肉してるのを全部仕留めたら他の人が困る気がするんだけど…。
あ~、どうやらカトレアもルイーズさんも、そしてリーズもそんなの関係ない! って顔してる。
後から階層に来て狩りをする人可哀そう。
仕留めても仕留めても得られるのは魔石だけって、心折れるんじゃないかな…。
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