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依頼の失敗

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朝起きると、大きなトカゲのような生き物が解体され、肉が焚火で焼かれていた…。

食欲を刺激するいい匂いだけど、アイテムBOXに食料は一杯ストックしてるから食料の現調達はしなくても良いはずなのに、交代制の見張りで順番が最後だったルイーズさんいわく小腹が空いたからとの理由で近くに居た大きなトカゲのような生き物が犠牲となったらしい。

起きだしたカトレアとリーズ、そしてトカゲを解体し焼いていたルイーズさんと焚火を囲み朝食にする。
アイテムBOXに鍋ごと入れておいたスープとパン、そしてルイーズさんが焼いたトカゲ肉を食べながら遺跡周辺のどの辺りで竜残血花を探すか打ち合わせをする。

本来なら昔、はぐれ竜種が討伐された場所が分かればその周辺を重点的に探すけど、ギルドで聞いても相当昔の事で遺跡群のどの辺りで討伐されたのかは分からないとの事だったので、今日の所は遺跡の外周を捜索する事になった。
とは言え、遺跡の外周と言っても相当な距離になるので恐らく今日一日外周を歩きながら目につく範囲に竜残血花が生えていないかを見るだけで終わると思われ、多分見つからないんだろうなと思う。
そもそも竜残血花があるのかすら怪しいし、目に着いた薬草なんかを採取しながら遺跡を一周し、今回の依頼失敗でも無報酬にならないようにだけはしよう。

そして朝食を済ませてテント等の野営具をアイテムBOXに収納し遺跡の外周に沿って探索を開始する。
恐らく街を囲うように城壁があったと思われるけど、城壁があったであろう場所には大小さまざまな石が散乱しているだけだ。
そして歩きながら目につく薬草などを採取してはいるものの、どれも王都やキャール周辺で採取できる薬草と同じで、珍しい薬草や目的の竜残血花などは全く見当たらなかった。

遺跡を一周し、今朝出発した野営地に戻ったら、アイテムBOXから野営具類を取り出して再度野営の支度を開始し、日が暮れるまでの余った時間で野営地周辺を散策し、一応竜残血花が無いか確認をしてみたけど、予想通り見慣れた薬草ぐらいしか見当たらなかった。

それにしても探知で周囲を警戒していたけど、遺跡周辺に魔物の群れなんかや少数のゴブリンやオークすら居ないってどうなんだろう。
遺跡の中には多少大きな生命反応はあるけど、ルイーズさんの調査で大きなトカゲや蛇、あとは小動物ばかりと言っていたけど、魔物が周辺に居ないってのが気になる。
そしてオークなんかは肉も魔石も買取してくれるから多少出没してくれないと、20日かけて王都周辺でも採取できる薬草を遠出して採取しただけと言う残念な結果になるし…。
まあ、竜残血花自体があるかどうか眉唾ものだから最初から残念な結果になるのは予想通りではあるけど。せめて珍しい獲物か薬草ぐらいは確保したいんだよね。

そして遺跡周辺で13日程竜残血花を探したけど、予想通り竜残血花どころか、ゴブリン1匹、オーク1匹すら見つからず、遠出してありふれた薬草を採取するだけで終わった。
遺跡周辺に魔物が現れない理由も分からないまま遺跡を後にする事になった。

まあ竜残血花が手に入らなかったことに関しては良いんだけど、魔物が全く現れない理由がとても気になる。
カトレアの予測では遺跡自体に魔物除けとなる何かがありその効果がまだ持続している可能性、または昔討伐された竜種の匂いが魔物を遠ざけているんじゃないかとの事だったけど、最後まで原因は分からなかった。

「それでカツヒコ、教会に失敗報告をしに行く事になるけど、報告はあなた一人で行く事になるはずよ。 どう報告するつもり?」
王都への帰り道、カトレアがそんな事を口にし、ルイーズさんとリーズが全員で行けばいいんじゃないのかと疑問を呈す。
そんな疑問にカトレアは今回の依頼自体がカツヒコ自信への指名である以上1人で報告に来る事を求められるはずと説明をしている。
確かに自分が教会に行って召喚者か転生者じゃないかとあの聖女見習いであるイリーナさんに疑われたからなんだし恐らくカトレア達が同席しようとしても断られるだろうな。

「後はどうやってカツヒコから転生者だと聞き出そうかとするかだけど、精神に直接作用する魔法か薬か、まあ色仕掛けってのも無くはないけど、どうやって対策を取るの?」
「いや、カトレアみたいに耐性がある訳じゃないし、魔法も薬も対処しようがないよね…。 色仕掛けだったら大丈夫だけど…」

「そう? 色仕掛けが一番危なくない? 確かイリーナって聖女見習いの胸や太ももガン見してたじゃない? その上で魅惑の魔法や性魔術でも使われたらすぐに口を割りそうな気がするんだけど…」
そうカトレアが言うと、ルイーズさんはククッと吹き出し、リーズが残念な人を見るような目でこっちを見ている。

いや、一応、この世界ではまだ15年ぐらいしか生きてないけど前世も含めたら40年以上生きてるからね。
それに実際、事に及ぶのも好きだけど、見えそうで見えない、触れそうで触れない、そんなのがドキドキするけど、ガッツリ迫られたりすると結構引くからね…。
女の子の裸を見ただけで欲情するほど心は若くは無いからね!!
うん、この世界の人は多分分かってないな、触りたくても触れない、見えない部分を見たいけど見えない、そんなのが一番そそられるって事に。

「それで、魔術や薬を使用された際の有効な対策って何があるの?」
「そうね、無いわね!!! 魔術耐性と状態異常耐性が高ければなんとかなるでしょうけど、カツヒコは特に訓練を受けた訳でもなく普通だから後は向こうの能力や薬の強さ次第じゃないかしら」

「そう、じゃあとりあえず気を強く持って、出されたお茶やお菓子には手を付けないでおくことにする」
「まあ今から出来る事は無いから、対策を取るとしたらそのぐらいでしょうね。 何かあっても王都から外に護送しようとしたら襲撃して助け出してあげるから安心しなさい」

襲撃って…。
サラッと物騒な言葉がカトレアの口から飛び出したけど、本当にやりそうだから怖い。
しかもノーライフキング化した状態で襲撃したら足つかないし、下手したら教会にノーライフキング化して乗り込んで来そうだから特に怖い。

とりあえず教会に行く前に薬屋で気付け薬でも買っておいていざとなったらすぐに飲めるようにしておこう。

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