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大森林と未踏の山脈の狭間
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開拓村を襲ったウェアウルフとそれを統率していたレイムダリーアが討伐されて20日程経った頃、大森林の奥地と未踏の山脈の狭間にある朽ちかけた古代ローマ遺跡のような神殿で、8匹の魔獣が顔を揃えている。
大森林の奥地に縄張を持つ魔獣、正確には魔獣から聖獣へと進化を遂げ一族を率いる達だ。
神殿はピンとした空気に包まれ7匹の聖獣達が集まったその場は、あたかも幻想的な雰囲気である。
静寂が神殿を包み込むなか、1匹の聖獣がその静寂を破る。
「わざわざ我らを集めた理由を聞かせてもらいたいな、まあ大方予想は付いているが…」
静寂を破ったのは、金色の毛皮に漆黒の模様が鮮やかに浮かぶ虎のような聖獣ゴールドファントムだった。
「ふむ、呼んだのは大方察しがついているだろうが、この森、いや未踏の山脈の異変についてだ」
そう言って地面に胡坐をかいていた漆黒の毛皮に覆われた熊のような聖獣ダークイングリズリーが腕を組む。
「異変か…。 一族の若いのが腕試しと称して山脈に立ち入ったりするのはよくある事だが、何故か人間共の住む領域に足を踏み入れたがる」
赤い羽根に紫の斑模様が毒々しい、鳥のような聖獣トマケラドップスがそう言うと、光沢のある青紫色の甲羅を思わせる羽を持つ虫のような聖獣が口を開く。
「人間共の領域に足を踏み入れるのは構わん、だが不可解な点がいくつもある、我々が定めた掟を知らぬかのように破り、他の魔獣を率いて山脈に立ち入ったり、人間の領域に踏み入ったり、それどころか意味も無く同族を殺し喰らう者もいる」
「そうだ、まるで何者かに操られているのか、それともそそのかされているのか…。そうであろう?」
淡く光る銀色の毛並みを持つ狼のような聖獣ウルファーリルが猫のような聖獣レイムダリーアに問いかける。
「まったくだ、最近我が子がウェアウルフを率い人間共の領域を荒し討伐された。 十数年前までは利発でいずれ成長すれば聖獣ともなれたであろう我が子がだ」
「それでシールは我が子を殺した仇である人間をそのまま生かして帰って来たのか?」
そう言い、異様に長い腕を持ち老人のような体格の猿の聖獣、オフォレースモンキーがシールと呼ばれたレイムダリーアに声をかける。
「ふん、禁を破り我が一族の領域を出たのだ、人間に討伐されなくてもいずれ我が手で殺していた、それを人間が代わりに殺したまでの事」
「ふむ、禁を犯した我が子とはいえ人間に殺されて含むところも無しか?」
ゴールドファントムが挑発するような視線でレイムダリーアに問いかける。
「含むところはある、なんせ我が子を殺したのは戦いの経験も乏しい人間の子供だからな」
「子供だと? いくら何でもそれはおかしかろう。若いとはいえレイムダリーアだ、それを子供が倒すなど…」
トマケラドップスが驚いたようにレイムダリーアの言葉に反応する。
「確かに人間の子供だ。 連れが2人居たが、そ奴らからは我が子の血の匂いはしなかった」
「そうか…。 なら数年後、我らが領域に踏み込む事があるやもしれんな」
オフォレースモンキーがひげを撫でるようにしながらそう言うと、レイムダリーアを除く他の聖獣は一瞬殺気立つ。
「いや、確実に足を踏み入れるだろうな、我が子を殺した子供の仲間の一人は我と同等、いやそれ以上の力を持っていたからな」
「バカな!!! 人間共が我らの領域に足を踏み入れなくなって数百年、にもかかわらずそんな人間が居るわけが無かろう!!」
牙を剥き出しにし否定をするウルファーリルのレイムダリーアがかつて白銀の聖女と呼ばれたカトレアの名前を出す。
名を聞いた聖獣達は、一様に驚きの表情を浮かべ、そしてそれを否定する。
人間の寿命は精々長くて80年、白銀の聖女と呼ばれたカトレアがこの神殿に足を踏み入れたのは400年前以上前の事だからだ。
そんな聖獣達にレイムダリーアはカトレアから聞いた経緯を説明する。
「それが異変に関係はあるのか? いや話を聞く限り因果関係は無いだろう。 なら今は異変の原因を突き止める事が重要じゃろう」
オフォレースモンキーの言葉で再度、その場に静寂が訪れる。
「話にならん!! 手がかりがあるならまだしも、無いならワシは帰るぞ!! 手がかりを掴んだその時に再度集まればよいだろう!!」
そう言い放つとダークイングリズリーがその場を立ち、場を後にし、そのまま聖獣の集いは解散となる。
「シールよ、先程の話をもそっと詳しくしてくれんか?」
オフォレースモンキーがそう言うと、トマケラドップスも興味があるのかその場に残り話に耳を傾ける。
日が沈みだした頃、話を聞き終えたオフォレースモンキーとトマケラドップスが場を離れるとレイムダリーアも立ち上がりその場を後にした。
それぞれ一族を率いる聖獣達が異変の原因を探る為に…。
大森林の奥地に縄張を持つ魔獣、正確には魔獣から聖獣へと進化を遂げ一族を率いる達だ。
神殿はピンとした空気に包まれ7匹の聖獣達が集まったその場は、あたかも幻想的な雰囲気である。
静寂が神殿を包み込むなか、1匹の聖獣がその静寂を破る。
「わざわざ我らを集めた理由を聞かせてもらいたいな、まあ大方予想は付いているが…」
静寂を破ったのは、金色の毛皮に漆黒の模様が鮮やかに浮かぶ虎のような聖獣ゴールドファントムだった。
「ふむ、呼んだのは大方察しがついているだろうが、この森、いや未踏の山脈の異変についてだ」
そう言って地面に胡坐をかいていた漆黒の毛皮に覆われた熊のような聖獣ダークイングリズリーが腕を組む。
「異変か…。 一族の若いのが腕試しと称して山脈に立ち入ったりするのはよくある事だが、何故か人間共の住む領域に足を踏み入れたがる」
赤い羽根に紫の斑模様が毒々しい、鳥のような聖獣トマケラドップスがそう言うと、光沢のある青紫色の甲羅を思わせる羽を持つ虫のような聖獣が口を開く。
「人間共の領域に足を踏み入れるのは構わん、だが不可解な点がいくつもある、我々が定めた掟を知らぬかのように破り、他の魔獣を率いて山脈に立ち入ったり、人間の領域に踏み入ったり、それどころか意味も無く同族を殺し喰らう者もいる」
「そうだ、まるで何者かに操られているのか、それともそそのかされているのか…。そうであろう?」
淡く光る銀色の毛並みを持つ狼のような聖獣ウルファーリルが猫のような聖獣レイムダリーアに問いかける。
「まったくだ、最近我が子がウェアウルフを率い人間共の領域を荒し討伐された。 十数年前までは利発でいずれ成長すれば聖獣ともなれたであろう我が子がだ」
「それでシールは我が子を殺した仇である人間をそのまま生かして帰って来たのか?」
そう言い、異様に長い腕を持ち老人のような体格の猿の聖獣、オフォレースモンキーがシールと呼ばれたレイムダリーアに声をかける。
「ふん、禁を破り我が一族の領域を出たのだ、人間に討伐されなくてもいずれ我が手で殺していた、それを人間が代わりに殺したまでの事」
「ふむ、禁を犯した我が子とはいえ人間に殺されて含むところも無しか?」
ゴールドファントムが挑発するような視線でレイムダリーアに問いかける。
「含むところはある、なんせ我が子を殺したのは戦いの経験も乏しい人間の子供だからな」
「子供だと? いくら何でもそれはおかしかろう。若いとはいえレイムダリーアだ、それを子供が倒すなど…」
トマケラドップスが驚いたようにレイムダリーアの言葉に反応する。
「確かに人間の子供だ。 連れが2人居たが、そ奴らからは我が子の血の匂いはしなかった」
「そうか…。 なら数年後、我らが領域に踏み込む事があるやもしれんな」
オフォレースモンキーがひげを撫でるようにしながらそう言うと、レイムダリーアを除く他の聖獣は一瞬殺気立つ。
「いや、確実に足を踏み入れるだろうな、我が子を殺した子供の仲間の一人は我と同等、いやそれ以上の力を持っていたからな」
「バカな!!! 人間共が我らの領域に足を踏み入れなくなって数百年、にもかかわらずそんな人間が居るわけが無かろう!!」
牙を剥き出しにし否定をするウルファーリルのレイムダリーアがかつて白銀の聖女と呼ばれたカトレアの名前を出す。
名を聞いた聖獣達は、一様に驚きの表情を浮かべ、そしてそれを否定する。
人間の寿命は精々長くて80年、白銀の聖女と呼ばれたカトレアがこの神殿に足を踏み入れたのは400年前以上前の事だからだ。
そんな聖獣達にレイムダリーアはカトレアから聞いた経緯を説明する。
「それが異変に関係はあるのか? いや話を聞く限り因果関係は無いだろう。 なら今は異変の原因を突き止める事が重要じゃろう」
オフォレースモンキーの言葉で再度、その場に静寂が訪れる。
「話にならん!! 手がかりがあるならまだしも、無いならワシは帰るぞ!! 手がかりを掴んだその時に再度集まればよいだろう!!」
そう言い放つとダークイングリズリーがその場を立ち、場を後にし、そのまま聖獣の集いは解散となる。
「シールよ、先程の話をもそっと詳しくしてくれんか?」
オフォレースモンキーがそう言うと、トマケラドップスも興味があるのかその場に残り話に耳を傾ける。
日が沈みだした頃、話を聞き終えたオフォレースモンキーとトマケラドップスが場を離れるとレイムダリーアも立ち上がりその場を後にした。
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