器用貧乏の意味を異世界人は知らないようで、家を追い出されちゃいました。

武雅

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冒険者に必要なもの

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冒険者になる事を決めた後、自室に籠り、用意した紙に思いつく限り冒険者として生きていくうえで必要と思われるものを書き出すと、転生者だからなのか、紙に書き出していくと際限なく出てくる。
とはいえ裕福な家で育てられると8歳で読み書きも出来るよう教育を受けられてたのは救いだったな。
文字が書けなかったら、文字の読み書きから覚えないといけない分無駄に時間が取られるところだったけど、こればっかりは両親に感謝だけど、異世界物の知識が無駄にあるからあれもこれもで際限ないな…。
これを全部となると、まさに器用貧乏になる恐れがあるし、絞って優先順位をつけよう。

そう思い、優先順位を付けた結果、まずは、体力向上、これは冒険者として生きていく以上必須なので最重要項目。

次は剣術と弓術そして余裕があれば槍術、とは言えこれも複数を覚えようとすると中途半端になる可能性があるので剣術と弓術に絞る。

その次は魔法。幸いこの世界の住人は魔力を有していて生活魔法程度なら普通に使える為、誰か魔法が得意な人に教えてもらい、魔力量を増やす事と攻撃魔法、補助魔法や回復魔法を覚える事。

あとは冒険者としての知識が必要だけど、こればっかりは冒険者から教えてもらうのが一番の為、何か方法を考えないと。

思いついた冒険者になる為の必要事項をしぼってて気が付いたけど、既に器用貧乏になりそうな気が…。
とはいえ転生者だからってチート能力がある訳ではないから冒険者として生きていくなら最低限必要とおもわれるんだから何とかして後7年で物にしないと。

まずは体力、これは毎朝村の外周を走って体力を付ければいいとして、次は剣術、一応前世では中学、高校と剣道部だったから重めの木の枝を使って素振りをして、多少形になったら近くの森でゴブリンでも倒して経験を積もう。
弓術に関しては村の猟師に教えて貰う他無いけど、ダメだったらその分、剣術を覚える時間に費やせばいい。

そして魔法。こればっかりは誰かに教えてもらわないと何ともならないから、回復魔法は教会の人に頼んで教えて貰うとして、問題は攻撃魔法や補助魔法、ルミナ村には魔法使いと言う専門の職業の人は居ないから、村の中で魔法が使える人を探して教えて貰う必要がある。

最後に冒険者としての知識、これに関しては、父が経営する宿屋に併設されている酒場で手伝いと言う形で働き冒険者と顔見知りになり冒険譚を聞きたいとか言って教えて貰えば多少の知識は得られると思われるので何とかなりそうな気がする。
季節にもよるけど、春から秋にかけては村の近くの森の奥で薬草や村で食べられる動物の肉などを採取して金を得る冒険者が長期滞在するから気に入られれば剣術や弓術、そして魔法なんかも教えて貰える可能性がある。

そうと決まれば実践あるのみ!
まずは宿屋に併設されている酒場に行って手伝いがしたい旨を伝え雇ってもらう事からスタートだけど、父が経営しているだけあってすんなり了承され、給金は夕方から夜まで賄い付きで銅貨1枚で10レン。
日本円で大体、千円くらいか…。

この世界のお金は自分の知る限り、銭貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨、で大体、銭貨が日本円で百円ぐらい、銅貨が千円、銀貨が1万円、金貨が10万円、白金貨が100万円ぐらいの感覚のようなので、夕方から夜まで働いて1日千円なら7年後にはそれなりにお金が溜まっているはずだな。

そして酒場に行った後は、教会に行き、回復魔法を教えて欲しい旨を伝えると、最初は難色を示していた司祭だが、父から自分に合った仕事を見つけて村を出て行けと言われているので覚えられるのであれば覚えたいと言うと、致し方ないと言った感じで引き受けてくれた。

後は剣術用に少し重い木の棒を調達するだけだけど、これは村の大工を訪ねて丸太に加工する際に出た、掃った枝を貰い無事解決。
大工のおっちゃんは、事情を説明すると太めの枝を丁度良い長さに切ってくれたので自分で加工する手間も省けたからお礼を言ったら、もっと重いのが欲しくなったらいつでも来いって言ってくれた。
うん、いい人だ。
今は何もお礼出来ないけど、何かお礼が出来る事を探してお礼しよう。

そして一度家に戻り、母親に夕方から酒場で働く事を伝えると最初は何を言いだすんだ? という顔をしていましたが、手に職を付ける為の第一歩と言うと父の言葉を思い出したのかあっさりと条件付きで了承されたんだけど、酒場で働かない日は晩御飯の支度をしないといけないから昼には家で夕飯を食べる旨を報告する事を義務づけられた…。
まあ、確かに晩飯を食べる人数が急に増えると作る方は困るもんね、うん、報告しない事で晩飯抜きは勘弁なので絶対に報告漏れが無いようにしよう…。

これで、大体の下準備は終わった。
明日からは、朝、村の外周を走り、朝食後、木の棒で素振りをした後、昼過ぎに教会で回復魔法の練習、夕方から酒場でアルバイト兼冒険者からの情報収集。

7年後には村を追い出されるからそれまでに頑張って一人でも生きていけるようにならないと。
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