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SS ステレーネと土田の夜
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「はぁ~」
深いため息をつき多くの料理の並べられたテーブルを前に席につき、目の前に座る女性に目を向けます。
「お疲れのようですが、大丈夫ですか?」
そう女性が心配そうな表情でこちらを見ています。
「うん、大丈夫なんだけどね、とは言え、武内から国境に魔物が流れて来るって言われて、暫く国境に張り付いて防衛にあたって、帰ってきたら今度はウェース聖教国への進攻の指揮を頼まれたからね」
「ウェース聖教国への進攻は私も話を伺っております。 微力ではございますが、元聖女として住民の心を慰撫するつもりです」
「その話は聞いたんだけど、出来ればここに居て、後から来てもらいたいんだけどね」
「ありがとうございます。 でも私が前線に行かなければ無益な血が流れてしまいます。 少しでも流れる血を減らす為でしたら私は危険を恐れません」
そう言って真剣な表情で自分を見つめる彼女の意思の強さに説得は無理だなと思い、話題を変えます。
「それはそうと、今日の料理は豪華ですけど、これは全部ステレーネさんが作ったのですか?」
「はい…、と言いたい所ではあるんですが、半分以上は侍女に手伝ってもらいました」
「手伝ってもらったと言ってもすごいじゃないですか。 どれも美味しそうですよ」
「ほんとですか? 土田様にそう言ってもらえたら頑張った甲斐がありました。 国境の警備から戻ってこられると聞いてごちそうを用意して少しでもお疲れを癒やせればと…」
「いや、本当にうれしいですよ。 それにどれも美味しそうですから。」
「では土田様、お料理が冷めてしまわぬうちに頂きましょう」
そう言ってステレーネは料理を前に祈りを捧げ、土田は両手を合わせて、いただきます。と言って食べ始めます。
「うん、この料理美味しですよ。 特にこのサラダ、野菜の大きさがバラバラで色々な食感が楽しめる」
そう言って並べられたサラダを食べながら笑顔で料理を褒めます。
料理をバクバクと食べている土田を嬉しそうに眺めステレーネは自分の口にも料理を運びます。
他愛もない会話をしながら食べる食事は、ステレーネにとってはウェース聖教国に居た時には考えられない事で、バイルエ王国に来てから知った事で毎日が新鮮で楽しい日々のようです。
「そういえば土田様、お食事の後は何かされるのですか?」
「ん? 食後? いや特に何もないよ。 しいて言うならダラダラする事かな?」
そう土田は食事を口に運びながら答えます。
「そうですか。では……」
「どうかした? 何か手伝えることがあれば手伝うけど?」
「いえ、お食事後にお茶を飲みながらゆっくり致しましょう」
そうステレーネは言って微笑み、土田が美味しそうに料理を食べる姿を見て嬉しそうに自分も食事を続けます。
食後、ソファーで寛ぐ土田にお茶を入れ隣りに座わったステレーネに土田が話しかけます。
「バイルエ王国に亡命してきた事は後悔してないの?」
「はい、私自身は後悔してはおりません、とは言えウェース聖教国に住む人々の話を聞くと心が痛みますが、私が聖女としてウェース聖教国に居たとしても何もできなかったと思います。そう考えたら亡命したことで人々を救う機会が得られたと思っています」
「そうか…。 ステレーネさんは強いね」
「いえ、私なんかは強くありません。 何も出来ない、何も知らないのですから…。」
そう言ってステレーネはカップに視線を落としています。
そして何かを決意したかのような顔をすると土田に声をかけます。
「土田様、お風呂の用意が出来ています。お茶を飲まれましたらお風呂に入られては如何でしょうか?」
「お風呂か…。そうだね、入らせて貰うよ」
そう言ってお茶を一気に飲み干した土田が風呂場に向かって行きますが、その後ろ姿を目で追いながらステレーネは意を決したような表情をして土田を見送ります。
「ふぅぃ~~。」
なみなみのお湯がはってある湯船に浸かり、リラックスするとともに不思議な声が漏れ、浴室に木霊して消えていきます。
「武内が、追い散らされた魔物が大量に国境に来るかもって言ってたけど、大した数も来なかったし、あいつも意外に心配性なんだな~」
そう誰も居ない浴室で呟き、そして歌を歌い始めます。
「楽しそう。 それに初めて聞く歌…。」
そう言って浴室に聞こえて来た声に慌てて振り向くと、一糸纏わぬ姿のステレーネが入ってきました。
「ご一緒にお風呂いただきますね?」
そう言って湯船に向かいかけ湯をした後に湯船に浸かり、土田の横に座ります。
土田といえば、機械のようにぎこちない動きで少しづつ横にずれ距離を取りますが、ステレーネも負けじと距離を詰めていきます。
「土田様、お背中をお流し致します」
そう言って土田を洗い場にいざない、背中を流し始めます。
「土田様の背中、大きいですね…」
そう言いながら土田の背中を洗うステレーネに、土田は緊張し完全に固まっています。
「そ、そうかな…。 普通だと思うよ…」
そんな返答ステレーネをしていると、土田の背中に柔らかいものが当たり、背中を移動していきます。
「ス、ステレーネさん、何を?」
「武内様が、殿方の背中を流す際は、仕上げに女性の胸で洗うと言っておりましたので…」
「い、いや、それ絶対間違ってますから! そんな事しなくていいですから!」
「土田様はお嫌ですか?」
「い、いえ、嫌じゃないんですが、物事には順序と言うか…そのなんというか…」
そう言って土田は離れ、手早く自分で体を洗うと湯船に退避します。
「お嫌では無いのでしたら、これからもさせて頂きますね」
そうほほ笑むステレーネに真っ赤になった土田の顔が湯船に沈んでゆき、ブクブクと泡が出ています。
ステレーネが身体を洗っているうちに風呂場を退避した土田がリビングでお茶を飲み火照った体を冷ましていますが、いつもは一緒に寛ぐステレーネが来ない事に疑問を覚えつつもカップを片付け寝所に向かいます。
「!!!。 ス、ステレーネさん、何を?」
「はい、土田様がいつまで待っても私の寝所に来ていただけないので、武内様に相談したら自分から土田様の寝所へと」
「いや、そんな事まで相談してるんですか?」
「いえ、どちらかと言うとお会いする度に色々お聞きになられるので、ご相談をさせて頂いております。 この前も(夜のお供48)という本を頂きました」
そう言って微笑むステレーネに土田は内心ため息をつきながら極力平静を保って話始めます。
「はぁ~、ステレーネさん、お気持ちは嬉しいのですが、物事には順序ってあると思うんです。 急いで夜を共にしなくても、お互いを知って距離を縮めて行けばいいと僕は思うんです」
「はい、私もそのように思います。 ただ私の気持ちは既に土田様と共に居たいと願っております」
「それは僕も同じですけど…、まだ早いというか、何と言うか…」
「土田様、女の子に恥をかかせないでください…」
そう言ってステレーネは肌を隠していた掛布団をから手を放し、ベッドの上で綺麗な裸体を晒します。
「ステレーネさん、ホントにいいんですか?」
「はい」
そう言って微笑むステレーネに、生唾を飲み込んだ土田が寝間着を脱ぎ、裸になってベッドの上に土田がのり、覆いかぶさります。
緊張しつつ、それを隠すように微笑むステレーネの顔が、土田のある部分を見て引きつり、そして厳しい目つきになります。
「土田様、動かないでください!」
そう言って真剣な眼差しで土田の下半身を見つめ、手を伸ばします。
下半身に手を伸ばし、細い指でそれを握りしめりと、そして引きちぎろうと力を込めます。
「いたっ!! 痛いです! ステレーネさん何するんですか!!」
そう言っていきなり下半身の象徴を引きちぎられそうになった土田が慌ててベッドから飛び降ります。
「土田様、動かないでください! 土田様は魔物に寄生されています」
「寄生? されていませよ。 どうしたんですか?」
「そうですか、既に精神まで侵食されているんですね」
「いや、侵食されていませんから、なにが、どうしたんですか?」
「土田様の下半身に上を向いた黒っぽい角が生えています。私にはそのような物はありません。それが寄生されている動かぬ証です!」
「いや、寄生されてませんし、男にはみんなあるものですから…」
「魔物め、そんな事を言っても私は騙されません!」
そう言ってステレーネは意を決したように息を大きく吸い込みます。
「我が名はウェース聖教国元聖女ステレーネ! かつては夜空に星を眺め、今は地に人を見る者、土田様に寄生した魔物よ、これより私の力で排除します。 私はこれまで戦いの為に己の力を使った事はありません、ですが、魔に寄生された土田様の為に刃を振るいます!! 手に集いし魔力の風よ、刃となりてすべてを切り裂け…ウインドカッター!!」」
「ちょ、ちょっと待ってください、ステレーネさん……」
そう言て慌てる土田ですが、全く聞く耳を持たないステレーネは土田の下半身を凝視し、呪文の詠唱を始めステレーネの手から風の刃が放たれ土田の下半身に迫ります。
「うぉい!! あ、あぶね~、ステレーネさん落ち着いてください、話せばわかりますから」
そう言って躱した風の刃が壁をえぐった一筋の切れ込みをみて土田は冷や汗を流します。
「ちょ、ちょっと落ち着こう」
「何を言う、魔物が私の土田様に寄生した報いここで受けなさい! ウインドカッター!!!」
ステレーネの手から放たれる風の刃を全裸で避けながら土田は説得を試みますが、全く聞く耳を持たず、風の刃舞い壁に傷を刻んでいきます。
「土田様の体を操りここまで私の裁きを避けるとは…。っ!!角の状態では不利と見て今度は小さくぐにゃぐにゃになるとは、なんと卑怯な魔物だ!」
「いや、違いますから、ステレーネさん?聞いてます?これは男が全員持ってるものですから…てか小さいって…」
「ウインドカッター!!」
土田の心を抉る小さいという言葉に、負けじと説得をしようとしますが、ステレーネは風の刃で答え、土田がそれを避ける度に壁に傷が刻まれ、飾ってある絵や小物を破壊ていきます。
「ち、ちょっと待ってください、ホントに寄生もされてませんし操られても居ませんから!」
そう言いながら、下半身に向けて放たれる風の刃を避けながら土田は必死に説得をしますが風の刃は止む様子はありません。
最初はバタバタうるさいな。
そう思っていた侍女達ですが、一向に止まない騒ぎと、物が壊れる音に恐る恐ると言った感じで土田の寝所を覗き見ます。
「お二人とも、そのような恰好で何をされているのですか?」
そう言って2人の間に割って入ったのはウェース聖教国からステレーネに付いて来た侍女の人です。
「アンネ、そこをどきなさい! 私は土田様に寄生した魔物を倒し土田様を取り戻すのです!」
「寄生?」
そう言って侍女のアンネさんは土田の体をつま先から頭までくまなく見ています。
「ステレーネ様、魔物は何処に寄生しているのですか?」
「アンネ、分からないんですか?その下半身に居る、小さくぐにゃぐにゃしている物です!先ほどは角のように固く上を向いていましたが、魔物とばれ私の攻撃を避けるうちに、角のままでは不利と悟ってそのように小さくぐにゃぐにゃの芋虫のようになったのです」
そういうステレーネの言葉に侍女のアンネの視線が土田の下半身に注がれます。
「ぷっ!!」
そうアンネは噴き出したあとステレーネに向かって説明を始めます。
「ステレーネ様、これは魔物ではありません。殿方には全員あるものです。 むしろこれが無いと子供が作れませんので切り落としたら一生子供が作れなくなってしまいます」
「アンネ、何を言っているのですか? 子供は女性が生むもの、殿方とは抱き合って愛を爆発させれば子が出来るのではないのですか?」
そう真顔で答えるステレーネにアンネは少し驚いたような顔をした後で、説明を始めます。
アンネから子供を作る為の説明を聞いているステレーネは、所々で顔を赤くし、そして涙目になりながらも食い入るように説明に聞き入っています。
「ですので、殿方にあるこの下半身の小さくぐにゃぐにゃにしたものは子供をもうけるうえで重要な物なのです」
全裸で顔を真っ赤にして教えられた話を聞き入るステレーネと、全裸で何度も小さいと言われ見事に凹んでいる土田、それを意に介すことなく淡々と説明をする侍女のアンネとそれを見守るその他の侍女。
不思議な光景が土田の寝所で広がっています。
「それでは私は土田様の大切な…その小さな芋虫みたいな物を切り落とそうとしていたのですか?」
「はい、そうなります。もし切り落とされでもしたら土田様が男でいられなくなってしまう所でございました」
「そ、そんな、申し訳ありません!」
そう謝るステレーネに、小さいの連発で瀕死の状態の土田が我に返り慌てて大丈夫、大丈夫とフォローをしています。
「まあ私もウェース聖教国でお仕えしていた時から今までこのようなお話をステレーネ様にしていなかったので私にも非がございます。 土田様、この度は私に免じてお許し頂けますでしょうか? もし罰が必要とあれば私がお受けいたします」
「いや、罰とかありませんから、むしろ説明をしてくれて誤解を解いてくれて本当に感謝してますから」
そう言って土田はほっとしたかのようにその場にへたり込みます。
「土田様、わたくしの早とちりで申し訳ございません」
申し訳なさそうに謝るステレーネに若干引きつり気味の笑顔で気にしなくていいよと言う土田ですが、土田の寝所はステレーネは放ったウインドカッターでそこら中が傷だらけで物が壊れて散乱しています。
「土田様、ステレーネ様、今宵はこの部屋でお休みになる事は出来ませんので、ステレーネ様の寝所でお二人がお休みになられるのがよろしいかと」
侍女のアンネがそう言うと、部屋を見回したステレーネが申し訳なさそうに寝間着を羽織り土田を自分の寝所に案内しようとします。
「いや、僕はここでも大丈夫ですから」
「そうは行きません、私がこんなにしてしまったので、せめて私の寝所でお休みください。 私がお邪魔でしたら私は床で寝ますので」
「いやステレーネさんを床で寝かせるなんて出来ないですから」
「では、二人で寝ましょう」
そう言って微笑みステレーネに押し切られる形で手を引かれ土田が寝所に案内をされていきます。
2人が去った後、土田の寝所の荒れ具合にため息をついた侍女のアンネですが、幸い明日から二人とも留守にするのでその間に修理を依頼しようと思いながら自室に戻っていきます。
ステレーネの寝所にあるベッドに二人で横になり、しばらく話をしていると、緊張が解けたのかステレーネはかわいい寝息を立て始めます。
そんなステレーネの寝顔を見ていると、不意にステレーネが土田に抱き着いてきます。
「うみゅ~、むにゃ~」
そんなステレーネの寝顔に少し癒されながら目を閉じると急激に眠気が襲ってきて意識が途切れて行きます。
幸せそうな二人の寝顔を月明かりが優しく包み込み、月が二人を覗き込みます。
「うみゅ~、むにゃ~、土田様に寄生する角の魔物め~、むにゃ~、かくご……ういんど…かったー。うみゅ~、むにゃ~」
深いため息をつき多くの料理の並べられたテーブルを前に席につき、目の前に座る女性に目を向けます。
「お疲れのようですが、大丈夫ですか?」
そう女性が心配そうな表情でこちらを見ています。
「うん、大丈夫なんだけどね、とは言え、武内から国境に魔物が流れて来るって言われて、暫く国境に張り付いて防衛にあたって、帰ってきたら今度はウェース聖教国への進攻の指揮を頼まれたからね」
「ウェース聖教国への進攻は私も話を伺っております。 微力ではございますが、元聖女として住民の心を慰撫するつもりです」
「その話は聞いたんだけど、出来ればここに居て、後から来てもらいたいんだけどね」
「ありがとうございます。 でも私が前線に行かなければ無益な血が流れてしまいます。 少しでも流れる血を減らす為でしたら私は危険を恐れません」
そう言って真剣な表情で自分を見つめる彼女の意思の強さに説得は無理だなと思い、話題を変えます。
「それはそうと、今日の料理は豪華ですけど、これは全部ステレーネさんが作ったのですか?」
「はい…、と言いたい所ではあるんですが、半分以上は侍女に手伝ってもらいました」
「手伝ってもらったと言ってもすごいじゃないですか。 どれも美味しそうですよ」
「ほんとですか? 土田様にそう言ってもらえたら頑張った甲斐がありました。 国境の警備から戻ってこられると聞いてごちそうを用意して少しでもお疲れを癒やせればと…」
「いや、本当にうれしいですよ。 それにどれも美味しそうですから。」
「では土田様、お料理が冷めてしまわぬうちに頂きましょう」
そう言ってステレーネは料理を前に祈りを捧げ、土田は両手を合わせて、いただきます。と言って食べ始めます。
「うん、この料理美味しですよ。 特にこのサラダ、野菜の大きさがバラバラで色々な食感が楽しめる」
そう言って並べられたサラダを食べながら笑顔で料理を褒めます。
料理をバクバクと食べている土田を嬉しそうに眺めステレーネは自分の口にも料理を運びます。
他愛もない会話をしながら食べる食事は、ステレーネにとってはウェース聖教国に居た時には考えられない事で、バイルエ王国に来てから知った事で毎日が新鮮で楽しい日々のようです。
「そういえば土田様、お食事の後は何かされるのですか?」
「ん? 食後? いや特に何もないよ。 しいて言うならダラダラする事かな?」
そう土田は食事を口に運びながら答えます。
「そうですか。では……」
「どうかした? 何か手伝えることがあれば手伝うけど?」
「いえ、お食事後にお茶を飲みながらゆっくり致しましょう」
そうステレーネは言って微笑み、土田が美味しそうに料理を食べる姿を見て嬉しそうに自分も食事を続けます。
食後、ソファーで寛ぐ土田にお茶を入れ隣りに座わったステレーネに土田が話しかけます。
「バイルエ王国に亡命してきた事は後悔してないの?」
「はい、私自身は後悔してはおりません、とは言えウェース聖教国に住む人々の話を聞くと心が痛みますが、私が聖女としてウェース聖教国に居たとしても何もできなかったと思います。そう考えたら亡命したことで人々を救う機会が得られたと思っています」
「そうか…。 ステレーネさんは強いね」
「いえ、私なんかは強くありません。 何も出来ない、何も知らないのですから…。」
そう言ってステレーネはカップに視線を落としています。
そして何かを決意したかのような顔をすると土田に声をかけます。
「土田様、お風呂の用意が出来ています。お茶を飲まれましたらお風呂に入られては如何でしょうか?」
「お風呂か…。そうだね、入らせて貰うよ」
そう言ってお茶を一気に飲み干した土田が風呂場に向かって行きますが、その後ろ姿を目で追いながらステレーネは意を決したような表情をして土田を見送ります。
「ふぅぃ~~。」
なみなみのお湯がはってある湯船に浸かり、リラックスするとともに不思議な声が漏れ、浴室に木霊して消えていきます。
「武内が、追い散らされた魔物が大量に国境に来るかもって言ってたけど、大した数も来なかったし、あいつも意外に心配性なんだな~」
そう誰も居ない浴室で呟き、そして歌を歌い始めます。
「楽しそう。 それに初めて聞く歌…。」
そう言って浴室に聞こえて来た声に慌てて振り向くと、一糸纏わぬ姿のステレーネが入ってきました。
「ご一緒にお風呂いただきますね?」
そう言って湯船に向かいかけ湯をした後に湯船に浸かり、土田の横に座ります。
土田といえば、機械のようにぎこちない動きで少しづつ横にずれ距離を取りますが、ステレーネも負けじと距離を詰めていきます。
「土田様、お背中をお流し致します」
そう言って土田を洗い場にいざない、背中を流し始めます。
「土田様の背中、大きいですね…」
そう言いながら土田の背中を洗うステレーネに、土田は緊張し完全に固まっています。
「そ、そうかな…。 普通だと思うよ…」
そんな返答ステレーネをしていると、土田の背中に柔らかいものが当たり、背中を移動していきます。
「ス、ステレーネさん、何を?」
「武内様が、殿方の背中を流す際は、仕上げに女性の胸で洗うと言っておりましたので…」
「い、いや、それ絶対間違ってますから! そんな事しなくていいですから!」
「土田様はお嫌ですか?」
「い、いえ、嫌じゃないんですが、物事には順序と言うか…そのなんというか…」
そう言って土田は離れ、手早く自分で体を洗うと湯船に退避します。
「お嫌では無いのでしたら、これからもさせて頂きますね」
そうほほ笑むステレーネに真っ赤になった土田の顔が湯船に沈んでゆき、ブクブクと泡が出ています。
ステレーネが身体を洗っているうちに風呂場を退避した土田がリビングでお茶を飲み火照った体を冷ましていますが、いつもは一緒に寛ぐステレーネが来ない事に疑問を覚えつつもカップを片付け寝所に向かいます。
「!!!。 ス、ステレーネさん、何を?」
「はい、土田様がいつまで待っても私の寝所に来ていただけないので、武内様に相談したら自分から土田様の寝所へと」
「いや、そんな事まで相談してるんですか?」
「いえ、どちらかと言うとお会いする度に色々お聞きになられるので、ご相談をさせて頂いております。 この前も(夜のお供48)という本を頂きました」
そう言って微笑むステレーネに土田は内心ため息をつきながら極力平静を保って話始めます。
「はぁ~、ステレーネさん、お気持ちは嬉しいのですが、物事には順序ってあると思うんです。 急いで夜を共にしなくても、お互いを知って距離を縮めて行けばいいと僕は思うんです」
「はい、私もそのように思います。 ただ私の気持ちは既に土田様と共に居たいと願っております」
「それは僕も同じですけど…、まだ早いというか、何と言うか…」
「土田様、女の子に恥をかかせないでください…」
そう言ってステレーネは肌を隠していた掛布団をから手を放し、ベッドの上で綺麗な裸体を晒します。
「ステレーネさん、ホントにいいんですか?」
「はい」
そう言って微笑むステレーネに、生唾を飲み込んだ土田が寝間着を脱ぎ、裸になってベッドの上に土田がのり、覆いかぶさります。
緊張しつつ、それを隠すように微笑むステレーネの顔が、土田のある部分を見て引きつり、そして厳しい目つきになります。
「土田様、動かないでください!」
そう言って真剣な眼差しで土田の下半身を見つめ、手を伸ばします。
下半身に手を伸ばし、細い指でそれを握りしめりと、そして引きちぎろうと力を込めます。
「いたっ!! 痛いです! ステレーネさん何するんですか!!」
そう言っていきなり下半身の象徴を引きちぎられそうになった土田が慌ててベッドから飛び降ります。
「土田様、動かないでください! 土田様は魔物に寄生されています」
「寄生? されていませよ。 どうしたんですか?」
「そうですか、既に精神まで侵食されているんですね」
「いや、侵食されていませんから、なにが、どうしたんですか?」
「土田様の下半身に上を向いた黒っぽい角が生えています。私にはそのような物はありません。それが寄生されている動かぬ証です!」
「いや、寄生されてませんし、男にはみんなあるものですから…」
「魔物め、そんな事を言っても私は騙されません!」
そう言ってステレーネは意を決したように息を大きく吸い込みます。
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「ちょ、ちょっと待ってください、ステレーネさん……」
そう言て慌てる土田ですが、全く聞く耳を持たないステレーネは土田の下半身を凝視し、呪文の詠唱を始めステレーネの手から風の刃が放たれ土田の下半身に迫ります。
「うぉい!! あ、あぶね~、ステレーネさん落ち着いてください、話せばわかりますから」
そう言って躱した風の刃が壁をえぐった一筋の切れ込みをみて土田は冷や汗を流します。
「ちょ、ちょっと落ち着こう」
「何を言う、魔物が私の土田様に寄生した報いここで受けなさい! ウインドカッター!!!」
ステレーネの手から放たれる風の刃を全裸で避けながら土田は説得を試みますが、全く聞く耳を持たず、風の刃舞い壁に傷を刻んでいきます。
「土田様の体を操りここまで私の裁きを避けるとは…。っ!!角の状態では不利と見て今度は小さくぐにゃぐにゃになるとは、なんと卑怯な魔物だ!」
「いや、違いますから、ステレーネさん?聞いてます?これは男が全員持ってるものですから…てか小さいって…」
「ウインドカッター!!」
土田の心を抉る小さいという言葉に、負けじと説得をしようとしますが、ステレーネは風の刃で答え、土田がそれを避ける度に壁に傷が刻まれ、飾ってある絵や小物を破壊ていきます。
「ち、ちょっと待ってください、ホントに寄生もされてませんし操られても居ませんから!」
そう言いながら、下半身に向けて放たれる風の刃を避けながら土田は必死に説得をしますが風の刃は止む様子はありません。
最初はバタバタうるさいな。
そう思っていた侍女達ですが、一向に止まない騒ぎと、物が壊れる音に恐る恐ると言った感じで土田の寝所を覗き見ます。
「お二人とも、そのような恰好で何をされているのですか?」
そう言って2人の間に割って入ったのはウェース聖教国からステレーネに付いて来た侍女の人です。
「アンネ、そこをどきなさい! 私は土田様に寄生した魔物を倒し土田様を取り戻すのです!」
「寄生?」
そう言って侍女のアンネさんは土田の体をつま先から頭までくまなく見ています。
「ステレーネ様、魔物は何処に寄生しているのですか?」
「アンネ、分からないんですか?その下半身に居る、小さくぐにゃぐにゃしている物です!先ほどは角のように固く上を向いていましたが、魔物とばれ私の攻撃を避けるうちに、角のままでは不利と悟ってそのように小さくぐにゃぐにゃの芋虫のようになったのです」
そういうステレーネの言葉に侍女のアンネの視線が土田の下半身に注がれます。
「ぷっ!!」
そうアンネは噴き出したあとステレーネに向かって説明を始めます。
「ステレーネ様、これは魔物ではありません。殿方には全員あるものです。 むしろこれが無いと子供が作れませんので切り落としたら一生子供が作れなくなってしまいます」
「アンネ、何を言っているのですか? 子供は女性が生むもの、殿方とは抱き合って愛を爆発させれば子が出来るのではないのですか?」
そう真顔で答えるステレーネにアンネは少し驚いたような顔をした後で、説明を始めます。
アンネから子供を作る為の説明を聞いているステレーネは、所々で顔を赤くし、そして涙目になりながらも食い入るように説明に聞き入っています。
「ですので、殿方にあるこの下半身の小さくぐにゃぐにゃにしたものは子供をもうけるうえで重要な物なのです」
全裸で顔を真っ赤にして教えられた話を聞き入るステレーネと、全裸で何度も小さいと言われ見事に凹んでいる土田、それを意に介すことなく淡々と説明をする侍女のアンネとそれを見守るその他の侍女。
不思議な光景が土田の寝所で広がっています。
「それでは私は土田様の大切な…その小さな芋虫みたいな物を切り落とそうとしていたのですか?」
「はい、そうなります。もし切り落とされでもしたら土田様が男でいられなくなってしまう所でございました」
「そ、そんな、申し訳ありません!」
そう謝るステレーネに、小さいの連発で瀕死の状態の土田が我に返り慌てて大丈夫、大丈夫とフォローをしています。
「まあ私もウェース聖教国でお仕えしていた時から今までこのようなお話をステレーネ様にしていなかったので私にも非がございます。 土田様、この度は私に免じてお許し頂けますでしょうか? もし罰が必要とあれば私がお受けいたします」
「いや、罰とかありませんから、むしろ説明をしてくれて誤解を解いてくれて本当に感謝してますから」
そう言って土田はほっとしたかのようにその場にへたり込みます。
「土田様、わたくしの早とちりで申し訳ございません」
申し訳なさそうに謝るステレーネに若干引きつり気味の笑顔で気にしなくていいよと言う土田ですが、土田の寝所はステレーネは放ったウインドカッターでそこら中が傷だらけで物が壊れて散乱しています。
「土田様、ステレーネ様、今宵はこの部屋でお休みになる事は出来ませんので、ステレーネ様の寝所でお二人がお休みになられるのがよろしいかと」
侍女のアンネがそう言うと、部屋を見回したステレーネが申し訳なさそうに寝間着を羽織り土田を自分の寝所に案内しようとします。
「いや、僕はここでも大丈夫ですから」
「そうは行きません、私がこんなにしてしまったので、せめて私の寝所でお休みください。 私がお邪魔でしたら私は床で寝ますので」
「いやステレーネさんを床で寝かせるなんて出来ないですから」
「では、二人で寝ましょう」
そう言って微笑みステレーネに押し切られる形で手を引かれ土田が寝所に案内をされていきます。
2人が去った後、土田の寝所の荒れ具合にため息をついた侍女のアンネですが、幸い明日から二人とも留守にするのでその間に修理を依頼しようと思いながら自室に戻っていきます。
ステレーネの寝所にあるベッドに二人で横になり、しばらく話をしていると、緊張が解けたのかステレーネはかわいい寝息を立て始めます。
そんなステレーネの寝顔を見ていると、不意にステレーネが土田に抱き着いてきます。
「うみゅ~、むにゃ~」
そんなステレーネの寝顔に少し癒されながら目を閉じると急激に眠気が襲ってきて意識が途切れて行きます。
幸せそうな二人の寝顔を月明かりが優しく包み込み、月が二人を覗き込みます。
「うみゅ~、むにゃ~、土田様に寄生する角の魔物め~、むにゃ~、かくご……ういんど…かったー。うみゅ~、むにゃ~」
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元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。
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異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
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自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
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