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日本への現状報告

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183日目

土田を朝一で迎えに行き、自宅に戻ってくると丁度、月山部長と滝山さん、そしてしばらくしたらグランバルさんがやってきます。

一応、昨晩のうちに、リビングにゲートを維持する魔道具とゲートを広げる魔道具を設置しておいたので、後は日本にゲートを繋げるだけです。

「武内君、何時ごろに日本にゲートを繋ぐんだ?」
そう言って少しソワソワした感じで月山部長が声をかけてきますが、午前中としか聞いていなかった旨を伝えると、アバウトなやり取りをしていたことに呆れられてしまいました。

うん、自分は悪くないよ。
だって午前中にって言ったのは向こうだもん。

そう思いながらとりあえず月山部長には日本時間の10時頃に一旦繋ぐという事で暫くはお茶を飲みながら過ごします。

そういえば、自分は時計持たない派なので誰か10時になったら教えてくれるんでしょうか。
個人的には時間に縛られないこの世界、意外と気に入っているんですよね・・・。
そう思いながら雑談をしながら時間を潰していると月山部長が時計を見てそろそろ10時になると教えてくれます。

「じゃあ日本に転移魔法でゲートを繋いでみますね。一応自分が話してみてその後月山部長と土田を紹介しますんで」
そう言い、魔道具を起動し転移魔法を使用し昨日鈴木さんに渡した目印の魔道具の所にゲートを開きます。

ゲートが開くと向こう側は会議室のような感じで広い部屋に机があり目の前にはビデオカメラが置いてありその後ろには何人もの人が居るようです。
「鈴木さ~ん、居ますか~?」

皆さんこちらを凝視していますが、返事がないので場所を間違えたのかと思い「間違えました~」と言ってゲートを閉じようとすると慌てた感じで昨日魔道具をアタッシュケースに入れて持ち帰った影山さんが声をかけてきました。

「武内さん、間違ってないです!鈴木さんはちょっと席を外してるんで・・・」
「ああ影山さんでしたよね、鈴木さんは席を外してるの?椅子の建付け悪いの?グラグラする感じ?それななら買い替えればいいのに」

「まあそう簡単に買い替えとか出来ないですよ、申請とか必要ですし・・・・。って違いますよ、椅子を分解修理とかしてないですからね、ちょっとこの場を離れているだけですから・・・」
うん、それは知ってるけど影山ノリいいね。

そう思いながら会議室に居る人を見ると何か影山さんとのやり取りに反応するでもなくなんだコイツ?的な目でこちらを見ています。

「それで、一応こちらも二人ほど日本人を同席してもらっているんですけど、そちらで来られた方とかはどんな人たちが来ているんですか?」
「ええ、一応自己紹介は鈴木さんが来て全員が揃ったらしたいんですけど、このゲートはどのぐらいの時間維持できるんですか?」

「大体4~50分ぐらい?」
「そうですか、ちょっと急いで全員を集めて来るんで少しお待ちください」

そう言って影山さんが視界から離れた後、知らない職員さんがビデオカメラの位置を調節しています。
録画してるの?それとも映像をプロジエクターとかで他の所に映してるの?

そんな事を思いながら数分待つと鈴木さんがやってきます。
「武内さんお待ちしていました、午前中としか言わなかったので9時頃から待っていたんですがあまり遅くならなくて助かりました」
「うん、午前中ってやっぱり大雑把すぎるよね?まあ自分は時計持たない派だし、異世界に時計なんて無いから危うく日の登り具合を目安にする所でした」

「そうですか・・・。時計ご用意しますんで、次回からは時間を決めて貰っていいですか?」
「まあその辺はお任せしますけど、こっちの世界もかなり切迫してるんで約束守れるか分かりませんよ?」

「そうですか、その辺はあとでお伺いするとしまして、今回来られている方を紹介いたします。」
そう言って鈴木さんは、この場所に居る主要な人を一人一人紹介していきます。

うん、名前覚えるのめんどくさい・・・。
だって皆さん半分くらいは課長クラスなんだもん、普通は最低でも部長クラス以上が来ません?
そう思いながら紹介される人を眺めていると、見たことある国会議員の人も2人程居ました。

「政治家の人まで来てるんですね?」
「それはもう当然です。今回日本人の大量失踪は判明しているだけで5万人を超えるんですよ、政治家の人も状況を把握するためにお越しになています」

そう言う鈴木さんにこちら側に居る月山部長と土田を紹介し、それぞれゲートの前で一言自己紹介をして貰った後、転移させられてから今までの大まかな流れを出席している人たちに説明をします。

皆さん、一応はこちらの話をメモしたりしながら最後まで聞き、その後に鈴木さんが司会進行をするような感じで質疑応答が始まります。

「質問をいいか?武内君と言ったか。現時点で判明している失踪者は5万人を超えるんだが異世界に転移されたのは3万人、残りの2万人は何処に行ったか分かるか?」
そう言って質問をしてきたのは国会議員さんで、どうやら内閣官房副長官さんだそうです。

「そうですね、ネレース・・・。まあ自分達を異世界に転移させた神と言う存在いわく3万人と言っていたので残の2万人以上は普通に失踪したか家出とかだと思いますよ?」
「そうか、だがその神を名乗るネレースという人がウソを付いている可能性はないのか?」

「そうですね、可能性はありますが、ウソをつく理由がありませんよね?まあ実際の所は分かりませんが、自分達は3万人ときいています」
「そうか、それでその3万人は今すぐ日本にもどれるのか?」

「いえ、無理ですね。そもそもゲートはこの大きさしか開きませんから人間が通れないですし、広大な大陸にバラバラに転移させられているので自分達が居場所を把握している日本人は400人に満たないですね」

そう言うと副長官さんは難しい顔をして黙り込んでしまいます。

「一つ聞きたいんだが、そちらの世界はこの宇宙空間にあるのか?異世界と言われても空想上としか思えんのだが・・」
そう言って質問をしてきたのはもう一人の国会議員さんですが、見たことあるけど誰だっけ?っと言った感じの人です。
うん、自己紹介してくれないと誰か分からないからね?

「そうですね、ネレースから聞き出した情報によると、次元が違う場所、分かりやすく言うと全く別の空間と言うか、亜空間、言うならば通常の物理法則が通じない時空連続体を隔てた場所にあるという事らしいですよ?」
「全く意味が分からん!そもそも亜空間とはどういう空間だ!おい!誰か亜空間を説明できる奴は居ないか?」

そう言って周りの出席者に亜空間の説明を求めていますが、まともに回答出来る人は居ないようです。
うん、多分亜空間は普通の人間では理解できないよ。
だって自分も情報量の多さに頭が処理しきれずにパンクしそうになったし・・・。

「とりあえず銀河系とは全く違う空間にあると思ってください、亜空間を理解する場合情報量が多すぎですまともに理解しようとしても人間には不可能っぽいですから」
「そうか、だが君は理解しているのだろう?なら人間には不可能ではないのじゃないか? まあその辺は一応後回しにしてこちらでも調べさせよう。それで君たちが居場所を把握している日本人が400人にも満たないとは少なすぎないか?話によると向こうの世界では180日が経過しているんだろう?その間にもっと把握とかできなかったのか?」

そう言て憮然としながら質問をしてきます。
「そうですね、とりあえずイメージとしてユーラシア大陸に大小さまざまな国がありそこに3万人がバラバラに送り込まれたようなものですし、その上、各国家もネレースが神託を出したおかげで重要人物として囲い込みをしてますからハッキリ言って無理ですね。むしろ300人以上の人間の居場所を把握できた方が奇跡的です」

そう言うとユーラシア大陸をイメージしたのでしょうか、流石に言葉に詰まっています。
うん、ユーラシア大陸は言い過ぎた。
アメリカ大陸の半分ぐらいとか・・・。
ていうかネレースから貰った地図と自分が移動にかかる時間とか総合的に考えるとヌスターロス大陸って日本の10倍の広さも無いような・・・・。
それに、人間が一番多く住んでいる大陸って言ってたから他にも大きな大陸とか・・・。
そんな事を思っていると国会議員さんが話を続けます。

「それでは、把握している日本人の安否や氏名などは全く分からないという事か・・・。現状日本に戻れない、人数も居場所も把握できない、これじゃあ意味がないじゃないか」
「まあそうなりますね、あとはゲートで人が通れるようになったら自分が各国を回って日本人を強制送還していくのが今の所考えられる方法ですが、既に死亡した人も1000人以上居るっぽいですし、何故か異世界に順応してる人も居ますから、そうそううまくはいきませんね。それにこちらも今かなり切迫してますから気軽に日本人探しの旅とか出来る状態じゃないですから」

「切迫してる?どういう事だ?」
「そうですね、簡単に言うと魔物の大量発生がいつ起こってもおかしくない状況です。つい最近もそこら中で魔物の大量発生が起こって異世界にかなりの被害が出ていますし、自分達が居る所も数万単位のスケルトンの大量発生に襲われ、こっちに居る土田が居る国はコボルトの大量に襲われましたから」

「スケルトン?骨か・・ますますそんなものが動くなんて信じられんが・・・。それとコボルトとはなんだ?そう言う生き物なんだ?」
「そうですね、一般常識で考えたら理解できないですよ。異世界転生とか転移のラノベを何作か読んで貰ってその空想上の世界が現実になったと思ってもらうしかないですね」
そう言うと国会議員さんは完全に沈黙します。

「あの、一つよろしいですか?」

そう言って声をあげたのは警視庁の人で籾山さんと言うそうです。
「今までの話を聞くと、よくある魔法と剣のファンタジー世界と言う感じですがその認識でいいのですか?」
「そうですね、そのように考えてもらった方が良いと思います。ていうかファンタジー世界まんまです」

そう言うと警視庁から来た人籾山さんは何か目を輝かせていますが、恐らく異世界ネタ好きな人なんでしょう、なんか色々質問をしたそうな感じです。

うん、個人的な興味は後回しにして今は有意義な情報交換とか今後とかを話し合いましょうね。
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