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オーク戦

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39日目の朝
もう誰もゴブリンが食事を作っているのに疑問を持ってませんね・・・今朝も普通にゾルスとバルタが作った朝食を普通に食べます。

そしてアイテムBOXに家を収納し、毎朝恒例となりつつある捕えてきてくれた魔物を槍で刺してトドメを刺す作業です。

37日目も38日目も特に問題もなく順調なペースで城塞都市プレモーネに向かって進んでいます。
今朝の時点で今回の転移者8人全員がレベル30を超えたようです。
レベル30ってどの程度の強さなんだろう・・・オークかオーガに出くわしたら戦わせてみようかなと思います。

そんな感じで今日も川沿いを下っていきます。
自分はと言うと捜索に向かった時と同様に2メートル四方以上の石を見つけてはアイテムBOXに収納して行ってます。
うん、岩は役に立つんだよ。
主に山頂から転がすと・・・

「マサト様、前方150メートル程先にオークが5匹程おります。如何いたしますか?」
前方を警戒していたケルチから念話が来ました。
「ケルチ、そのまま様子をみてて、手は出さないで。このまま接触する」
「かしこまりました。」
そう言うとケルチは偵察からオークの監視に移行したようです。

「皆さん、前方にオークが5匹居るそうです。誰か戦って倒してみてください。」
そう言って全員を見渡します。
「バカなことを言うんじゃない!!」
案の定食いついて来たのは野田課長でした。
「バカな事じゃ無いですよ。町に居てもいつ魔物が押し寄せてきて戦闘になるかもしれないので実戦経験は大事です」
そうは言ってもまだ現実を受け入れていないのか野田課長は俺は戦わないぞと言ってそっぽを向いてます。

「はぁ~、他に誰か戦いたい人いますか?」
そう言っても誰もオークと戦うとは言いません。
「そんなんなら君が戦えばいいじゃないか!!!むしろ自分で戦ってみてその上で人に戦えというのが筋だろう!!!」

また野田課長の癇癪が爆発しました・・・・
本当に面倒な人です。
この人の発言のせいで戦ってみますと言い出せないような雰囲気が全員に蔓延しています。
このまま町についても野田課長が絶対トラブルを起こしそうで先が思いやられます。

「じゃあ1匹は自分が倒しますんで残りの4匹は皆さんの誰かがチャレンジしてくださいね」
そう言ってアイテムBOXから剣をだします。
「マサト様、オークがマサト様達に気付いた、向かってきてる」
ケルチからの報告が来ます。

「オークからこちらに向かって来てくれてるようなのでこのまま進んで接敵しますよ」
そう言って先頭を進み前方から来るオークを探します。

「オークはデブっとした人型の体に豚の顔をした魔物です。動きは遅いですが力はありますからスピードで翻弄して攻撃すれば倒せますから」
そう言うと全員が生唾を飲み込んだ感じで体を強張らせます。

すると前方から木の棒に石を蔦で固定した斧のような物を持ったオークが来ます。
「じゃあ1匹倒しますんで」
そう言うと先頭のオークに狙いを定め直後足に力を込め、姿勢を低くし地面を蹴り加速をしオークのの懐に入った瞬間一気に胴を薙ぎます。
ザッシュッ!

オークの胴が真っ二つに別れ地面に崩れ落ちます。

オーガキングとの戦闘を経験したせいか全く恐怖もなく懐に飛び込んでいけましたし何より一刀で切り伏せられました。
剣術の技術上がったのかな・・・そう思いながら同僚たちを見ます。
どうやらオークを見て驚くよりも自分が一刀のもとにオークを真っ二つにした事に驚いているようです。

「た、武内君、オークと言うのはそこまで簡単に倒せるものなのか?」
月山部長が声を上げます。
「多分今の皆さんならここまで簡単にはいかないと思いますが1対1なら普通に倒せると思いますよ」
そう言って残りの4匹を誰に倒してもらうか決めてもらいます。

オークはと言うと仲間が一瞬のうちに殺されたのを見て逃げようとしますがアルチ達サンダーウルフの群れに囲まれて逃げ出せずにいます。

「誰がやりますか?」
そう言って名乗り出るのを待ちます。一瞬の沈黙の後
「私が戦ってみます!!」
と野沢さんから声が上がりました。
ヘタレた男どもよりも女の子の方が度胸があるなとつくづく思います。

再度自分からオークは動きが遅いからスピードで翻弄してとアドバイスをして野沢さんはオークの前に進み出ます。
オークも逃げられないと思ったのか、相手が人間の女性だから大丈夫だと思ったのか野沢さんに向かって来ます。

「やぁ!!」
絞り出したような気合の声と共に槍の穂先がオークに向かっていき、オークは石の斧のような物を振りかぶり槍を叩き落そうと振り下ろします。

ガン!!

オークの振り下ろした石斧が槍を叩き軌道をそらし槍の穂先が地面に刺さります。
オークはそのまま野沢さんの頭部に石斧を叩きつけようとそのまま石斧を横に振り抜きます。
その瞬間、野沢さんは体を横にそらし転がるようにして石斧をよけ再度槍を握りなおします。
そして次の瞬間、再度槍をオークに向け突進します。
オークは再度槍を叩き落そうと石斧を振り下ろします。
その瞬間、野沢さんは一旦槍を引き石斧が空を切った瞬間、オークの右腕に槍を突き刺します。

「ブゥォォォ!!!」

オークが声を上げ右腕を抑えています。
次の瞬間、素早く横に回り込んだ野沢さんの槍がオークの首に突き刺さります。
「ブォ!」
オークは一瞬声をあげそしてその場に崩れ落ちました。

「ハァハァハァ、やりました。こんな感じでよかったですか?」
そう言って緊張の為か息が上がりながら確認をしてきます。

「うん、初めての実戦にしては上出来だと思うよ」
そう聞いて野沢さんは安堵の顔をしています。

反省点というか拙い点はあるんだけどそこはあえて今指摘しなくていいや・・・
そう思いながら次の人は?という顔で同僚たちを見渡します。

「よし、俺がやってみよう!」
そう言ったのは月山部長でした。
月山部長はそういうと槍を構えオークと対峙します。
精神統一をしているように大きく息を吸いゆっくりを息を吐きだしつつ間合いを詰めます。
オークは石斧を振り上げた次の瞬間
「やぁあ!!!!」

気合の籠った声と共に槍の穂先がオークの喉を貫きすぐさま槍を引くと胸を目掛けて再度突き刺します。
ドッサ!!

オークが膝をつき地面に倒れました。
「月山部長!!さすがです!!」
野田課長が真っ先に声を上げ月山部長に駆け寄り褒めだします。
その瞬間、残りのオーク2匹が石斧を振り上げ向かって来ます。
「ひぃっ」

悲鳴を上げ尻餅をつく野田課長を横目に月山部長は一匹のオークの懐に入り振り下ろそうとした右腕をつかみ抱えるとで固定し、オークの体を背負い上げて、投げ飛ばします。
投げ飛ばされたオークは自分に何が起きた分からないようで立ち上がれずにいます。
その間に月山部長は槍を拾いもう一匹のオークの胸に槍を突き刺します。
「ブゥォォォ!!!」

胸を刺されたオークはそのまま後ろに倒れこみます。
そして先ほど投げ飛ばされたオークは立ち上がろうとしている所を本谷さんと熊井さんに槍で刺されて絶命します。

「月山部長は何かされてたんですか?」
月山部長の動きと思いっきりの良さに驚きながら声を掛けます。
「ああ、この会社に入る前は陸上自衛隊に居たからな」
「ああ~それで、どうりで思いっきりの良さと度胸があると思いました」
そう言いながら魔石の回収も覚えてもらっておこうと思います。

「ハンゾウ、皆に魔石の取り方教えてあげてくれる?」
「かしこまりました」

そう言うとハンゾウはナイフを片手に魔石の取り方を教えはじめますが男性陣の河野さん、滝山さん、沖田君、そして尻餅をついたままの野田課長の男性陣4人はその光景を無言で見つめているだけです。
物言わぬ屍になったオークの魔石を月山部長と女性陣がハンゾウのレクチャーのもと取り出していきます。

うん、ここに居る男は月山部長以外はヘタレだ・・・
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