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出航?
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異世界に来て丸1日位がたったのでしょうか。
昨日の今頃はオフィスで同僚と雑談をしながらお弁当を食べていたのに今は塩気も何もない焼いた肉を頬張ってます。
「マサト様、薬草となる草が沢山ありましたので数種類採ってきましたぞ」
「うわぁ! どんだけ採ってきたの!」
「マサト様のアイテムBOXには沢山入りますからつい気合を入れて採ってまいりました」
そういうとロゼフとハンゾウは布を広げ数種類の薬草を仕分けし始めました。
ロゼフとハンゾウは周囲の探索ついでに薬草の材料を探していたようです。
まあ、役に立つ薬草ならアイテムBOXがあるので多くても問題ないですが、長期保存がきくのか疑問だったのですがどうやら濡らした布にくるんでおくと数日鮮度が保てるそうです。
「マサト様!!! 大猟です!!」
ゾルスとバルタも帰ってきました、こちらは昨日捕らえたのと同じ鹿と甜瓜もどきを持ってきてます。
しばらくは、肉と甜瓜もどきが主食かと思うと自然と苦笑いをし町に着いたらまずはまともな食事をしようと心に決めます。
「マサト様、ではこちらをアイテムBOXにしまって頂きましたら出発をしましょうぞ」
ロゼフが出発の提案をしゾルス達も立ち上がり準備をします。
「ロゼフ・・・やっぱり川を船で降らない?」
「船でございますか? 先程から申しているように上流が土砂で埋まりあふれた水が土砂を巻き込みながら流れておる状況でですぞ?」
「うん、それはわかっているんだけどね、あのソリに木を追加してさらに錬成して大型の船を作れば多少の事なら動じないものが作れると思うんだよね」
「大型の船ですか・・・・確かにそれなら多少の土砂なら何とかなりましょうが・・・」
悩んでます、悩んでます・・・
「確かに川沿いを歩いていくと相当時間がかかりそうですが船なら確実に時間は短くなりますしな~。」
あと一押し!
「多分、錬成で作った船は普通の船より確実に丈夫だよ。なんせ木と木を融合させて一つにしてるんだから、それに方向転換も容易だしオール・・櫂って言えばわかるかな、それも用意すれば減速も加速もできるしね」
「う~ん、確かに、マサト様がそうおっしゃるのなら、一度錬成で作っていただいた船を見て決めましょうぞ」
勝った!! 心の中で内なる自分がガッツポーズをしてます。
まあ嘘は言ってません、オールで方向もある程度決められますし大型ならそう簡単には転覆しませんし。
どちらかというとソリのトラウマで自分が作る乗り物にトラウマが芽生えているように感じます。
うん、あのソリでの山下りはトラウマになりますよね・・・・
「じゃあソリをベースに錬成するから、ゾルス、バルタ、ソリを川の近くまで移動させてくれるかな、あとソリでなぎ倒した木、う~んと、そこの木とこの木、あとあそこの木も持ってきてソリの所においてくれるかな」
「かしこまりました」
そういうと二人は倒れた木を指示通りにソリの上に並べていきます。
うん、大型とは言ったけど横幅3メートル、長さ15メートルくらいになりそうだな、少し錬成で耐久を下げてでも横幅を広げて4メートルぐらいにしとこ・・・
そんな感じで錬成を行い、船を作りオールを2本作ります。もちろん水をかく部分は大きめに作り方向転換等も楽にできるように工夫します。
「よし出来た!! ロゼフ、これならどう?」
「はい、確かにこれなら降れましょうが確実に安全とは言えませんぞ・・・」
「う~ん、岩とかに直撃しない限りは大丈夫でしょ」
そういうと、反対意見が出る前に早速出航準備にとりかかります。
「ゾルスは右でバルタは左、右側がオールを漕いだら左に曲がって、左が漕いだら右に曲がるから、一緒のタイミングで漕ぐと真っすぐ加速するからね」
「ハンゾウは船の先端で前方に障害物が無いか確認してね、あったら教えて」
「かしこまりました。」
「ではマサト様、漕ぐタイミングをご指示ください」
「了解! じゃあしゅっぱぁ~つ!!」
そういうと船を川まで押し出し乗り込んでいきます。
船は最初はゆっくりと、そして流れに乗り徐々にスピードを上げていきます。
「マサト様の言う通り、大型の船なら揺れも少なく安定しておりますな~」
ロゼフが安心したように自分の横に並び声をかけてきます。
「でしょ? まあ、これ以上は危ないと思ったらそこから陸に上がり徒歩で城塞都市を目指すよ。まずはこれでいけるところまで行ってみよう」
そういうと船首に顔を向け前方を見つめます。
相変わらず、川は土砂交じりの強い流れですが船は順調に進んでいきます。
しばらく進むと「ガクン!」「ガガ、ガリガリ!!!」と音とともに船首が急激に下をむき
船首がすれる音がします。
恐らく土砂で高くなった部分から本来の川に入ったのでしょう。
うん順調です。
ガリガリガリ、ガリガリガリ、ガリガリガリ
船底が川底にすれる音が響きます。
「バルタ、少し漕いで右側に船首を向けて、川の真ん中の方に行こう」
「かしこまりました」
そういうとバルタはオールで水をき船首は右を向きます。
「バルタもういいよ、ゾルス、1.2回漕いで船首を真っすぐにして」
「了解です」
そんなこんなで順調な船出となりました。
これなら城塞都市まですぐにつきそうだな・・・・よかった。
そこからはまさに順風満帆
穏やかに船は川を下っていきます。
昨日は気づく余裕はなかったですが、木々が生い茂り景色豊かで観光にでも来た感覚になります。
かなり川を降ったでしょうか。
ポカポカ陽気でウトウトしてきてまさに昼寝日和・・・・
町が近づいたらロゼフたちが起こしてくれるからこのままひと眠り・・・
そう思い目を閉じて船旅を満喫していると
「マサト様!! マサト様!!!!!! 前方に岩があります!!!! 川の流れも急に早くなってます」
ハンゾウの声に眠い目をこすりながら川を見ると確かに川の流れが速くなってます。
「ゾルス、漕いで!! 船首を左に向けで岩を避けよう、バルタは船が左に向いたら漕いで船を真っすぐにして!」
2人はもう慣れた感じで船を操作し大岩を避けます。
「マサト様!! 川が大きく左に曲がってます」
「バルタは少し漕いで右側に大きく船を向けて、右に向いたらカーブの手前でゾルスが漕いで、船首が正面になるように」
「「かしこまりました」」
うん、操船指示も、そしてゾルス達のオール捌きも完璧です!!
ガリガリガリ!
ゴッ!
ガリガリガリ!
また船底がすれ始めました。土砂の影響で水深がかなり浅くなってるのが原因と思いますがこの辺りは水深が深そうな場所はありませんのでこのまま進みましょう。
ガリガリガリ!
ゴッ!
ゴッツ!
ガリガリガリ!!
「マサト様!!! 前方、川が無くなります!!!」
「無くなる?」
ハンゾウの言葉の意味が分からず船首に行き前方を見ると確かに川が無くなっているように見えます。
「滝?段差?」
船は進み急に船首が沈み込むように下がります。
「全員何かに掴まって!!!」
次の瞬間、船首から下に落ちる感覚がありその後大量の水しぶきと共に船尾が水面にたたきつけられる感覚がありました。
ザッバァァァァァァァァァァァァン!!!!
「みんな無事?」
「「「「無事です」」」」
滝というより2メートルくらいの段差でした。
「マサト様、前方に大岩が多数!!」
すぐに見張りに戻ったハンゾウが声を出して警告します。
ゴォォォォォォ!!!!
「バルタ、漕いで右に・・・」
「マサト様! 先程の衝撃で櫂が折れました!! 漕げません」
バルタの悲痛な声がむなしく響き船は岩に向かって流されていきます。
ゴン!!
ガリガリガリ!!
ゴォォォォォォ
ゴッツ!ゴン!
ガリ!!
バキッ!!
ドォン!!
ゴォォォォォォ!!
ゴォォォォォォ!!
ミシミシ・・・
ドォン!!
ガリガリガリ!!
ミシミシ!
ピンボールの玉になった感覚です。
岩にぶつかり木の葉のように流れに揉まれて、また岩にぶつかりの繰り返しです。
ゴォォォォォォ
ゴォォォォォォォォォォォォ
「うん、ヤバいね・・・。ミシミシ言ってるし」
船内はさっき被った水しぶきで水溜まりが出来て浸水しだしてもすぐにはわからなそうです。
しばらく木の葉のように岩と流れに揉まれてます。
船が横を向き岩に吸い込まれぶつかった瞬間
ゴォォォォォォゴォォォォォォ」
ゴォォォォォォ
ミシミシ! ミシミシ!
バキバキバキ!!!
船の右舷が割れ船体が傾き船が大きく揺れます。
ミシミシ! ミシミシ!
ゴォォォォォォゴォォォォォォ」
ゴォォォォォォォォォォォォ
「マサト様! 後ろ!! 上流からみ、水が!!」
ロゼフの声で一斉に振り向くと波のように濁流が迫ってきます。
恐らく水を塞き止めていた土砂が決壊し水と土砂が濁流となって一気に流れてきたようです。
ゴォォォォォォォォォォォォ
「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
そこからはまさに荒波にもまれる木の葉のように流れにもみくちゃにされます。
ゴォォォォォォゴォォォォォォ
「うわぁぁぁぁぁぁぁ」「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
「ゾルス!!! 左側の陸に近づくように漕いで!!」
激流に流されながら左側の陸地を目指してゾルスは漕ぎ続けてます。
「ゾルス頑張って!!!」
少しずつ陸に近づいてはいますがまだ距離があります。
うん、このままでは昔の偉い桜の花びらをまとった北町奉行さんが歌ってたように、海に出てしまう可能性があります。
「マサト様! イチかバチかではございますが、私の水魔法を川の流れにぶつければ少しは流れを弱められるかと、ここは試してみてもよろしゅうございますか?」
ロゼフの提案は実行したらどういう結果になるか予測がつきませんがこうなったらイチかバチかです。
「ロゼフやってみて、ゾルスはそのまま漕ぎ続けて陸を目指して!」
そういうとロゼフは呪文を唱え始めすごい勢いの水を放出する魔法を放ちました。
その瞬間、ふと流れが弱くなったのか船は陸の方に近づいていき、最後は陸に乗り上げ船は止まりました。
「ゾルス、ロゼフありがとう」
「いえ、マサト様の励ましがあればこその結果です」
ゾルスはなんか謙遜してますが今回の功労者の一人です。
ロゼフはというと、小言がはじまってます。
「マサト様、だから船は危険だと何度も申し上げたのです。お怪我もなく無事に陸にあがれたからよかったものの、最悪の場合町どころかはるか下流まで行ってしまいましたぞ」
うん、知ってた。多分陸に上がったらお小言だろうなって、思ってたよ。
それにしても現在地は、どの辺りなんだろう。大体の位置が把握できないとこれからの行動に影響するから一度付近を探索と偵察してもらおう。
「バルタ、川沿いに下って、近隣の状況を探ってきて、町がみえるならあとどのくらいで着きそうかも調べられたら調べてきて、よろしく。」
「ハンゾウとロゼフも川沿いを捜索して今晩泊まるのに適した場所が無いか探してきてもらえる」
「ゾルスは自分の護衛として後から川沿いを下っていくから」
「かしこまりました。では早速行ってまいります」
そういうと、バルタは川沿いを走りだし、ハンゾウとロゼフも川沿いを探索しに行きました。
あっロゼフとハンゾウの足がふら付いてる・・・船酔いしたかな?
「ゾルス、今回は助かったよありがとうね」
「いえ、我が主の為に働くのは当然の務めですのでお気になさらず」
そういうとゾルスは護衛に集中するかのように周囲を警戒し始めました。
あっ、そういえばロゼフの水魔法で一角地竜とアトゥロォゥシャスタートルを水洗いして泥を落とすの忘れてた。
ロゼフが戻って来たら水魔法で洗ってもらおう。
さて、少し休んだら道すがらゾルスにゴブリンキングならではの苦労話でも聞きながらロゼフ達を追いかけよう。
昨日の今頃はオフィスで同僚と雑談をしながらお弁当を食べていたのに今は塩気も何もない焼いた肉を頬張ってます。
「マサト様、薬草となる草が沢山ありましたので数種類採ってきましたぞ」
「うわぁ! どんだけ採ってきたの!」
「マサト様のアイテムBOXには沢山入りますからつい気合を入れて採ってまいりました」
そういうとロゼフとハンゾウは布を広げ数種類の薬草を仕分けし始めました。
ロゼフとハンゾウは周囲の探索ついでに薬草の材料を探していたようです。
まあ、役に立つ薬草ならアイテムBOXがあるので多くても問題ないですが、長期保存がきくのか疑問だったのですがどうやら濡らした布にくるんでおくと数日鮮度が保てるそうです。
「マサト様!!! 大猟です!!」
ゾルスとバルタも帰ってきました、こちらは昨日捕らえたのと同じ鹿と甜瓜もどきを持ってきてます。
しばらくは、肉と甜瓜もどきが主食かと思うと自然と苦笑いをし町に着いたらまずはまともな食事をしようと心に決めます。
「マサト様、ではこちらをアイテムBOXにしまって頂きましたら出発をしましょうぞ」
ロゼフが出発の提案をしゾルス達も立ち上がり準備をします。
「ロゼフ・・・やっぱり川を船で降らない?」
「船でございますか? 先程から申しているように上流が土砂で埋まりあふれた水が土砂を巻き込みながら流れておる状況でですぞ?」
「うん、それはわかっているんだけどね、あのソリに木を追加してさらに錬成して大型の船を作れば多少の事なら動じないものが作れると思うんだよね」
「大型の船ですか・・・・確かにそれなら多少の土砂なら何とかなりましょうが・・・」
悩んでます、悩んでます・・・
「確かに川沿いを歩いていくと相当時間がかかりそうですが船なら確実に時間は短くなりますしな~。」
あと一押し!
「多分、錬成で作った船は普通の船より確実に丈夫だよ。なんせ木と木を融合させて一つにしてるんだから、それに方向転換も容易だしオール・・櫂って言えばわかるかな、それも用意すれば減速も加速もできるしね」
「う~ん、確かに、マサト様がそうおっしゃるのなら、一度錬成で作っていただいた船を見て決めましょうぞ」
勝った!! 心の中で内なる自分がガッツポーズをしてます。
まあ嘘は言ってません、オールで方向もある程度決められますし大型ならそう簡単には転覆しませんし。
どちらかというとソリのトラウマで自分が作る乗り物にトラウマが芽生えているように感じます。
うん、あのソリでの山下りはトラウマになりますよね・・・・
「じゃあソリをベースに錬成するから、ゾルス、バルタ、ソリを川の近くまで移動させてくれるかな、あとソリでなぎ倒した木、う~んと、そこの木とこの木、あとあそこの木も持ってきてソリの所においてくれるかな」
「かしこまりました」
そういうと二人は倒れた木を指示通りにソリの上に並べていきます。
うん、大型とは言ったけど横幅3メートル、長さ15メートルくらいになりそうだな、少し錬成で耐久を下げてでも横幅を広げて4メートルぐらいにしとこ・・・
そんな感じで錬成を行い、船を作りオールを2本作ります。もちろん水をかく部分は大きめに作り方向転換等も楽にできるように工夫します。
「よし出来た!! ロゼフ、これならどう?」
「はい、確かにこれなら降れましょうが確実に安全とは言えませんぞ・・・」
「う~ん、岩とかに直撃しない限りは大丈夫でしょ」
そういうと、反対意見が出る前に早速出航準備にとりかかります。
「ゾルスは右でバルタは左、右側がオールを漕いだら左に曲がって、左が漕いだら右に曲がるから、一緒のタイミングで漕ぐと真っすぐ加速するからね」
「ハンゾウは船の先端で前方に障害物が無いか確認してね、あったら教えて」
「かしこまりました。」
「ではマサト様、漕ぐタイミングをご指示ください」
「了解! じゃあしゅっぱぁ~つ!!」
そういうと船を川まで押し出し乗り込んでいきます。
船は最初はゆっくりと、そして流れに乗り徐々にスピードを上げていきます。
「マサト様の言う通り、大型の船なら揺れも少なく安定しておりますな~」
ロゼフが安心したように自分の横に並び声をかけてきます。
「でしょ? まあ、これ以上は危ないと思ったらそこから陸に上がり徒歩で城塞都市を目指すよ。まずはこれでいけるところまで行ってみよう」
そういうと船首に顔を向け前方を見つめます。
相変わらず、川は土砂交じりの強い流れですが船は順調に進んでいきます。
しばらく進むと「ガクン!」「ガガ、ガリガリ!!!」と音とともに船首が急激に下をむき
船首がすれる音がします。
恐らく土砂で高くなった部分から本来の川に入ったのでしょう。
うん順調です。
ガリガリガリ、ガリガリガリ、ガリガリガリ
船底が川底にすれる音が響きます。
「バルタ、少し漕いで右側に船首を向けて、川の真ん中の方に行こう」
「かしこまりました」
そういうとバルタはオールで水をき船首は右を向きます。
「バルタもういいよ、ゾルス、1.2回漕いで船首を真っすぐにして」
「了解です」
そんなこんなで順調な船出となりました。
これなら城塞都市まですぐにつきそうだな・・・・よかった。
そこからはまさに順風満帆
穏やかに船は川を下っていきます。
昨日は気づく余裕はなかったですが、木々が生い茂り景色豊かで観光にでも来た感覚になります。
かなり川を降ったでしょうか。
ポカポカ陽気でウトウトしてきてまさに昼寝日和・・・・
町が近づいたらロゼフたちが起こしてくれるからこのままひと眠り・・・
そう思い目を閉じて船旅を満喫していると
「マサト様!! マサト様!!!!!! 前方に岩があります!!!! 川の流れも急に早くなってます」
ハンゾウの声に眠い目をこすりながら川を見ると確かに川の流れが速くなってます。
「ゾルス、漕いで!! 船首を左に向けで岩を避けよう、バルタは船が左に向いたら漕いで船を真っすぐにして!」
2人はもう慣れた感じで船を操作し大岩を避けます。
「マサト様!! 川が大きく左に曲がってます」
「バルタは少し漕いで右側に大きく船を向けて、右に向いたらカーブの手前でゾルスが漕いで、船首が正面になるように」
「「かしこまりました」」
うん、操船指示も、そしてゾルス達のオール捌きも完璧です!!
ガリガリガリ!
ゴッ!
ガリガリガリ!
また船底がすれ始めました。土砂の影響で水深がかなり浅くなってるのが原因と思いますがこの辺りは水深が深そうな場所はありませんのでこのまま進みましょう。
ガリガリガリ!
ゴッ!
ゴッツ!
ガリガリガリ!!
「マサト様!!! 前方、川が無くなります!!!」
「無くなる?」
ハンゾウの言葉の意味が分からず船首に行き前方を見ると確かに川が無くなっているように見えます。
「滝?段差?」
船は進み急に船首が沈み込むように下がります。
「全員何かに掴まって!!!」
次の瞬間、船首から下に落ちる感覚がありその後大量の水しぶきと共に船尾が水面にたたきつけられる感覚がありました。
ザッバァァァァァァァァァァァァン!!!!
「みんな無事?」
「「「「無事です」」」」
滝というより2メートルくらいの段差でした。
「マサト様、前方に大岩が多数!!」
すぐに見張りに戻ったハンゾウが声を出して警告します。
ゴォォォォォォ!!!!
「バルタ、漕いで右に・・・」
「マサト様! 先程の衝撃で櫂が折れました!! 漕げません」
バルタの悲痛な声がむなしく響き船は岩に向かって流されていきます。
ゴン!!
ガリガリガリ!!
ゴォォォォォォ
ゴッツ!ゴン!
ガリ!!
バキッ!!
ドォン!!
ゴォォォォォォ!!
ゴォォォォォォ!!
ミシミシ・・・
ドォン!!
ガリガリガリ!!
ミシミシ!
ピンボールの玉になった感覚です。
岩にぶつかり木の葉のように流れに揉まれて、また岩にぶつかりの繰り返しです。
ゴォォォォォォ
ゴォォォォォォォォォォォォ
「うん、ヤバいね・・・。ミシミシ言ってるし」
船内はさっき被った水しぶきで水溜まりが出来て浸水しだしてもすぐにはわからなそうです。
しばらく木の葉のように岩と流れに揉まれてます。
船が横を向き岩に吸い込まれぶつかった瞬間
ゴォォォォォォゴォォォォォォ」
ゴォォォォォォ
ミシミシ! ミシミシ!
バキバキバキ!!!
船の右舷が割れ船体が傾き船が大きく揺れます。
ミシミシ! ミシミシ!
ゴォォォォォォゴォォォォォォ」
ゴォォォォォォォォォォォォ
「マサト様! 後ろ!! 上流からみ、水が!!」
ロゼフの声で一斉に振り向くと波のように濁流が迫ってきます。
恐らく水を塞き止めていた土砂が決壊し水と土砂が濁流となって一気に流れてきたようです。
ゴォォォォォォォォォォォォ
「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
そこからはまさに荒波にもまれる木の葉のように流れにもみくちゃにされます。
ゴォォォォォォゴォォォォォォ
「うわぁぁぁぁぁぁぁ」「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
「ゾルス!!! 左側の陸に近づくように漕いで!!」
激流に流されながら左側の陸地を目指してゾルスは漕ぎ続けてます。
「ゾルス頑張って!!!」
少しずつ陸に近づいてはいますがまだ距離があります。
うん、このままでは昔の偉い桜の花びらをまとった北町奉行さんが歌ってたように、海に出てしまう可能性があります。
「マサト様! イチかバチかではございますが、私の水魔法を川の流れにぶつければ少しは流れを弱められるかと、ここは試してみてもよろしゅうございますか?」
ロゼフの提案は実行したらどういう結果になるか予測がつきませんがこうなったらイチかバチかです。
「ロゼフやってみて、ゾルスはそのまま漕ぎ続けて陸を目指して!」
そういうとロゼフは呪文を唱え始めすごい勢いの水を放出する魔法を放ちました。
その瞬間、ふと流れが弱くなったのか船は陸の方に近づいていき、最後は陸に乗り上げ船は止まりました。
「ゾルス、ロゼフありがとう」
「いえ、マサト様の励ましがあればこその結果です」
ゾルスはなんか謙遜してますが今回の功労者の一人です。
ロゼフはというと、小言がはじまってます。
「マサト様、だから船は危険だと何度も申し上げたのです。お怪我もなく無事に陸にあがれたからよかったものの、最悪の場合町どころかはるか下流まで行ってしまいましたぞ」
うん、知ってた。多分陸に上がったらお小言だろうなって、思ってたよ。
それにしても現在地は、どの辺りなんだろう。大体の位置が把握できないとこれからの行動に影響するから一度付近を探索と偵察してもらおう。
「バルタ、川沿いに下って、近隣の状況を探ってきて、町がみえるならあとどのくらいで着きそうかも調べられたら調べてきて、よろしく。」
「ハンゾウとロゼフも川沿いを捜索して今晩泊まるのに適した場所が無いか探してきてもらえる」
「ゾルスは自分の護衛として後から川沿いを下っていくから」
「かしこまりました。では早速行ってまいります」
そういうと、バルタは川沿いを走りだし、ハンゾウとロゼフも川沿いを探索しに行きました。
あっロゼフとハンゾウの足がふら付いてる・・・船酔いしたかな?
「ゾルス、今回は助かったよありがとうね」
「いえ、我が主の為に働くのは当然の務めですのでお気になさらず」
そういうとゾルスは護衛に集中するかのように周囲を警戒し始めました。
あっ、そういえばロゼフの水魔法で一角地竜とアトゥロォゥシャスタートルを水洗いして泥を落とすの忘れてた。
ロゼフが戻って来たら水魔法で洗ってもらおう。
さて、少し休んだら道すがらゾルスにゴブリンキングならではの苦労話でも聞きながらロゼフ達を追いかけよう。
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だが、死んだはず祐也は草原で目を覚ました。
そして自分の姿を確認するとソコにはユグドラシルオンラインでの装備をつけている自分の姿があった。
その後、なんと体は若返り、ゲーム時代のステータス、装備、アイテム等を引き継いだ状態で異世界に来たことが判明する。
20年間プレイし続けたゲームのステータスや道具などを持った状態で異世界に来てしまった祐也は異世界で何をするのか。
「取り敢えず、この世界を楽しもうか」
この作品は自分が以前に書いたユグドラシルオンラインの続編です。
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