こうゆうっ♪

た〜こいず

文字の大きさ
上 下
43 / 46
第2章 交わる過去

惰性の交わり 〜Story of 越出渥愛〜

しおりを挟む
「はあ、はあ!渥愛さん……渥愛さんっ!」
「んっ、んっ、んっ……」

 私の名前は越出えちで渥愛あくめ。今、セックスをしているところだ。

 相手は、いわば私の彼氏。
 三十歳独身で未婚。一流企業に勤めていて年収も高い。
 容姿も十分なイケメン。おまけに性欲も強い。今日で三回目だが、身に染みて分かる。

 彼とは親のツテで知り合い、付き合うことになった。アラサーにもなって仕事一筋の私を心配し、取り計らってくれたわけだ。結婚して幸せになれ……そう言いたげな親の顔が目に浮かぶ。

 はっきり言って、余計なお世話だ。

「渥愛さん……イくっ!」

 彼が絶頂に達した。ゴム越しに伝わる、精液の温かみ。

(またか……私まだイッてないのに)

 三度目ともなれば、フリをすることは上手くなる。こんなの、虚無だ……



「はぁーあ」

 わざとらしく大きなため息をつく。
 翌日、職場の学校。
 自分のデスクに自慢のを乗せて、気怠げな声を出してみる。

 周りの同僚たちには、気まずそうに私の顔を覗き込む者もあれば、スルーする者もある。

 ただ、全員多分、考えていることは一緒だろう。

(また男関係だろうな……とか、どうせ思われてんだろ)

 わざとらしく不満そうな顔で、机上のファイルを眺める。

「え、越出先生……大丈夫ですか?」

 不意に声がかかる。
 向かいに座る、国語教師の阿奈野あなの那加なか先生だ。
 少しおどおどした様子で、私を気にかけてくれる。

「あー、あなちゃん。ごめんよ、朝から辛気臭い顔しちゃって。大丈夫、身体は、元気よ」

「い、いえ!体調悪いとかなのかなってちょっと心配になって……お元気なら、よかったです」

 彼女はまだこの職場、私が勤める"私立下音田しもおんだ学園"に来たばかりの、新米教師。
 ここじゃ私は、男絡みで年中頭を悩ませるしょうもない女で通ってるが、彼女はそんな私とも分け隔てなく接してくれる。
 なかなか珍しい人だ。
 私より7つも年下なのに、結構しっかり者だし。

「ありがとな、いつも。うん、話してたら元気出た!悩みなんてスパッと忘れて、仕事に集中しますよっと」

 わざとらしく元気に振る舞い、ほおをパンパンと軽く叩く。
 そんな私にあなちゃんは、遠慮がちながら優しい微笑みをくれた。


「次、位置について、よーい……スタート!」

 私の担当科目は、体育。
 体育大を出てたので、指導教育にはかなり自信がある。

 ゆえに、他の先生と比べると、ちょっと厳しいようにも映るらしい。
 男勝りで強気な性格と口調が、それを助長してしまう。
 ま、生徒さえきちんとついてくれば、割とどうでもいいけれど。

 とはいえ……
 男運は、最悪だ。

 昨日の一件もそうだが、私はとことんいい男と出会う確率が、低い。いい男ってのは、顔や世間体のことじゃない。ぶっちゃけ言うと、身体の相性だ。
 だが思えばそれも、きっと高校時代からこの仕事に就く夢を、持ち続けてしまったからなのかもしれない。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

女子バスケットボール部キャプテン同士の威信を賭けた格闘

ヒロワークス
大衆娯楽
女子大同士のバスケットボールの試合後、キャプテンの白井有紀と岡本彩花が激しい口論に。 原因は、試合中に彩花が有紀に対して行ったラフプレーの数々だった。 怒った有紀は、彩花に喧嘩同然の闘いを申し込み、彩花も売り言葉に買い言葉で受ける。 2人は、蒸し暑い柔道場で、服をはぎ取り合いながら、激しい闘いを繰り広げる。

真夏の温泉物語

矢木羽研
青春
山奥の温泉にのんびり浸かっていた俺の前に現れた謎の少女は何者……?ちょっとエッチ(R15)で切ない、真夏の白昼夢。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

これ以上ヤったら●っちゃう!

ヘロディア
恋愛
彼氏が変態である主人公。 いつも自分の部屋に呼んで戯れていたが、とうとう彼の部屋に呼ばれてしまい…

校長先生の話が長い、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。 学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。 とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。 寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ? なぜ女子だけが前列に集められるのか? そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。 新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。 あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。

13歳女子は男友達のためヌードモデルになる

矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

処理中です...