39 / 46
第2章 交わる過去
バレたからには 〜Story of 御万小郁〜
しおりを挟む
周りの環境が災いして、私はすっかり荒れた。
SNSで知り合った学外の不良ともつるみ、酒もタバコもやってみた。
当然、援交もした。
「はぁ、はぁ……小郁ちゃん……いい身体だよぉ~……フヒッ」
おっさんが吐く、クソみたいなテンプレ台詞を何度聞いたことか。
童貞を拗らせた、だらしない身体。
その付属品みたいになったチンポを、何度口に含んだことか。
吐き気がするような最悪な味と匂い。
なのに。
誰かに求められる。
裸の、素の私を受け入れてもらえる。
そのことが、私の欲を満たし、やめられなくなっていた。
その私が変わるきっかけが、下音田学園への入学。
自慢じゃないけど、元々勉強はできる方だった。
だからグレたのを親に見破られないために受験したら、あっさり受かってしまった。
(なんだチョロいじゃん……さぁて、タバコミュニケーションできるやついるかな??)
親も満足気だったので、軽い気持ちで通うことにした学園。
そこは、私の想像を遥かに上回る、やばいところだった。
まずもって不良たる生徒が本当に一人もいない。
いじめも起きない。
差別もない。
ただただ、自分の勉学に打ち込み、成績競争で上位に立つことばかりを求める者の集まり。
それでいて誠実な人ばかり。
人柄だけなら、某二刀流のプロ野球選手みたいな人が何人も輩出されそう。
さしもの私も、あの時はとても萎えた。
こいつら全員ロボットなんじゃないか?と思うほど。
多分、本当の意味で私を認めてくれる人はここにいないのだろうな、と。
ろくに授業も受けられず、私は保健室通いになってしまった。
「あら、今日も来たの?」
「まあ、その……落ち着くから」
「……ま、いいんじゃない?先生には私から伝えといてあげるから、ゆっくり心を回復すれば良いのよ」
「……」
保健室の天江名先生は優しい。
こんな私の本性も知らずに。
私はこれまでにない対応を受け、戸惑いながらも甘えてしまっていた。
いつものようにバッグを放り、そっとベッドに腰掛ける。
テーブルを引き寄せてネイルを塗っていると、先生から声がかかった。
「時に、小郁殿?」
「江戸時代かよ。なあに、先生?」
「タバコはやめた方が良いわよ。まだ未成年なんだし」
「大丈夫だよ。タール3だからs……は?え!?……なんで知って……」
思わず瓶を床に落としてしまう。
「校舎裏。いつもしゃがんで隠れてやってるでしょ?あれ、実は保健室からは見えちゃうのよ?」
唖然とした。
いつものおふざけに答えるだけのつもりが、まんまと誘導尋問に引っかかったのだ。
観念するしか無い。
「だって……だってしょうがないじゃん!!親とか周りには気品ある人になれとか言われるし、散々縛りを受けて……おまけにこの学校の連中もやばいし!なにあいつら人間じゃないでしょ!昔のセフレだってそう。真っ当な暮らし始めやがって、もう会ってもくれない……そりゃタバコくらいやるでしょ!!」
イライラが募り、気持ちを全部ぶちまけた。
SNSで知り合った学外の不良ともつるみ、酒もタバコもやってみた。
当然、援交もした。
「はぁ、はぁ……小郁ちゃん……いい身体だよぉ~……フヒッ」
おっさんが吐く、クソみたいなテンプレ台詞を何度聞いたことか。
童貞を拗らせた、だらしない身体。
その付属品みたいになったチンポを、何度口に含んだことか。
吐き気がするような最悪な味と匂い。
なのに。
誰かに求められる。
裸の、素の私を受け入れてもらえる。
そのことが、私の欲を満たし、やめられなくなっていた。
その私が変わるきっかけが、下音田学園への入学。
自慢じゃないけど、元々勉強はできる方だった。
だからグレたのを親に見破られないために受験したら、あっさり受かってしまった。
(なんだチョロいじゃん……さぁて、タバコミュニケーションできるやついるかな??)
親も満足気だったので、軽い気持ちで通うことにした学園。
そこは、私の想像を遥かに上回る、やばいところだった。
まずもって不良たる生徒が本当に一人もいない。
いじめも起きない。
差別もない。
ただただ、自分の勉学に打ち込み、成績競争で上位に立つことばかりを求める者の集まり。
それでいて誠実な人ばかり。
人柄だけなら、某二刀流のプロ野球選手みたいな人が何人も輩出されそう。
さしもの私も、あの時はとても萎えた。
こいつら全員ロボットなんじゃないか?と思うほど。
多分、本当の意味で私を認めてくれる人はここにいないのだろうな、と。
ろくに授業も受けられず、私は保健室通いになってしまった。
「あら、今日も来たの?」
「まあ、その……落ち着くから」
「……ま、いいんじゃない?先生には私から伝えといてあげるから、ゆっくり心を回復すれば良いのよ」
「……」
保健室の天江名先生は優しい。
こんな私の本性も知らずに。
私はこれまでにない対応を受け、戸惑いながらも甘えてしまっていた。
いつものようにバッグを放り、そっとベッドに腰掛ける。
テーブルを引き寄せてネイルを塗っていると、先生から声がかかった。
「時に、小郁殿?」
「江戸時代かよ。なあに、先生?」
「タバコはやめた方が良いわよ。まだ未成年なんだし」
「大丈夫だよ。タール3だからs……は?え!?……なんで知って……」
思わず瓶を床に落としてしまう。
「校舎裏。いつもしゃがんで隠れてやってるでしょ?あれ、実は保健室からは見えちゃうのよ?」
唖然とした。
いつものおふざけに答えるだけのつもりが、まんまと誘導尋問に引っかかったのだ。
観念するしか無い。
「だって……だってしょうがないじゃん!!親とか周りには気品ある人になれとか言われるし、散々縛りを受けて……おまけにこの学校の連中もやばいし!なにあいつら人間じゃないでしょ!昔のセフレだってそう。真っ当な暮らし始めやがって、もう会ってもくれない……そりゃタバコくらいやるでしょ!!」
イライラが募り、気持ちを全部ぶちまけた。
0
お気に入りに追加
60
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
俺の高校生活がラブコメ的な状況になっている件
ながしょー
青春
高校入学を前に両親は長期海外出張。
一人暮らしになるかと思いきや、出発当日の朝、父からとんでもないことを言われた。
それは……
同い年の子と同居?!しかも女の子!
ただえさえ、俺は中学の頃はぼっちで人と話す事も苦手なのだが。
とにかく、同居することになった子はとてつもなく美少女だった。
これから俺はどうなる?この先の生活は?ラブコメ的な展開とかあるのか?!
「俺の家には学校一の美少女がいる!」の改稿版です。
主人公の名前やもしかしたら今後いろんなところが変わってくるかもしれません。
話もだいぶ変わると思います。
貞操観念が逆転した世界に転生した俺が全部活の共有マネージャーになるようです
.
恋愛
少子化により男女比が変わって貞操概念が逆転した世界で俺「佐川幸太郎」は通っている高校、東昴女子高等学校で部活共有のマネージャーをする話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる