こうゆうっ♪

た〜こいず

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第2章 交わる過去

バレたからには 〜Story of 御万小郁〜

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 周りの環境が災いして、私はすっかり荒れた。

 SNSで知り合った学外の不良ともつるみ、酒もタバコもやってみた。
 当然、援交もした。

「はぁ、はぁ……小郁ちゃん……いい身体だよぉ~……フヒッ」

 おっさんが吐く、クソみたいなテンプレ台詞を何度聞いたことか。
 童貞を拗らせた、だらしない身体。
 その付属品みたいになったチンポを、何度口に含んだことか。

 吐き気がするような最悪な味と匂い。

 なのに。

 誰かに求められる。
 裸の、素の私を受け入れてもらえる。
 そのことが、私の欲を満たし、やめられなくなっていた。


 その私が変わるきっかけが、下音田学園への入学。

 自慢じゃないけど、元々勉強はできる方だった。
 だからグレたのを親に見破られないために受験したら、あっさり受かってしまった。

(なんだチョロいじゃん……さぁて、タバコミュニケーションできるやついるかな??)

 親も満足気だったので、軽い気持ちで通うことにした学園。
 そこは、私の想像を遥かに上回る、やばいところだった。

 まずもって不良たる生徒が本当に一人もいない。
 いじめも起きない。
 差別もない。


 ただただ、自分の勉学に打ち込み、成績競争で上位に立つことばかりを求める者の集まり。
 それでいて誠実な人ばかり。

 人柄だけなら、某二刀流のプロ野球選手みたいな人が何人も輩出されそう。

 さしもの私も、あの時はとても萎えた。
 こいつら全員ロボットなんじゃないか?と思うほど。

 多分、本当の意味で私を認めてくれる人はここにいないのだろうな、と。

 ろくに授業も受けられず、私は保健室通いになってしまった。


「あら、今日も来たの?」

「まあ、その……落ち着くから」

「……ま、いいんじゃない?先生には私から伝えといてあげるから、ゆっくり心を回復すれば良いのよ」

「……」

 保健室の天江名先生は優しい。
 こんな私の本性も知らずに。

 私はこれまでにない対応を受け、戸惑いながらも甘えてしまっていた。
 いつものようにバッグを放り、そっとベッドに腰掛ける。

 テーブルを引き寄せてネイルを塗っていると、先生から声がかかった。

「時に、小郁殿?」

「江戸時代かよ。なあに、先生?」

「タバコはやめた方が良いわよ。まだ未成年なんだし」

「大丈夫だよ。タール3だからs……は?え!?……なんで知って……」

 思わず瓶を床に落としてしまう。

「校舎裏。いつもしゃがんで隠れてやってるでしょ?あれ、実は保健室からは見えちゃうのよ?」

 唖然とした。

 いつものおふざけに答えるだけのつもりが、まんまと誘導尋問に引っかかったのだ。
 観念するしか無い。

「だって……だってしょうがないじゃん!!親とか周りには気品ある人になれとか言われるし、散々縛りを受けて……おまけにこの学校の連中もやばいし!なにあいつら人間じゃないでしょ!昔のセフレだってそう。真っ当な暮らし始めやがって、もう会ってもくれない……そりゃタバコくらいやるでしょ!!」

 イライラが募り、気持ちを全部ぶちまけた。
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