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第1章 交友部
始まりの春(1/28)
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4月1日。
柔らかい風が、道を吹き抜ける。
朝のニュースでは、3月初旬並の気温と言っていたけれど、心なしかもっと暖かく感じる。長い冬を越したからだろうか?
そう、今年の冬は特に長かった。
間違いなく、人生で一番。
何を隠そう去年は、僕の勝負の年。
受験の年だったのだから。
僕、真奏寛二は、どこにでもいるような男子中学生だった。
そこそこの成績で、小学校から中学校と、公立のまあまあな学校に進学。
よく遊ぶ友達だっている。
特に不満は感じなかった。
ただあるとすれば……家族が凄すぎて、徐々に言い知れぬプレッシャーを感じ始めたことだろう。
共働きの両親は、SNSを活用したビジネスで成功し、夫婦で会社を立ち上げた。
そして僕には、妹もいる。
これがまたすごいやつで、小さい頃から頭が良かった。
そのため、小学校から私立校を受験。
某有名大学の附属校に進学し、学年トップの成績を取り続けている。
こんな家族だから、僕だけ浮いている気がして、妙に後ろめたさを感じたわけだ。
別にそれを理由に親に怒られたり、馬鹿にされたりしたことはない。
優しい家族だ。
しかしそれがまた、僕の劣等感を刺激する。まるで置いて行かれたような、そんな気持ち。
そんなこんなで、受験を決意。
両親に予備校も勧められたけど、あえて自力でやると決め、学校と家だけで勉強に打ち込んだ。
娯楽を封じて勉強するのは大変だったが、何事もやってみるもの。
自分にも『できる人の血』が流れていたのか、みるみる成績は上がり、ついには首都圏屈指の進学校に合格できた。
それも、特進クラス。
合格発表は、家族みんなが一緒に見に来てくれて、自分の番号を見つけた瞬間は、叫びたいくらいに喜びが止まらなかった。
というか、僕以外は三人とも叫んでた。
その後はお祝いもしてもらった。
入学に向けての準備にも付き添ってもらった。
こんなにも家族みんなが集まって、僕のための時間を作ってくれたのは、相当久々な気がした。
素直に、とても嬉しかった。
だからこそ、今度は僕が恩返しする番だ。
合格したことに慢心せず、しっかり学問に励む。そして一流大学に進学し、やがては立派な大人になる。
と、そんなことを考えてるうちに、ついに校舎が目に入るところまで来た。
緊張からか、思わずネクタイの結び目を触ってしまう。
正門の前へ立つ。
刻まれた、『下音田学園』の文字。
(僕は、ついにあの名門校に入学するんだ……!)
期待と緊張で胸が一杯になる中、ずり落ちそうな鞄を肩にかけ直し、校門をくぐった。
柔らかい風が、道を吹き抜ける。
朝のニュースでは、3月初旬並の気温と言っていたけれど、心なしかもっと暖かく感じる。長い冬を越したからだろうか?
そう、今年の冬は特に長かった。
間違いなく、人生で一番。
何を隠そう去年は、僕の勝負の年。
受験の年だったのだから。
僕、真奏寛二は、どこにでもいるような男子中学生だった。
そこそこの成績で、小学校から中学校と、公立のまあまあな学校に進学。
よく遊ぶ友達だっている。
特に不満は感じなかった。
ただあるとすれば……家族が凄すぎて、徐々に言い知れぬプレッシャーを感じ始めたことだろう。
共働きの両親は、SNSを活用したビジネスで成功し、夫婦で会社を立ち上げた。
そして僕には、妹もいる。
これがまたすごいやつで、小さい頃から頭が良かった。
そのため、小学校から私立校を受験。
某有名大学の附属校に進学し、学年トップの成績を取り続けている。
こんな家族だから、僕だけ浮いている気がして、妙に後ろめたさを感じたわけだ。
別にそれを理由に親に怒られたり、馬鹿にされたりしたことはない。
優しい家族だ。
しかしそれがまた、僕の劣等感を刺激する。まるで置いて行かれたような、そんな気持ち。
そんなこんなで、受験を決意。
両親に予備校も勧められたけど、あえて自力でやると決め、学校と家だけで勉強に打ち込んだ。
娯楽を封じて勉強するのは大変だったが、何事もやってみるもの。
自分にも『できる人の血』が流れていたのか、みるみる成績は上がり、ついには首都圏屈指の進学校に合格できた。
それも、特進クラス。
合格発表は、家族みんなが一緒に見に来てくれて、自分の番号を見つけた瞬間は、叫びたいくらいに喜びが止まらなかった。
というか、僕以外は三人とも叫んでた。
その後はお祝いもしてもらった。
入学に向けての準備にも付き添ってもらった。
こんなにも家族みんなが集まって、僕のための時間を作ってくれたのは、相当久々な気がした。
素直に、とても嬉しかった。
だからこそ、今度は僕が恩返しする番だ。
合格したことに慢心せず、しっかり学問に励む。そして一流大学に進学し、やがては立派な大人になる。
と、そんなことを考えてるうちに、ついに校舎が目に入るところまで来た。
緊張からか、思わずネクタイの結び目を触ってしまう。
正門の前へ立つ。
刻まれた、『下音田学園』の文字。
(僕は、ついにあの名門校に入学するんだ……!)
期待と緊張で胸が一杯になる中、ずり落ちそうな鞄を肩にかけ直し、校門をくぐった。
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