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第五章 多様変遷
第三十二話 もう一人の皇太子(二)
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薄珂は閃里を連れて天藍の執務室へ向かった。入ると中には護栄もいて、二人は書類に囲まれている。
「天藍。護栄様」
「ん? どう――……どういう組み合わせだ」
天藍と護栄は薄珂が閃里を伴っている様子に眉をひそめた。
「話があるんだ。どうしても二人に力を借りたい」
「何です? ついに牙燕将軍から皇太子になれとでも言われましたか」
「あ、やっぱり分かってたんだ」
「急に戻られるなんてそれしかありませんよ。ですがそれならこちらも動くまでです」
「ううん。護栄様は動かないでほしい」
「なんですって?」
「護栄様じゃ駄目なんだ。だってこれは皇太子同士の戦いだから」
薄珂は天藍へ目を移した。
天藍は何かを言おうとしたが、それより早くに護栄が間に割って入って来た。
「これは国の問題。あなたの指示を聞く謂れはありませんよ」
「まあそうだね。それでも参加するならその資格を見せてよ」
「資格? 何ですそれは」
「皇太子同士の戦いに参加する資格だよ。護栄様もその資格を持ってるね」
薄珂はとんっと護栄の喉元を指差した。
「あなたは宋睿の息子。先の皇太子だ」
薄珂はにこりと微笑んだ。
天藍と閃里は何に驚いたのか目を見開き、護栄は顔色一つ変えずにため息を吐いた。
「何ですその馬鹿な」
「有翼人狩りを起こしたのはあなただね」
護栄の言葉を遮りそう告げると、答えたのは護栄ではなく天藍だった。
天藍は護栄の肩を引いて下がらせると、自ら一歩前に出た。
「下がれ。いくらお前と言えどもそんな侮辱は許さん」
「解放戦争が成功したのは有翼人狩りという混乱があったからだ。護栄様がそんな不確かな偶然に乗っかるとは思えない。護栄様は宋睿に有翼人狩りをするよう唆した。噂を流して勝利したってそういうことじゃないの?」
「何の確証があって言っている」
「前に響玄先生の言葉に違和感を覚えたことがあるんだ。先生は護栄様が俺と立珂を手厚く扱うのは有翼人狩りと関りがあるからだと思ってた。慌てて『先代皇』なんて言い直してたけどね。それに護栄様なら羽付き狩りの扇動をしかねないとも言ってた。あの先生が何の根拠もなくそんな確信をするはずがないんだ」
「そんな思い込みでこの侮辱が許されるとでも?」
「天藍がそれを言うの? 他の誰がそう思ってもあんたにそれを言う資格はないはずだ」
「……何のことだ」
「だってそうだよ。ねえ、護栄様」
護栄は大きくため息を吐いた。再び天藍の前に立ち、ぎろりと薄珂を睨み付けてくる。
「その通りですよ。認めましょう。ですが私が皇太子だとはどんな戯言か」
「宋睿が明恭と手を組まなかったからだよ。宋睿は政治的手腕は確かで、目的は分からないけど人知れず有翼人を守っていた。そうだよね、閃里様」
「あ? あ、ああ」
突如話を振られて驚いたのか、閃里はびくりと震えて頷いた。
護栄は面倒くさそうにため息を吐き、薄珂はそれを見届けてから言葉を返した。
「有翼人が邪魔なら明恭に差し出し手を組むべきだ。武力進行を防ぎ外交面で優位に立てて、しかも有翼人を手厚く扱う国へ移住させられる。願ったり叶ったりだ。それでも宋睿は有翼人狩りを決行した。きっと誰かが有翼人狩りをした方が有益だと説いたんだ。宋睿のすぐそばにいた誰かが」
「有益だと説けそうだから私が宋睿の皇太子だと? 随分と安直ですね」
「いいや。これは確証があるよ」
「ほお。どんな? 宋睿亡き今誰がその証明を?」
「単純な話だよ。護栄様の育ての親である紅蘭様は宋睿の側室だった。これが分からない。どうして紅蘭様は護栄様を育てたの?」
「才を見出して下さったんですよ。宋睿の役に立つだろうと」
「へえ。つまり護栄様は幼少期から宮廷にいたってことだね」
薄珂がにやりと笑むと、護栄は一瞬だけ目を歪めた。
「……だから何です」
「それは一旦置いておこう。紅蘭様は宋睿の跡継ぎが欲しかったよね。なら絶対に肉食獣人の男児じゃなきゃ駄目だ。でも生まれたのはあろうことか有翼人の女児だった」
紅蘭が側室というのは彼女が自ら宣言したことだ。美星も紅蘭を母と知っていて、護栄もまた彼女が育ての親だと認めている。
全員を個人として知っている薄珂はその関係性に驚いたが、政治的に見れば『びっくりした』どころの話ではない。
「護栄様は美星さんの身代わりだね」
「性別も種族も違う子をですか。そんなのどこかで漏れますよ。皇太子は宋睿の実子です」
「だとしても美星さんの存在が漏れなかったのは事実。美星さんから宋睿の目を逸らすための策を練った誰かがいるんだ。宋睿を騙し続けることのできる誰かがね」
「だったとして私がその実子であることにはなりませんが?」
「じゃあさっきの話に戻ろう。あなたはずっと宮廷にいた。それは間違いないね」
「ええ。でもそれは一職員としてです。宋睿の危うさには気付いていました。だから天藍様率いる解放軍に協力しただけのこと」
「嘘だね」
「……何故?」
「閃里様と麗亜様の証言に一致しないからだよ。閃里様は昔から護栄様を注視してたけど、その理由は『優秀だから』ではなく『護栄』という個人に価値を見いだしてるからだった。これは麗亜様の話と合わないんだ。麗亜様は天藍が立つ前から護栄様を軍師として恐れていた。閃里様と逆だ」
「麗亜殿ですか……」
「あなたは一個人としても軍師としても価値があった。同時に政治へ口を出せる地位と頭脳を持った誰かがいて、美星さんを隠した誰かもいた。なのに宋睿側には解放戦争へ対処できる軍師はいない。そんな時に護栄様は天藍の軍師となり有翼人狩りを起こした。偶然うまくいきすぎだ」
「こじつけですね。証拠がない」
「あるよ。あなたが美星さんを大事にしてるのが何よりの証拠だ」
護栄の口元が揺れた。いつも顔色を変えない護栄が動揺し声を上げたことは少ない。
薄珂の記憶にある限り、美星が襲われた時と美星が羽を落として生き延びた有翼人狩りについて語られた時だけだ。
「それこそ辻褄が合わないでしょう。美星を守るなら有翼人狩りなどすべきではない」
「そう。ここに矛盾があるんだ。美星さんを守る手段として有翼人狩りは最悪手と言っていい。実際それまで隠せてたんだからね。これは多分紅蘭様と響玄先生だけど、権力財力どちらも十分揃ってる」
「だから何だと言うんです。美星がどうあれ私が皇太子だなんて全く繋がらない話だ」
「どうして天藍を選んだの?」
ふいに、護栄はすうっと息を呑んだ。ふうとため息のように吐き捨てると、愚かな言葉に呆れたと見えるような素振りで顔を背けた。
「言わずもがな。宋睿の悪政を覆すに足る方だったからですよ」
「それは変だ。世が世なら美星さんは皇女として優雅な生活を送れたはずだ。それが無理ならせめて穏やかな生活を守ってあげたいだろう。なら悪政でも宋睿の治世を維持するのが一番安全だ。でもそれを覆す男が出て来てしまった」
「それは!」
「護栄様は天藍を選んだんじゃない。選ばざるを得なかったんだ!」
びくりと護栄は全身を揺らして一歩後ずさった。閃里は目を丸くしている。
薄珂は天藍を睨み付けた。
「美星さんを人質に有翼人狩りをやらせたね」
「違います! それは私が決めたことだ!」
「そりゃ護栄様はそう言うよ。美星さんを守るには天藍を守る必要があるもん」
天藍は眉をひそめて俯いていた。
そして逃げるように顔を背けると、消え入りそうな声でぽつりと漏らした。
「……そうだ。俺は戦後足枷になる有翼人を減らしておきたかった」
「だろうね。それには同意するよ」
「天藍様! お止めください! 薄珂も!」
これほど狼狽える護栄の姿は見たことが無かった。いつでも凛と前を向いていた護栄からは想像が付かない。
けれどその姿に目を背け、薄珂はぐいと天藍の胸ぐらを掴んだ。
「政治に偶然はない。偶然という必然を作らせたならその責任を取るべきだ」
「皇太子として全種族平等に尽くす。これが責任だ」
「国民がこれを知ったらどう思うだろうね。仕方ないですねと笑って許してくれると思う?」
「……俺を脅すか」
「今後について現実的な検討だよ。まあ、一つだけお願い聞いてくれたら黙っててあげるけど」
「お願い?」
薄珂はにこりと微笑んだ。
お願い、と疑問の声を漏らしたのは護栄だ。
そして天藍は声を上げて笑った。
「なるほど! 護栄を揺さぶったのは俺を強請るための前振りか!」
「真相が強請りになる天藍が悪いと思うよ」
「違いない。何が望みだ」
「真実を明らかにする。そのためにも牙燕将軍と話をしてもらいたい」
「有翼人狩りの真相は牙燕将軍もご存知だ。だから国葬を提案下さった。先々代皇が目指したとおり、これから蛍宮は有翼人をも愛すると知らしめるために」
「そうだね。でも俺に必要な真実はそれじゃないんだ」
「何?」
「もう一人迎えに行く。それから牙燕将軍と話しをしよう」
「もう一人? 誰だ」
「参加資格のある人をだよ」
薄珂は天藍たち三人へにこりと微笑み歩き始めた。大人三人はごくりと息を呑み、しずしずと薄珂に付いて歩き始めた。
「天藍。護栄様」
「ん? どう――……どういう組み合わせだ」
天藍と護栄は薄珂が閃里を伴っている様子に眉をひそめた。
「話があるんだ。どうしても二人に力を借りたい」
「何です? ついに牙燕将軍から皇太子になれとでも言われましたか」
「あ、やっぱり分かってたんだ」
「急に戻られるなんてそれしかありませんよ。ですがそれならこちらも動くまでです」
「ううん。護栄様は動かないでほしい」
「なんですって?」
「護栄様じゃ駄目なんだ。だってこれは皇太子同士の戦いだから」
薄珂は天藍へ目を移した。
天藍は何かを言おうとしたが、それより早くに護栄が間に割って入って来た。
「これは国の問題。あなたの指示を聞く謂れはありませんよ」
「まあそうだね。それでも参加するならその資格を見せてよ」
「資格? 何ですそれは」
「皇太子同士の戦いに参加する資格だよ。護栄様もその資格を持ってるね」
薄珂はとんっと護栄の喉元を指差した。
「あなたは宋睿の息子。先の皇太子だ」
薄珂はにこりと微笑んだ。
天藍と閃里は何に驚いたのか目を見開き、護栄は顔色一つ変えずにため息を吐いた。
「何ですその馬鹿な」
「有翼人狩りを起こしたのはあなただね」
護栄の言葉を遮りそう告げると、答えたのは護栄ではなく天藍だった。
天藍は護栄の肩を引いて下がらせると、自ら一歩前に出た。
「下がれ。いくらお前と言えどもそんな侮辱は許さん」
「解放戦争が成功したのは有翼人狩りという混乱があったからだ。護栄様がそんな不確かな偶然に乗っかるとは思えない。護栄様は宋睿に有翼人狩りをするよう唆した。噂を流して勝利したってそういうことじゃないの?」
「何の確証があって言っている」
「前に響玄先生の言葉に違和感を覚えたことがあるんだ。先生は護栄様が俺と立珂を手厚く扱うのは有翼人狩りと関りがあるからだと思ってた。慌てて『先代皇』なんて言い直してたけどね。それに護栄様なら羽付き狩りの扇動をしかねないとも言ってた。あの先生が何の根拠もなくそんな確信をするはずがないんだ」
「そんな思い込みでこの侮辱が許されるとでも?」
「天藍がそれを言うの? 他の誰がそう思ってもあんたにそれを言う資格はないはずだ」
「……何のことだ」
「だってそうだよ。ねえ、護栄様」
護栄は大きくため息を吐いた。再び天藍の前に立ち、ぎろりと薄珂を睨み付けてくる。
「その通りですよ。認めましょう。ですが私が皇太子だとはどんな戯言か」
「宋睿が明恭と手を組まなかったからだよ。宋睿は政治的手腕は確かで、目的は分からないけど人知れず有翼人を守っていた。そうだよね、閃里様」
「あ? あ、ああ」
突如話を振られて驚いたのか、閃里はびくりと震えて頷いた。
護栄は面倒くさそうにため息を吐き、薄珂はそれを見届けてから言葉を返した。
「有翼人が邪魔なら明恭に差し出し手を組むべきだ。武力進行を防ぎ外交面で優位に立てて、しかも有翼人を手厚く扱う国へ移住させられる。願ったり叶ったりだ。それでも宋睿は有翼人狩りを決行した。きっと誰かが有翼人狩りをした方が有益だと説いたんだ。宋睿のすぐそばにいた誰かが」
「有益だと説けそうだから私が宋睿の皇太子だと? 随分と安直ですね」
「いいや。これは確証があるよ」
「ほお。どんな? 宋睿亡き今誰がその証明を?」
「単純な話だよ。護栄様の育ての親である紅蘭様は宋睿の側室だった。これが分からない。どうして紅蘭様は護栄様を育てたの?」
「才を見出して下さったんですよ。宋睿の役に立つだろうと」
「へえ。つまり護栄様は幼少期から宮廷にいたってことだね」
薄珂がにやりと笑むと、護栄は一瞬だけ目を歪めた。
「……だから何です」
「それは一旦置いておこう。紅蘭様は宋睿の跡継ぎが欲しかったよね。なら絶対に肉食獣人の男児じゃなきゃ駄目だ。でも生まれたのはあろうことか有翼人の女児だった」
紅蘭が側室というのは彼女が自ら宣言したことだ。美星も紅蘭を母と知っていて、護栄もまた彼女が育ての親だと認めている。
全員を個人として知っている薄珂はその関係性に驚いたが、政治的に見れば『びっくりした』どころの話ではない。
「護栄様は美星さんの身代わりだね」
「性別も種族も違う子をですか。そんなのどこかで漏れますよ。皇太子は宋睿の実子です」
「だとしても美星さんの存在が漏れなかったのは事実。美星さんから宋睿の目を逸らすための策を練った誰かがいるんだ。宋睿を騙し続けることのできる誰かがね」
「だったとして私がその実子であることにはなりませんが?」
「じゃあさっきの話に戻ろう。あなたはずっと宮廷にいた。それは間違いないね」
「ええ。でもそれは一職員としてです。宋睿の危うさには気付いていました。だから天藍様率いる解放軍に協力しただけのこと」
「嘘だね」
「……何故?」
「閃里様と麗亜様の証言に一致しないからだよ。閃里様は昔から護栄様を注視してたけど、その理由は『優秀だから』ではなく『護栄』という個人に価値を見いだしてるからだった。これは麗亜様の話と合わないんだ。麗亜様は天藍が立つ前から護栄様を軍師として恐れていた。閃里様と逆だ」
「麗亜殿ですか……」
「あなたは一個人としても軍師としても価値があった。同時に政治へ口を出せる地位と頭脳を持った誰かがいて、美星さんを隠した誰かもいた。なのに宋睿側には解放戦争へ対処できる軍師はいない。そんな時に護栄様は天藍の軍師となり有翼人狩りを起こした。偶然うまくいきすぎだ」
「こじつけですね。証拠がない」
「あるよ。あなたが美星さんを大事にしてるのが何よりの証拠だ」
護栄の口元が揺れた。いつも顔色を変えない護栄が動揺し声を上げたことは少ない。
薄珂の記憶にある限り、美星が襲われた時と美星が羽を落として生き延びた有翼人狩りについて語られた時だけだ。
「それこそ辻褄が合わないでしょう。美星を守るなら有翼人狩りなどすべきではない」
「そう。ここに矛盾があるんだ。美星さんを守る手段として有翼人狩りは最悪手と言っていい。実際それまで隠せてたんだからね。これは多分紅蘭様と響玄先生だけど、権力財力どちらも十分揃ってる」
「だから何だと言うんです。美星がどうあれ私が皇太子だなんて全く繋がらない話だ」
「どうして天藍を選んだの?」
ふいに、護栄はすうっと息を呑んだ。ふうとため息のように吐き捨てると、愚かな言葉に呆れたと見えるような素振りで顔を背けた。
「言わずもがな。宋睿の悪政を覆すに足る方だったからですよ」
「それは変だ。世が世なら美星さんは皇女として優雅な生活を送れたはずだ。それが無理ならせめて穏やかな生活を守ってあげたいだろう。なら悪政でも宋睿の治世を維持するのが一番安全だ。でもそれを覆す男が出て来てしまった」
「それは!」
「護栄様は天藍を選んだんじゃない。選ばざるを得なかったんだ!」
びくりと護栄は全身を揺らして一歩後ずさった。閃里は目を丸くしている。
薄珂は天藍を睨み付けた。
「美星さんを人質に有翼人狩りをやらせたね」
「違います! それは私が決めたことだ!」
「そりゃ護栄様はそう言うよ。美星さんを守るには天藍を守る必要があるもん」
天藍は眉をひそめて俯いていた。
そして逃げるように顔を背けると、消え入りそうな声でぽつりと漏らした。
「……そうだ。俺は戦後足枷になる有翼人を減らしておきたかった」
「だろうね。それには同意するよ」
「天藍様! お止めください! 薄珂も!」
これほど狼狽える護栄の姿は見たことが無かった。いつでも凛と前を向いていた護栄からは想像が付かない。
けれどその姿に目を背け、薄珂はぐいと天藍の胸ぐらを掴んだ。
「政治に偶然はない。偶然という必然を作らせたならその責任を取るべきだ」
「皇太子として全種族平等に尽くす。これが責任だ」
「国民がこれを知ったらどう思うだろうね。仕方ないですねと笑って許してくれると思う?」
「……俺を脅すか」
「今後について現実的な検討だよ。まあ、一つだけお願い聞いてくれたら黙っててあげるけど」
「お願い?」
薄珂はにこりと微笑んだ。
お願い、と疑問の声を漏らしたのは護栄だ。
そして天藍は声を上げて笑った。
「なるほど! 護栄を揺さぶったのは俺を強請るための前振りか!」
「真相が強請りになる天藍が悪いと思うよ」
「違いない。何が望みだ」
「真実を明らかにする。そのためにも牙燕将軍と話をしてもらいたい」
「有翼人狩りの真相は牙燕将軍もご存知だ。だから国葬を提案下さった。先々代皇が目指したとおり、これから蛍宮は有翼人をも愛すると知らしめるために」
「そうだね。でも俺に必要な真実はそれじゃないんだ」
「何?」
「もう一人迎えに行く。それから牙燕将軍と話しをしよう」
「もう一人? 誰だ」
「参加資格のある人をだよ」
薄珂は天藍たち三人へにこりと微笑み歩き始めた。大人三人はごくりと息を呑み、しずしずと薄珂に付いて歩き始めた。
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