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第五章 多様変遷
第四話 創樹との再会(二)
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「創樹も勉強していたんですよ。礼儀作法は莉雹殿のお墨付きですし、文字の読み書きは薄珂よりも優秀です」
「えっ、すごいね。じゃあ宮廷で働いてるの?」
「雇ってもらってるけど職場は宮廷じゃないんだ。今日はその案内だ! きっと驚くぞ!」
創樹は満面の笑みで薄珂の手を引いた。護栄も頷き、行ってらっしゃいと送り出してくれている。
「立珂はどうする? そろそろお昼寝の時間だし、美星さんと待ってるか?」
「いっしょいく。みんなもいこ」
立珂はきゅっと職員の手を握った。だがさすがにこれは仕事の邪魔になる。残念だが仕方ない――と思ったが。
「喜んで!」
「お供しましょう。美星。お昼寝に備えてくれ」
「一式ご用意できております」
「ではそれは俺が持とう」
「お前は体力がない。俺が持とう」
「いや俺が」
「いやいや俺が」
職員はばちばちと火花を散らせた。誰が立珂の世話をするかは侍女定番の争いとなっているが、まるでそれが広がったようだった。
「護栄様いいの?」
「最終的に仕事が終われば。各自自己責任です」
結局立珂のお昼寝道具は美星が持ち、職員が交代で立珂と手を繋ぐというのが妥協案として採用された。
*
創樹に連れられて行った先は獣人保護区だった。
もう何度も来ているから珍しいものなど無いと思っていたが、中に入り少し進むと見たことのない建物が見えてきた。真っ白で白衣姿の人が多く出入りしている。
「これってもしかして」
創樹を見るとにっこりと自慢げな笑みを浮かべた。そして外に机を置いて獣人達と話しをしている男性へ向かって走って行く。
「孔雀先生! 薄珂と立珂来たよ!」
薄珂と立珂を置き去りにして創樹が突撃した相手は獣人保護区から一緒に来た孔雀だった。
獣人売買をしていた金剛を捕まえた人間だと知れ渡ると、あっという間に獣人の英雄として信頼を得た。これまで獣人は専門医療に遅れがあったが、孔雀がいるのならばと人間の獣人専門医療研究に協力をしてくれるようになった。
そのためにも孔雀は宮廷から獣人保護区に拠点を移すことになったのだが、おそらくこれがその施設だ。
立珂はたーっと走り孔雀にぴょんと抱き着いた。
「せんせー!」
「とうとう成長期ですか。おめでとう御座います」
「みんな有翼人の成長期知ってるんだね」
「蛍宮ではもう常識ですよ。立珂君のおかげで交流も増えたし創樹君のような協力者も増えました」
「そういや創樹は何してるの?」
「先生の助手だ! 診療所ができてない地区に薬運んだり話聞きに行くんだ!」
「獣人の腕力と脚力なら区の端もすぐ行けるので助かってます」
「へえ。よかったね。創樹は孔雀先生大好きだったし」
「俺だけじゃない! みんな孔雀先生が大好きなんだ!」
創樹は孔雀の英雄伝に傾倒している。宮廷へ遊びに来ていた時も、孔雀に会うなら自分も連れていけとしきりにねだられた。きっと礼儀作法を勉強したのも正しく孔雀に就くためなのだろう。
「実は二人を呼んだのは私なんです。君達と話したい者が多いんですが、獣人とはまだ接点が少ないでしょう?」
「そうだね。有翼人保護区で手いっぱいだったから」
「ここでも二人と話しをしたいという人が多いんです。広場に行きましょう」
「はあい!」
「えっ、すごいね。じゃあ宮廷で働いてるの?」
「雇ってもらってるけど職場は宮廷じゃないんだ。今日はその案内だ! きっと驚くぞ!」
創樹は満面の笑みで薄珂の手を引いた。護栄も頷き、行ってらっしゃいと送り出してくれている。
「立珂はどうする? そろそろお昼寝の時間だし、美星さんと待ってるか?」
「いっしょいく。みんなもいこ」
立珂はきゅっと職員の手を握った。だがさすがにこれは仕事の邪魔になる。残念だが仕方ない――と思ったが。
「喜んで!」
「お供しましょう。美星。お昼寝に備えてくれ」
「一式ご用意できております」
「ではそれは俺が持とう」
「お前は体力がない。俺が持とう」
「いや俺が」
「いやいや俺が」
職員はばちばちと火花を散らせた。誰が立珂の世話をするかは侍女定番の争いとなっているが、まるでそれが広がったようだった。
「護栄様いいの?」
「最終的に仕事が終われば。各自自己責任です」
結局立珂のお昼寝道具は美星が持ち、職員が交代で立珂と手を繋ぐというのが妥協案として採用された。
*
創樹に連れられて行った先は獣人保護区だった。
もう何度も来ているから珍しいものなど無いと思っていたが、中に入り少し進むと見たことのない建物が見えてきた。真っ白で白衣姿の人が多く出入りしている。
「これってもしかして」
創樹を見るとにっこりと自慢げな笑みを浮かべた。そして外に机を置いて獣人達と話しをしている男性へ向かって走って行く。
「孔雀先生! 薄珂と立珂来たよ!」
薄珂と立珂を置き去りにして創樹が突撃した相手は獣人保護区から一緒に来た孔雀だった。
獣人売買をしていた金剛を捕まえた人間だと知れ渡ると、あっという間に獣人の英雄として信頼を得た。これまで獣人は専門医療に遅れがあったが、孔雀がいるのならばと人間の獣人専門医療研究に協力をしてくれるようになった。
そのためにも孔雀は宮廷から獣人保護区に拠点を移すことになったのだが、おそらくこれがその施設だ。
立珂はたーっと走り孔雀にぴょんと抱き着いた。
「せんせー!」
「とうとう成長期ですか。おめでとう御座います」
「みんな有翼人の成長期知ってるんだね」
「蛍宮ではもう常識ですよ。立珂君のおかげで交流も増えたし創樹君のような協力者も増えました」
「そういや創樹は何してるの?」
「先生の助手だ! 診療所ができてない地区に薬運んだり話聞きに行くんだ!」
「獣人の腕力と脚力なら区の端もすぐ行けるので助かってます」
「へえ。よかったね。創樹は孔雀先生大好きだったし」
「俺だけじゃない! みんな孔雀先生が大好きなんだ!」
創樹は孔雀の英雄伝に傾倒している。宮廷へ遊びに来ていた時も、孔雀に会うなら自分も連れていけとしきりにねだられた。きっと礼儀作法を勉強したのも正しく孔雀に就くためなのだろう。
「実は二人を呼んだのは私なんです。君達と話したい者が多いんですが、獣人とはまだ接点が少ないでしょう?」
「そうだね。有翼人保護区で手いっぱいだったから」
「ここでも二人と話しをしたいという人が多いんです。広場に行きましょう」
「はあい!」
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