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第四章 翼衣專店
第三十話 冬用肌着(三)
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しん、と静まり返った。
「……廃棄物、ですか」
「はい。それと交換して頂ければ羽根衣類は全て明恭へお渡しします」
「は、はあ。しかし具体的に何を……?」
薄珂は麗亜から話を聞いて以来、目を付けている物があった。
それは蛍宮では絶対に手に入らず、けれど有翼人には最も必要なものだ。
「氷河です! 明恭が廃棄する氷河を頂きたい!」
「……氷河?」
「待って。あんなの大きいだけで本当にただの氷よ。交換に値する物でなくてはいけないわ」
「俺達にとって氷は価値があるんだ。だって有翼人は」
「そうか! 涼を取るのか!」
答えたのは柳だ。
真剣な顔で肌着を調べるように撫でている。
「明恭では凍死だが蛍宮では発汗が問題。体温を下げる手段が欲しいんだろう」
「その通りです。温暖なこの国で氷は有翼人の生活必需品と言ってもいい。でも蛍宮で氷塊は手に入らないんです」
蛍宮は温暖な国だ。
冬になれば冷え込むが、それでも天然の氷を大量に作ることはほぼ不可能なのだ。
だが輸入できれば氷室で保管することはできる。
「蛍宮からは暖をとるものを。明恭からは涼をとるものを。これを交換させて頂ければと思いますがいかがでしょう」
「護栄殿は如何です」
「問題ありません。これは薄珂に一任しているので」
「……なるほど」
麗亜は苦笑いを浮かべた。
まるで護栄を警戒するのと同じような目つきで薄珂を見て、ふうとため息を吐いている。
「有難うございます。では契約書を用意させましょう」
「それならこちらに」
「え?」
薄珂は書類を数枚取り出した。
そこには今回締結になるであろう事項が記されている。
「……用意していたんですか?」
「麗亜様にお手数をお掛けするわけにはいきませんので」
「これはこれは」
麗亜は何とも言えない複雑な顔をして、契約書に承諾の署名をしようとした。
しかしその時、ぱしっと柳が麗亜の手を掴んだ。
「……廃棄物、ですか」
「はい。それと交換して頂ければ羽根衣類は全て明恭へお渡しします」
「は、はあ。しかし具体的に何を……?」
薄珂は麗亜から話を聞いて以来、目を付けている物があった。
それは蛍宮では絶対に手に入らず、けれど有翼人には最も必要なものだ。
「氷河です! 明恭が廃棄する氷河を頂きたい!」
「……氷河?」
「待って。あんなの大きいだけで本当にただの氷よ。交換に値する物でなくてはいけないわ」
「俺達にとって氷は価値があるんだ。だって有翼人は」
「そうか! 涼を取るのか!」
答えたのは柳だ。
真剣な顔で肌着を調べるように撫でている。
「明恭では凍死だが蛍宮では発汗が問題。体温を下げる手段が欲しいんだろう」
「その通りです。温暖なこの国で氷は有翼人の生活必需品と言ってもいい。でも蛍宮で氷塊は手に入らないんです」
蛍宮は温暖な国だ。
冬になれば冷え込むが、それでも天然の氷を大量に作ることはほぼ不可能なのだ。
だが輸入できれば氷室で保管することはできる。
「蛍宮からは暖をとるものを。明恭からは涼をとるものを。これを交換させて頂ければと思いますがいかがでしょう」
「護栄殿は如何です」
「問題ありません。これは薄珂に一任しているので」
「……なるほど」
麗亜は苦笑いを浮かべた。
まるで護栄を警戒するのと同じような目つきで薄珂を見て、ふうとため息を吐いている。
「有難うございます。では契約書を用意させましょう」
「それならこちらに」
「え?」
薄珂は書類を数枚取り出した。
そこには今回締結になるであろう事項が記されている。
「……用意していたんですか?」
「麗亜様にお手数をお掛けするわけにはいきませんので」
「これはこれは」
麗亜は何とも言えない複雑な顔をして、契約書に承諾の署名をしようとした。
しかしその時、ぱしっと柳が麗亜の手を掴んだ。
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