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第四章 翼衣專店
第三十話 冬用肌着(二)
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「そ、そんなことしたの」
「おもしろいでしょ」
「これなら肌から温まるので過度に着こまなくても大丈夫。春夏と同じようなお洒落も楽しめます」
「……凄い。これは服飾業界がひっくり返るぞ。靴下や手袋にすれば寒さで壊死はしなくなる」
「それはもう作ってあるよ!」
「え?」
立珂は自信満々に靴下と手袋を取り出した。
それぞれ生地は違うが、どれも立珂の羽根生地を使っている。愛憐はいち早く手袋をはめると、わあ、と歓喜の声をあげた。
「温かい! すごいわ!」
「他にも襟巻と外套も作ったよ! これは一個しかないから愛憐ちゃんにあげる」
「いいの!? うそ、どれもお洒落じゃない!」
侍女が待ってましたとばかりに襟巻と外套を持って現れた。
愛憐は小走りでそれを受け取りに行くと、いそいそと身にまとう。
それは皇女が着るにふさわしい上品さと豪華さで、とても防寒重視にはみえない。
「温かい! 凄いわ! 羽にくるまれてるみたい!」
「必要な物をお選び頂ければそれを集中的に生産しますよ」
「全て欲しい。種族問わずこの生地で揃えたいくらいだ。これはどのくらい製造可能ですか。費用はどれだけかかっても構わない」
「費用より有翼人がどれだけ協力してくれるかによります。肌着一枚に最低でも羽根五十枚」
「……相当必要ですね。量産は難しいですか」
「いえ、羽根は提供してもらえることになっています。肌着の予定生産枚数は月千枚」
「「「「「え?」」」」」
「かなり多くありませんか」
「これが最低でもっと増えます。蛍宮で人気の劇団が呼び掛けてくれたおかげで国内全土から集まっています」
「全土!? どれだけの人員を動かしたんです!」
「宮廷は何もしていませんよ。立珂殿を愛している劇団が自発的にやってくれているんです」
「みんな優しいの」
立珂一人の羽根では月に肌着一、二枚が限界だ。
しかし羽根肌着を知った迦陵頻伽の面々が自分たちも北国へ行く時に欲しいと言い、蛍宮国内を回る際に呼び掛けてくれているのだ。
おかげで日々『りっかのおみせ』には羽根を提供する有翼人が集まり、その代わりに服を提供している。
「凄い。ぜひ販売をお願いしたい」
「いいえ。販売は致しません。これは物々交換に限らせて頂きます」
「物ですか。明恭からお渡しできるものならばいくらでもご用意します」
「では遠慮なく」
ちらりと護栄を見ると、護栄は何も言わずにこりと微笑んでいる。
薄珂も倣ってにこりと微笑んだ。
「明恭の廃棄物を頂きたい」
「おもしろいでしょ」
「これなら肌から温まるので過度に着こまなくても大丈夫。春夏と同じようなお洒落も楽しめます」
「……凄い。これは服飾業界がひっくり返るぞ。靴下や手袋にすれば寒さで壊死はしなくなる」
「それはもう作ってあるよ!」
「え?」
立珂は自信満々に靴下と手袋を取り出した。
それぞれ生地は違うが、どれも立珂の羽根生地を使っている。愛憐はいち早く手袋をはめると、わあ、と歓喜の声をあげた。
「温かい! すごいわ!」
「他にも襟巻と外套も作ったよ! これは一個しかないから愛憐ちゃんにあげる」
「いいの!? うそ、どれもお洒落じゃない!」
侍女が待ってましたとばかりに襟巻と外套を持って現れた。
愛憐は小走りでそれを受け取りに行くと、いそいそと身にまとう。
それは皇女が着るにふさわしい上品さと豪華さで、とても防寒重視にはみえない。
「温かい! 凄いわ! 羽にくるまれてるみたい!」
「必要な物をお選び頂ければそれを集中的に生産しますよ」
「全て欲しい。種族問わずこの生地で揃えたいくらいだ。これはどのくらい製造可能ですか。費用はどれだけかかっても構わない」
「費用より有翼人がどれだけ協力してくれるかによります。肌着一枚に最低でも羽根五十枚」
「……相当必要ですね。量産は難しいですか」
「いえ、羽根は提供してもらえることになっています。肌着の予定生産枚数は月千枚」
「「「「「え?」」」」」
「かなり多くありませんか」
「これが最低でもっと増えます。蛍宮で人気の劇団が呼び掛けてくれたおかげで国内全土から集まっています」
「全土!? どれだけの人員を動かしたんです!」
「宮廷は何もしていませんよ。立珂殿を愛している劇団が自発的にやってくれているんです」
「みんな優しいの」
立珂一人の羽根では月に肌着一、二枚が限界だ。
しかし羽根肌着を知った迦陵頻伽の面々が自分たちも北国へ行く時に欲しいと言い、蛍宮国内を回る際に呼び掛けてくれているのだ。
おかげで日々『りっかのおみせ』には羽根を提供する有翼人が集まり、その代わりに服を提供している。
「凄い。ぜひ販売をお願いしたい」
「いいえ。販売は致しません。これは物々交換に限らせて頂きます」
「物ですか。明恭からお渡しできるものならばいくらでもご用意します」
「では遠慮なく」
ちらりと護栄を見ると、護栄は何も言わずにこりと微笑んでいる。
薄珂も倣ってにこりと微笑んだ。
「明恭の廃棄物を頂きたい」
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