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第四章 翼衣專店
第二十九話 宮廷職員・薄珂(二)
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護栄に次いで現れたのは麗亜と愛憐、そして響玄だ。
愛憐は床に散らばっていた立珂の茶色くにごった羽を見て、顔を青くして駆け寄り抱きしめてくれた。
「あなた達! 何ということを!」
「この子らを傷付けたら蛍宮の法に則り処罰を受けると言っておいたはずだよ」
「い、いえ、そんな、議論をしていただけで」
「ふざけるな。一方的な誹謗中傷は議論とはいわない」
「そ、それは……」
男たちはがたがたと震え出した。
立珂が傷付いた以上罰は免れない。それは愛憐で実証されている。
麗亜は怒りと呆れが入り混じった顔をしていた。
「頼んだはずだよ。職人のこだわりも明恭の矜持もあるだろうが、歴史に固執せず新し」
「歴史!? みんなは明恭の服の歴史を知ってるの!?」
「え?」
真面目に語る麗亜の声を遮ったのは立珂だ。
男たちに駆け寄りきらきらと目を輝かせている。
「明恭の服をいっぱい知ってるの!? 覚えてるの!?」
「はあ、それは当然」
「そうなんだ! あのね、僕の考えた冬服は蛍宮用なんだ! でも歴史を無視したら失敗するんだよ! だから明恭の歴史を教えてほしいの!」
被害者である立珂の明るい笑顔にその場の全員が目を丸くした。これから罪人になる予定だった明恭の男たちもだ。
しかし立珂はそんなことには気付かず、服を握りしめはしゃぎ始めた。
「僕の服は有翼人じゃなくても着れるように作ってるの! すごいでしょ!」
「き、君は有翼人専門じゃないのか」
「他のも作るよ! 明恭のもそうしようよ! そしたらみーんなしあわせになるよ!」
「……しあわせに?」
「そうだよ! 早く作ろう!」
立珂はぱあああっと眩しい笑顔を放った。それは羽にも移っている。
全員が固まる中、くすっと笑い動いたのは麗亜だ。
「立珂殿。まず彼らにごめんなさいをさせてくれませんか」
「う? あ、そうだね。うん」
「皆。立珂殿は心優しい御方。愛憐もこの愛情深さにより和解を許された。ご温情に感謝し全員謝罪をしなさい」
「は、はい!」
明恭の男たちは慌てて立珂の前に膝を付き、深く頭を下げた。
「申し訳ございませんでした。どうか今一度ご教示頂く機会を頂けますでしょうか」
「……う?」
「もう一度一緒にやらせてくれってさ」
「あ、うん! やろう! 一緒にやろう!」
難しい単語が並ぶと立珂は理解が追い付かないこともある。
くりんと目を丸くしている立珂を撫で、薄珂も男たちに向き直った。
愛憐は床に散らばっていた立珂の茶色くにごった羽を見て、顔を青くして駆け寄り抱きしめてくれた。
「あなた達! 何ということを!」
「この子らを傷付けたら蛍宮の法に則り処罰を受けると言っておいたはずだよ」
「い、いえ、そんな、議論をしていただけで」
「ふざけるな。一方的な誹謗中傷は議論とはいわない」
「そ、それは……」
男たちはがたがたと震え出した。
立珂が傷付いた以上罰は免れない。それは愛憐で実証されている。
麗亜は怒りと呆れが入り混じった顔をしていた。
「頼んだはずだよ。職人のこだわりも明恭の矜持もあるだろうが、歴史に固執せず新し」
「歴史!? みんなは明恭の服の歴史を知ってるの!?」
「え?」
真面目に語る麗亜の声を遮ったのは立珂だ。
男たちに駆け寄りきらきらと目を輝かせている。
「明恭の服をいっぱい知ってるの!? 覚えてるの!?」
「はあ、それは当然」
「そうなんだ! あのね、僕の考えた冬服は蛍宮用なんだ! でも歴史を無視したら失敗するんだよ! だから明恭の歴史を教えてほしいの!」
被害者である立珂の明るい笑顔にその場の全員が目を丸くした。これから罪人になる予定だった明恭の男たちもだ。
しかし立珂はそんなことには気付かず、服を握りしめはしゃぎ始めた。
「僕の服は有翼人じゃなくても着れるように作ってるの! すごいでしょ!」
「き、君は有翼人専門じゃないのか」
「他のも作るよ! 明恭のもそうしようよ! そしたらみーんなしあわせになるよ!」
「……しあわせに?」
「そうだよ! 早く作ろう!」
立珂はぱあああっと眩しい笑顔を放った。それは羽にも移っている。
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「立珂殿。まず彼らにごめんなさいをさせてくれませんか」
「う? あ、そうだね。うん」
「皆。立珂殿は心優しい御方。愛憐もこの愛情深さにより和解を許された。ご温情に感謝し全員謝罪をしなさい」
「は、はい!」
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「申し訳ございませんでした。どうか今一度ご教示頂く機会を頂けますでしょうか」
「……う?」
「もう一度一緒にやらせてくれってさ」
「あ、うん! やろう! 一緒にやろう!」
難しい単語が並ぶと立珂は理解が追い付かないこともある。
くりんと目を丸くしている立珂を撫で、薄珂も男たちに向き直った。
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