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第四章 翼衣專店
第九話 動き出した未来【後編】
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「薄珂。響玄が保護区作りで得るものは何だと思う?」
「え? 名声」
「……お前は何でもかんでも即答するね。何でそう思う」
「だって建築費は宮廷の予算だよ。公共施設である以上は先生個人にお金の利益は発生しない」
「他にもあるだろ。どうして名声なんだ」
「利益が未来にあるからだよ。天藍が注目されるのは全種族平等っていう理想を実行してるからだ。その理想を叶える有翼人保護区作りを率いたとなれば、先生の価値は国家規模に伸し上がる。つまり、他国の偉い人を顧客にできる名声が手に入る。その名声が利益を生む」
「どうだい、響玄」
「その通り」
ははは、と響玄は大きく笑い薄珂の肩を抱いた。
頭の良い子だろうと自慢してくれるが、目先の利に流されるなというのは響玄に学んだことだ。
薄珂にとっては教えを語っただけで、まるで自分の手柄のようになるのは気が引けた。
それでも嬉しそうにしてくれるのは嬉しかったし誇らしくもある。けれど紅蘭はふんっと鼻息荒く肩をすくめた。
「だが薄珂、お前は有翼人保護区なんてどうでもいいだろう。何故関わる」
「そんなことないよ。立珂が望むものだから大事だ」
「大事なのは立珂で保護区じゃないってことだろ? だが立珂のためにやるべきことは本当に保護区作りかい?」
「だって有翼人を助けるのは保護区以外の方法なんてないよ」
「おーっと! その回答は不正解だ!」
「え?」
急に大声をあげられ、薄珂はびくりと身体を震わせた。
その声は他の店にも聞こえたようで、皆がこちらに振り向いてしまった。
「紅蘭さん、声大き」
「お前は選択を間違え始めてるぞ」
「え? 選択?」
「未来は立珂だけのものじゃない。お前にもあるんだ。望む未来を手に入れるための選択」
「そんなの立珂と一緒にいることだ。間違ってない」
「そうだね。だが」
紅蘭はぺたりと薄珂の頬に手を当てた。
そして何か告げようとしたが、その時急にあたりがざわつき始めた。
一斉に道を開け頭を下げている。
「おお、あれは」
視線の先にいたのは、見慣れた人物だった。
「え? 名声」
「……お前は何でもかんでも即答するね。何でそう思う」
「だって建築費は宮廷の予算だよ。公共施設である以上は先生個人にお金の利益は発生しない」
「他にもあるだろ。どうして名声なんだ」
「利益が未来にあるからだよ。天藍が注目されるのは全種族平等っていう理想を実行してるからだ。その理想を叶える有翼人保護区作りを率いたとなれば、先生の価値は国家規模に伸し上がる。つまり、他国の偉い人を顧客にできる名声が手に入る。その名声が利益を生む」
「どうだい、響玄」
「その通り」
ははは、と響玄は大きく笑い薄珂の肩を抱いた。
頭の良い子だろうと自慢してくれるが、目先の利に流されるなというのは響玄に学んだことだ。
薄珂にとっては教えを語っただけで、まるで自分の手柄のようになるのは気が引けた。
それでも嬉しそうにしてくれるのは嬉しかったし誇らしくもある。けれど紅蘭はふんっと鼻息荒く肩をすくめた。
「だが薄珂、お前は有翼人保護区なんてどうでもいいだろう。何故関わる」
「そんなことないよ。立珂が望むものだから大事だ」
「大事なのは立珂で保護区じゃないってことだろ? だが立珂のためにやるべきことは本当に保護区作りかい?」
「だって有翼人を助けるのは保護区以外の方法なんてないよ」
「おーっと! その回答は不正解だ!」
「え?」
急に大声をあげられ、薄珂はびくりと身体を震わせた。
その声は他の店にも聞こえたようで、皆がこちらに振り向いてしまった。
「紅蘭さん、声大き」
「お前は選択を間違え始めてるぞ」
「え? 選択?」
「未来は立珂だけのものじゃない。お前にもあるんだ。望む未来を手に入れるための選択」
「そんなの立珂と一緒にいることだ。間違ってない」
「そうだね。だが」
紅蘭はぺたりと薄珂の頬に手を当てた。
そして何か告げようとしたが、その時急にあたりがざわつき始めた。
一斉に道を開け頭を下げている。
「おお、あれは」
視線の先にいたのは、見慣れた人物だった。
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