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第四章 翼衣專店
第七話 紅蘭【前編】
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「護栄様の!?」
「おかあさん!?」
薄珂と立珂は顔を並べてじっと紅蘭を見つめた。
生まれた以上親がいるのは当然だが、それにしても護栄とは真逆だ。
それは行動や雰囲気もだが、何より顔が似ていない。誰かに似ているとは感じるが護栄ではない。
「こんなきれいな人がお母さんなんだ! いいなあ!」
「おや。分かってるじゃないか坊や。人の心を利用するだけのお子様と大違いだ。そう思わないか我が子よ」
「いい加減にして下さい!」
護栄はぶんっと紅蘭の手を振り払い、はあ、と盛大なため息を吐いた。
「……私を育ててくれた人です。実母ではありません」
「あ、ああ、そういうこと。びっくりした」
「う? じゃあ護栄様に会いに来たの?」
「そうとも。可愛い我が子がどうしているかと心配で心配で夜も眠れず」
「止めて下さい」
紅蘭は懲りずに護栄の頭を撫でまわしたが、護栄は怒り顕わにその手を振り払う。
ずりずりと紅蘭から距離を取ると、いつでも逃げ出せるようにか扉付近まで後退した。
「紅蘭は外商。殿下に必要な物を持ってくる便利屋みたいなものです」
「雑な説明すんじゃないよ」
紅蘭はすかさず護栄に近寄り、ごんっと殴って引きずり戻して来た。
こんな護栄の姿を見る日が来るとは思ってもなくて、驚きが強すぎてからかうことすらできない。
そして紅蘭はぽいっと護栄を放り捨て、ふふんと自慢げな笑みを浮かべた。
「あたしは瑠璃宮を仕切ってるんだ。天藍がくれっていう商品をわざわざ持って来てやってんのさ」
「仕切り? もしかして出店の可否を決めてるのって」
「あたしだよ」
そういうことか、と薄珂は護栄がここに連れて来てくれた理由を理解した。
瑠璃宮へ出店したいなら自分でその権利を勝ち取れということだ。
ちらりと護栄を見ると、いつものようににやりと笑っていた。薄珂はぐっと拳を握り紅蘭の前に立つ。
「おかあさん!?」
薄珂と立珂は顔を並べてじっと紅蘭を見つめた。
生まれた以上親がいるのは当然だが、それにしても護栄とは真逆だ。
それは行動や雰囲気もだが、何より顔が似ていない。誰かに似ているとは感じるが護栄ではない。
「こんなきれいな人がお母さんなんだ! いいなあ!」
「おや。分かってるじゃないか坊や。人の心を利用するだけのお子様と大違いだ。そう思わないか我が子よ」
「いい加減にして下さい!」
護栄はぶんっと紅蘭の手を振り払い、はあ、と盛大なため息を吐いた。
「……私を育ててくれた人です。実母ではありません」
「あ、ああ、そういうこと。びっくりした」
「う? じゃあ護栄様に会いに来たの?」
「そうとも。可愛い我が子がどうしているかと心配で心配で夜も眠れず」
「止めて下さい」
紅蘭は懲りずに護栄の頭を撫でまわしたが、護栄は怒り顕わにその手を振り払う。
ずりずりと紅蘭から距離を取ると、いつでも逃げ出せるようにか扉付近まで後退した。
「紅蘭は外商。殿下に必要な物を持ってくる便利屋みたいなものです」
「雑な説明すんじゃないよ」
紅蘭はすかさず護栄に近寄り、ごんっと殴って引きずり戻して来た。
こんな護栄の姿を見る日が来るとは思ってもなくて、驚きが強すぎてからかうことすらできない。
そして紅蘭はぽいっと護栄を放り捨て、ふふんと自慢げな笑みを浮かべた。
「あたしは瑠璃宮を仕切ってるんだ。天藍がくれっていう商品をわざわざ持って来てやってんのさ」
「仕切り? もしかして出店の可否を決めてるのって」
「あたしだよ」
そういうことか、と薄珂は護栄がここに連れて来てくれた理由を理解した。
瑠璃宮へ出店したいなら自分でその権利を勝ち取れということだ。
ちらりと護栄を見ると、いつものようににやりと笑っていた。薄珂はぐっと拳を握り紅蘭の前に立つ。
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