銀塊メウのちょっと不思議で怖い話 短編集

銀塊 メウ

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ボクとバク?

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 ボクはお外で遊ぶのが大好き!
 
 オニごっこもかくれんぼも大好き!
 
 今日はお兄ちゃんとサッカーして
遊ぶんだ!

「おーにーいーちゃん、あ・そ・ぼ!」

「今日はダ~メ!モ◯ハンで遊ぶんから!」

 おにいちゃんが遊んでくれない。
 
 お誕生日に買って貰ったゲームがすごく
面白いみたい。ゲームってそんなに
面白いのかな~ボクもちょっと
やってみたいけど、おにいちゃんが
意地悪なんだ!ボクには全然やらせて
くれない。

 ボクは仕方なくサッカーボールを
持って外に出た。

 今日は学校のみんなとかくれんぼ、
ボクは小さいから隠れるのが得意、
いつも最後まで見つからないんだ~
すごく楽しい。

 お家に帰るとおにいちゃんはゲームを
やっていた。ボクは一緒に遊びたくて声を
かけるけど遊んでくれない。ちょっと
寂しい。

 今日は学校のみんなとオニごっこ、
ボクは小さいから足が遅い、いつもすぐに
捕まっちゃうけどみんなと
逃げて騒ぐのは楽しい。

 お家に帰るとおにいちゃんはまた
ゲームをやっていた。ボクは一緒に遊び
たかったからおにいちゃんの周りを
うろうろしているとおにいちゃんが
手招きして、ボクはすぐにおにいちゃんの
傍に行った。

「ちょっとだけだぞ」
 
 ボクはやったーと両手を上げ喜んだ。

 ゲームはすごく面白かった。
 ボクはワクワクドキドキしっぱなし、

 おにいちゃんと交代しながら
モンスターを倒して剝いで食べる!
たま~におにいちゃんが叫んで
喜んでいたけどあれは何でだろう?
わかんな~い?

 ボクはおにいちゃんと久しぶりに
遊んで最高に楽しかった。ゲームって
こんなに面白いんだ!
ボクも誕生日に買って貰うんだ!


……………▽

 その日の夜、ボクは夢を見た。ボクは
鎧を着て剣と盾を持っている。目の前に
は恐竜みたいなモンスターボクは右へ
左へ躱しながらモンスターを切る。

「えい、やぁー、とりゃ~!」
 攻撃は見事に当たりモンスターを倒す
ことが出来た。ボクは大興奮
「やったーやったー」と騒いでいると、
近くの草むらから「ガサガサ」と音がする。

 草むらから現れたのは鼻が長くて見た
目はサイみたいなモンスター、さっきまで
のモンスターと違って小さいし弱そう。

「よ~し、あいつも倒してやる!」
 ボクは剣を振り上げ突っ込む。
モンスターは鼻をこっちに向けると
スゴイ勢いで吸われた。

「うぁーーー」
 台風の中みたい、すごい風で
グルグル回る。

「うぁーーー助けて~」

 目が覚めるとお布団の上。

「なぁんだ夢か、びっくりした!」
 ボクは目が覚めると安心したのか、
もっとモンスターを倒したくなり
ゲームが無性にやりたくなった。

……………▽
 
「おにいちゃん代わってよ~」
「ダメだよ!今良いところなんだ!」
「えーー」

 おにいちゃんはゲームをなかなか
代わってくれない。お誕生日までは
まだあるし、あ~モンスター倒したいな~

 その夜、ボクは夢の中でモンスターを
倒していた。

「えい、やぁー、とりゃ~!」………「バタン」

「やったーまた倒したぞ!」
 ボクは次々とモンスターを倒して行く。

 ボクはマンガに出てくるヒーロー
みたいに強いんだ~!
テンションはMAXに上がり次の獲物を探す。

「ガサガサ、ガサガサ」
 草むらから出て来たのはまたあいつ!

「よし、今度は負けないぞ!」ボクは槍を
片手に突撃する。

 モンスターは鼻をこっちに向ける。
ヤバいと思った時には
もう遅い。目が覚めるとお布団の上、

「あ~また負けた~良いところだったのに~」
 ボクはもっと夢の中でモンスターを
倒したかった。
いつもこいつが邪魔をする。
 
 今度は絶対に倒してやるんだ!
 
 その日からボクは毎日夢の中で大冒険
 モンスターを倒して剝いで食べる。
次々と現れる強そうなモンスターも
倒しちゃうんだ~だけど
いつも最後にあいつが現れてボクは
目が覚める。

「あいつ強すぎだよ!倒せないじゃん!」
 ボクはそれでもなんとか倒したかった。


 ボクは再び目をつむり眠る、眠る、眠る。

「いつまで寝てるんだい。起きな!」
 ボクは肩を叩かれ目を覚ます。

「おばあちゃん、おはよー」
「いつまで寝てるんだい。もう9時だよ!
起きな!」
「え~良いじゃ!今日は学校休みだよ!」
「ダ~メ!規則正しく起きないと
体に悪いの!」
「でも~まだあいつを倒してないんだ~」
「あいつ?何なのそれは?」

 ボクはおばあちゃんに夢の話をした。

「アッハハ、そうかいそうかい、
それは楽しそうだね。
でも、バクは倒せないと思うわよ!」

「バク?おばあちゃんあいつの事
知ってるの~」

「ん、そうね~ちょっとだけ知ってるわ!」
「え~教えて教えて」
「仕方ないわね!教えてあげる!
だけどまずはご飯よ!
お母さんが待ってるわ」
 ボクはすごく気になったけどお腹が
空いたからまずはご飯ご飯!

……………▽

「おばあちゃん教えて!」

「はいはい、慌てないの、
バクは夢を食べるの!」

「夢を食べる?」

「そう、バクは人の夢を食べる動物なの、
楽しい夢も怖い夢も悲しい夢もね!
バクバクってね!うふふ」

「おばあちゃん……面白くないよ」

 それからも夢の中にバクが出て
来ていつも負ける。

 強すぎだよ~

 でもある日からばったりと出て
こなくなった。

 なんでか分かんなかったけど、
ま~いっか!だってモ◯ハン買って
もらったんだも~ん。
いっぱい遊ぶんだ~
 
 今日もおにいちゃんとモンスターを
倒しに行く。

……………▽

 おばあちゃんが亡くなった。

 ここ最近よく咳をして体調が悪そうに
していたのにボクは気にせずゲーム
ばっかり、もっとおばあちゃんを
大切にしていたら助けられたかもしれない。
 ボクはすごく悲しくなり後悔した。

 その日から夢の中におばあちゃんが
出て来るようになった。おばあちゃんは
咳をしてボクは傍でゲームを
している。おばあちゃんはだんだん
苦しそうに胸を押さえ
ゆっくりと倒れる。

「何やってるんだよ!ボク、
早くおばあちゃんを助けろ!」
 ボクの声は届くことはなく目が覚める。

 すごく悲しくて怖い夢、
 ボクはその日からあまり学校に
行けなくなった。

 眠いけど寝たくない。またあの夢を見ちゃう。
 
 ボクはウトウトして夢の中へと落ちていく。

……………▽

 またあの夢、おばあちゃんが苦しそうに
しているのにボクは何もしない。

 ボクは泣いた。助けられなくて
ごめんなさい!

「ガサガサ、ガサガサ」

 音がする方を見るとそこに
いたのは、「バク!」

 バクは鼻をおばあちゃんに向けると
スゴい勢いで吸い込んじゃった。

 ボクの前にはバクが居た。
 
「不味い!もういいだろ!つまんない
夢見んな!ばあちゃんはそんなの
求めてねぇーよ!」

 あ然とするボクはバクに説教され
目を覚ます。

 ボクはお布団から出ると外に出て空を見る。

 おばあちゃん今までありがとう。
 バクさんに教えてもらった。
ボクが楽しく元気にしていることが
おばあちゃんの幸せなんだよね!

「ボク学校に行くよ!人生を楽しむんだ!」

 ボクはバクさんの教えを胸に生きて
行くこと誓った。

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