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蝉取りは命懸け
しおりを挟む『僕は蝉が大好き』
捕まえた瞬間の達成感がたまらない!
今日も蝉を取りにケンちゃんと山に
遊びに来ている。
ケンちゃんは蝉を取るのがすごく上手い。
僕には見えない遠い蝉を見つけて、
気づかれないように静かに近づき
あっという間に捕まえる。
今日も大量、虫かごの中に十匹以上
入っている。虫かごの中で暴れている
から「バタバタ」とぶつかって
ちょっと可哀想かな…………
僕も早く見つけないと、
今日は調子が悪い。一匹も取れていない。
それから時間が経ち、
日が暮れはじめたので帰ることにした。
山は特に暗くなると外灯もないから
迷子になりやすい。前に道が分から
なくなって帰るのが凄く遅くなったこと
があった。その時は母ちゃんにこってり
絞られたから絶対に早く帰らないと
いけない。
「はー 結局一匹も取れなかったよ」
なんか今日は蝉が全然見つからなかった。
僕はひたすら山の中をうろうろして
ただ疲れただけだ!ケンちゃん良いな~
ケンちゃんはあれからさらに蝉を捕まえ
ていた。虫かごの中はすごいことに
なっている。
既に死んでいる蝉がいるけど、
過去最高の数を捕まえたからお父さんに
見せると嬉しそうにケンちゃんは
言っていた。
ケンちゃんと学校での他愛のない話をしな
がら帰っているとケンちゃんが突然もの
すごく大きな蝉がいたと騒ぎだして雑木林に
突っ込んで行った。
僕はケンちゃんを止めようとしたけど、
今日のケンちゃんは蝉を取り尽くす
つもりだ。どうせ言っても止まらない。
僕はしばらくケンちゃんを待つことにした。
それから5分、10分と待っても
ケンちゃんが帰ってくる様子がない。
僕は仕方なくケンちゃんを捜しに雑木林に
入る。中はかなり暗く僕も迷子になりそう。
少し入ったところで10mくらい先に
ケンちゃんの虫取り網が落ちているのが
見えた。僕は走ってその虫取り網を拾う。
その時、ふと視線を感じて前にある
大木を見ると
「せ、せみ、み、み」
そこには大人と同じくらい大きな蝉が
いた。僕はびっくりし過ぎて尻餅をつき
倒れる。
なんだこれ蝉か?デカすぎるだろ。
そう思いながらももしも捕まえたら
ケンちゃんやみんなに自慢が出きるかも!
僕は虫取り網に手を掛ける。
「あんちゃんも殺るんか~?」
「!?」どこからか野太い男の声が
聞こえた。僕はキョロキョロと周りを
見渡すが誰もいない。
「おい!どこ見とんねん。こっちや!
こっち」
声は大木の方から聞こえていた。
良く分からないがジーッと見ていると、
蝉の羽が「バサバサ」と動かしたその瞬間
見えてしまった。………顔、おっさんの顔が
あった。
羽がゆっくりと開きはっきりと見える。
おっさんの顔が蝉の背中に付いている!?
人面犬ならぬ人面蝉!!
「で、あんちゃんも殺るんか?」
僕は怖くて声が出なくなっていた。
「なんやビビったんか~」
僕は首をブンブンと振った。
「は~ 何ビビっとんねん!
あんちゃん蝉取りに来たんやろう
覚悟が足らんわ~」
僕は一度深く深呼吸をして、
「蝉取るのに覚悟とかいるの?」
おっさんの顔が歪み激怒した。
「はあ~舐めとんかしばくぞコラ~
ええか~蝉取りはな~命懸けや~
動物界の常識弱肉強食や食うか食われる
かや!で…お前は殺るんか~蝉取り………」
「ヤ、ヤリマセン」
「ほんまか~……………虫取り網と虫かご
持って蝉取りせんのか~」
おっさんはメッチャガンつけて僕の
格好を見てごくごく当然の指摘をする。
ヤバい!!
「あ~たまにはえ~な~樹液ばっかりだと
飽きるさかい、たまにはエエもん
食べんとな~」
ジュルジュルと音がする。何の音か
分からないけどきっと良いことじゃない。
「ゲェ~プと若い方がやっぱ旨いわ~」
「ボトっ」と人面蝉の裏から落ちた
それは人形をした何か、頭が理解する
ことを拒む。 その見覚えのある服装を
した干からびたミイラが
……………ケンちゃんだと!
「ええか!殺って良いのは殺られる覚悟が
ある奴だけや!もう一度聞くで~
あんちゃんは我と殺るんか!!あ~!」
僕は恐怖で口をモゴモゴするばかりで
まともに喋ることが出来ない。
「あんちゃん黙っとらんで答えんか………」
人面蝉が突然押し黙り、ジーっと一点を
見つめていた。僕はゆっくりとその先を
確認する。人面蝉は再び虫かごを見ている。
「あん!蝉おらんの~なんやあんちゃん
蝉取りに来たんちゃうんかい。
ならさっさと言えや!勘違いしたわ
すまんかったな」
人面蝉はそう言って飛んでいった。
僕はしばらく恐怖で動けなかった。
……………▽それから5年後
僕はあれ以来、蝉取りはしない。絶対に!
そして今は鳥をぶっ殺している。
何故かって?怖いから、あいつは最後に
言ったんだ!
『お前は蝉が好きかと…………』
今の僕は自信を持って答えるれる。
蝉が大好きだと!
僕は蝉の天敵の鳥をを殺しまくって
認めて貰うんだ!
『キミキミダメじゃないかこんなことして』
僕は注意された…人の顔をした『鳥』に……
その後、僕は鳥に咥えられ飛んでいった。
『終わり………エーー!Σ( ̄□ ̄;)』
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