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第五章 黒尽くめの正体、そしてアルヴィア姫の判断

第83話 開戦 謎の魔物軍団

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 俺達は森の中心部にあるであろう敵の
アジトに向う。中心部に向かうほど魔物の
数が増え、徐々に進むのに時間がかかった。
疲労を考え近くあった洞穴で一旦休憩を
取ることにした。

「すれ違う魔物のレベルは今のところ
問題はなさそうです」
 キャンベルは携帯食を食べながら
状況を確認する。

「そうだな!オーガやオークあと
ゴブリンか、それ程変わった魔物もいない。
状況からは警戒する敵は
今のところはいないが……」
 俺は現状では問題は少ないと感じ
つつも、モヤモヤとしていた。今の俺達
ならレベル50クラスを相手にするのは
わけないのだが数が多い、これは脅威で
ある。しかしそれ以外にも何かある気が
する。考えてもどうにもならないのだが、
嫌な予感がする。

 俺達は休憩後、中心部に到達した。
 多くの魔物が徘徊しており、ゴブリン
キングやジェネラルが指揮を取っていた。
中央付近には建物がありそれを守るように
巨漢の魔物サイクロプスが10体配置
されている。これで間違いない明らかに
統制が取られた動きだ!黒幕は必ずここに
いる。

「それで蒼字(そうじ)どう動きます?」
 キャンベルは俺に指示を仰ぐ。

「そうだな~……まずは!どデカいのを
一発ぶっ放す!」

 俺は魔力を高める。その瞬間、
魔物達は察知してこちらに振り向いた。

『点撃!乱れ墨桜(すみざくら)』
 黒い桜が宙を舞う。黒く鋭い桜は、
魔物を切り裂き倒していく。

「ブローロ~」
「ギャイギャイ」
「グオーー」
 魔物達の叫びが木霊する。
 俺の攻撃を躱した。もしくは耐えた
魔物達が一斉にこちらに向かって来た。


「蒼字(そうじ)あなたはもう少し考えて
行動した方が良いですよ!いきなり攻撃
とか無茶苦茶ですよ」
 キャンベルさんは剣を抜き、
俺を指導する。

「ご指導ありがとうございます!
でもまだ俺のターンなんですよ!」

 一直線にこちらに突っ込む魔物に対して
次の攻撃態勢を取った。

「もっとこっちに来い!」
 俺は少し腰を落として左手を前に右手を
後ろに構え身体を捻って筆に魔力を込めた。

「黒き暴風の一撃!『はね飛び』」
 筆から放たれた突風に魔物達は跳ね飛ばされ
木や地面に叩きつけられ動かなくなった。

「あ!……やべっ…やり過ぎた」

『はね飛び』の勢いは止まらず建物に
激突し建物は半壊した。

「蒼字(そうじ)……どこまでやります?」
 キャンベルは建物が半壊にされ、
周辺の魔物はすべて倒れている。
この状況に驚き、ポカーンとした
思考になってしまった。

「ん~少しやり過ぎた感は否めないけど、
減る分には問題ないよね!」
 俺は想定外の攻撃力に動揺していた。
 ダンジョンでレベルが上がってから
本気での攻撃をしていなかった為、
力加減が狂っていた。


「ガラッ」瓦礫が崩れる音がすると、
「ドガァン」っと瓦礫が吹き飛び、
そこから黒い鎧を着た騎士が現れた。

「あれ?もしかして人か?」

「いえ、ご主人様違います!あれは
リビングアーマー彷徨う鎧とも言われます」

「あ~あいつね!こっちの世界にも
いるんだ」
 いたよ!前の世界にも、鎧は人の姿に
似てるから霊が取り憑きやすいんだよね!

 リビングアーマーはこちらに歩いてくる。

「なかなかいい鎧着けている
……じゃなくて取り憑いてるな~強そう」

 リビングアーマーは剣をこちらに向け、

「?」宣戦布告でもするのか?

「カシャン」剣を持った腕が射出

「えっ!?」俺の目の前に剣が
飛んできた!

「キィーン」ジャンヌが俺の前に
立ち剣を弾き返す。


「サンキュージャンヌ危なかった~」
 リビングアーマーの攻撃が想定外
だったこととかなりの速度

……こいつは強い」

………………………………………………………………

『キロス』 Lv:82

種族:アンデット(リビングアーマー)
年齢:10
称号:剣豪
職業∶剣士
加護∶特になし
魔法:特になし

HP:135500/135500(+0)
MP∶0/0(+0)
気力∶128500/128500(+0)
魔力:0(+0)
筋力:96000(+50000)
耐久:56000(+35000)
敏捷:84300(+0)
運 ∶0(+0)
スタミナ∶54500(+0)

技能:固有スキル 『見極める目』Lv5
                    『加速する刃』Lv5

  ∶コモンスキル『剣術』Lv8
         『縮地』Lv8
         『闘気集中』Lv5
        

召喚条件:剣豪轟魔のキロスの魂と
    ブラックアーマー

………………………………………………………………


「ご主人様に危害を加えようとした
ことを後悔させてやろう。ここでは
ご主人様の邪魔になる
こっちだ!来い」

 ジャンヌは場所を変えるため
移動し始めた。

「ジャンヌ待った!そいつは強い!
一人で戦うな………あ!」
 俺の声も虚しくすでにジャンヌは
居なかった……

「ジャンヌさん速すぎ~クソ~追うか!」

「待て蒼字(そうじ)慌てるな!
ジャンヌなら大丈夫だ!任せよう」

「風太、しかしな~確認したら、
前戦ったデーモンロードクラスの強さ
なんだぞ、ジャンヌなら大丈夫かも
しれないけど………心配なんだよ!」

「は~お前な!俺達はもう死んでいる
んだから気にするな?」
 風太は前足を顔に当て呆れる。

「悪いが俺はお前達をそうは思えない!
目の前に居る以上生きてるとか死んてる
とか関係ない!それに仲間だ!心配しない
なんてできん!」
 風太とキャンベルは無言で俺を
見つめる。

「くふっ……良いんじゃないですか!
それがあなたなら」

「は~そうだなそれが
蒼字(そうじ)だ!」

 キャンベルさんには笑われ、
風太には呆れられた。

「それではジャンヌの援護に行くため、
さっさとこいつらを蹴散らさんとな!」
 
 俺達が喋っている間に目の前に
大きな木が生えていた?


「さっきまでこんな木なかったよな~」


「えー……マンイーターです!
気をつけて下さい!」

 ギシギシと音を立てながらどんどん
枝が伸び、地面からは根がウネウネと
動き、こちらに徐々に近づいて来る。

「げ!?キモっ」
 木の先端にハエトリグサのような物が
ついておりパクパクと動いている。

「来るか!」
 根が急加速一気に距離を縮め
近づいて来た。
『筆ブレード」巻き付こうと近づいた。
根を切り裂く!風太もキャンベルさんも
それぞれ対応。

 枝や根はどんどんと増え広がっていく。

「やっぱり、火とかが効果的
なんですかね!」

「もちろんそうですが、残念ながら
私は火の魔法は使えません」

「蒼字(そうじ)言っておくが
俺もだぞ~」

「風太は知ってるよ~、仕方ないな
ここは俺がやるか」

「蒼字(そうじ)!?あなたは火の魔法
まで使えるん
ですか?」

「ま~こいつの家系、真田家の強みだな!
陰陽道五行に関わる力をすべて使える。
火の魔法というか術だがなあ!」

「そうだよね~………」
 俺はガクッと肩を落とす。何故なら
俺は五行のうち火、木、水の三行しか
使えない。いわゆる落ちこぼれである。
 
「ブロオオオオ」
 マンイーターは無視されて怒ったのか、
叫び声をあげ身体ごと突進、体長10
メートル以上、横幅をそれ以上の
巨体、このままだと押しつぶされる。


「あ~もう!うっさいな~今昔の事
思い出してイラッとしたんだ、
八つ当たりするぜ!」

 筆で前方に円を描き、火の文字を
中央に書く。
『丸火(まるひ) 
     轟炎太鼓(ごうえんだいこ)』

 俺は思いっきり円の中心を目掛けて
ぶん殴った。

「ゴオー」っと赤い波動がマ
ンイーターに向かい飛んでいく。

 赤い波動が枝や根にふれると
「ボッ」っと音をたて燃える。全身に
波動を受けたマンイーターは真っ黒に
なり塵となって飛んでいった。


「あースッキリした!そんじゃ~ジ
ャンヌを見に行くか」
 ジャンヌを追うため走る後ろ姿を見て、
キャンベルは思った。蒼字(そうじ)は
私が想像していた以上に強い!
 

 
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