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第四章 新たな仲間 

第75話 メイドのルビー

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「ご主人様、お目覚めになりましたか」

「あー痛くない、ジャンヌが治して
くれたのか?」
 頭を擦りながら起き上がる。

「すいません、私また暴走しちゃって」
 リルが膝枕をしてくれてたのか、
通りで寝心地が良い訳だ。

「リル、気にすんな!誰にでも
苦手なものはある」



「エッチ、へんた~い、スケベ太郎!」
「おい!おまえ、変な言い
がかりはやめろ!」
 さっきのメイドが自分の身体を
抱くように腕を動かしモジモジして
とんでもない発言を言っている。

「何で普通に動いてるんだよ!
お前が悪霊か!」
 タッタッタとメイドは歩いてくると
「えい」鋭い拳が俺の頬を殴った。

「痛ってぇー何すんだ!」

「え!?……イラッとしたので……」
 真顔で答えるメイド

「アタタ、何だ悪霊じゃないのか、
悪かったけどいきなり殴ることは
ないだろ………ジャンヌそれ以上は
するなよ!」

 メイドの首元には鈍く光る剣先が、

「ご主人様に手を出すとは万死に値する。
今すぐお前の首を切り落とす!」

「だから、やめろっての」
 俺はジャンヌの頭を軽くコツンと
叩いた。ジャンヌは「へっ?」とした顔で
こちらを見ている。だから美人は得だ
な~も~

 俺はジャンヌからメイドに向き直し。

「それでお前はなんなんだ?
人……ではないと思うんだが」
 正直見た目は人としか思えないのだが、
何故か生きる者の気配がない
……いや薄い気がする。

「わたしは女神テュケ様が作った
ゴーレムです」
 はぁ?…テュケ………駄女神じゃん!

「そうか…駄めが…じゃなくて
女神テュケのゴーレムね!
それで何でこんなところに居るんだよ?」

「ここにいる理由はわかりま
せんね……確かテュケ様に紅茶を出そうと
したところでお腹が減ってスリープモードに
入り寝てたらここに居た感じです」

 きっとこいつもアホなんだな。

「そうか、それでやっと回復出来て
動けるようになったわけだ」

「そうです!そこに居る。物騒な聖女から
発せられる殺気…ではなくて、聖なる
オーラが私の目覚めるきっかけになった
みたいですね。個人的にはあと100年
くらい寝たかったのですが」

 こいつ…ぐうたらする気満々かよ!
100年は寝過ぎだ!

「そうか、分かった。今回の案件に
関係ないなら100年でも200年でも
好きに寝ろ!それじゃーおやすみ~」

 俺は手を振って後退りすると、

……「ガシッ」肩を掴まれた。

「なんだ、まだ用でもあるのか?」
 俺が振り向くと………「?」
…「そこには誰も居ない……」
しかし何故か肩には握られた感触が
あるので肩に目線を移すと、
「何で手があるんだ?」

「おい!ワザとか?手だけ飛ばしてくるな!
ホラー感があり過ぎてリルが怖がるだろ」

「ロケットパーンチ」真顔で冗談いうな!

「少し話があるから聞け」

「悪いな俺達は早く悪霊を探して
除霊したいんだよ。つまり忙しんだ」

「わたしなら分かるよ。教えてあげよっか?」

「マジでラッキー、教えてくれー」

「エーータダではム~リムリです
かね ┐(´ー`)┌」
態度が腹立つな!女神仕込か!

「どうすれば良い」

「後で話する。急ぎならまずは
そっちから片付けする!」
 テクテクテクとそのままメイドは
歩いて行った。俺達は仕方なくついて行く。

「うさぎの人形……これだけ種類が
違うな!」
 
「あれは……覚えがありませんな、
私が買ってきたものではありません。
先代の物かもしれませんな」
 ファビー伯爵は首を傾げる。


「ククッ…なんだバレてしまったか」
 うさぎの人形がカタカタしながら
喋りだした。

「人間どもめ、おまえ達は我らを見て
ふるえあかっておれば良いものを、
仕方がない我が直接遊んでやろう。
ボロボロになるまでな、ケタケタケタケタ」

「お前は悪魔だろ、何でこんな所に
居るんだ?」

「フッ教えてほしいか、それガ……」

「じゃま!」
 メイドは「ペシッ」と悪魔の頭を
叩くと消し飛んだ。

「おい!なんで殺したんだよ」

「邪魔くさかったから?」

「そんな理由で殺すな!
なんか言いかけてたぞ!」

「じゃ~メイドだけに掃除しないと
いけないので?」
 
「真顔でふざけんな!お前は殺し屋か!」

「は~、冗談も通じないとはヒト族は
堅物になったものです」

「はいはい、もう良いですよ!」
 とにかく原因は突き止めて排除した。
つまり解決!わざわざ面倒なこいつを
相手にするのは止めだ、この屋敷は
俺達のものここからはウキウキモード
に変更だ!

「よ~し、それじゃ~帰るか!」

「ガシッ」………「なんだよ!冗談は
もう良いぞ」
 肩を再び掴まれた。今度は振り向いて
やらん!

「逃さない」
「げ!?何する放れろ」
 メイドは俺の腰にしがみつきやがった。
何のつもりだ!

「まだ!話をしてない!だから逃さない」

「……そう言えば、さっきなんか言ってたな。
なんだよ!聞くから離れろ」
 メイドは話を聞くと言うとすぐに離れた。

「それで話ってなんだ?
大した事は出来ないぞ」

「傍にいてほしいの!」
 メイドは可愛らしいポーズで
甘えるような声を出す。

「嘘くさいわ」
「あて!?」
 俺はメイドにゲンコツをかました。

「酷いです!女の子にゲンコツとか
ひっど~い!」

「うっさいわ!いちいち
からかいに来んな!」

「そう言ってもしばらくは
離れることが出来ない!」

「なんでだよ!」

「お腹が空くから」

「…………は!?言ってる意味が
分からないもう少し分かりやすく
説明してくれ」

「私は現在ギリギリの魔力で
稼働している状態なのです。
あと一日もしないうちに
スリープモードに移行してしまうのです。
つまり腹が減ってら戦は出来ぬ!」

「何が出来ぬ!だよ。つまり魔力不足だから
魔力をよこせってことだろ」

「そんなところでしょ┐(´ー`)┌」
 いちいち仕草が腹立つ。

「それで、どのくらい魔力を
渡せばいいんだ。一応魔力には
余裕があるから、たぶん大丈夫だぞ」

「それはちょっと難しい事があってしばらく
一緒に居てくれればいいです」

「いや、いちいち一緒に居なくても
魔力をやるって」

「無理なんだな~これが w(°o°)w」
 イラッとする。こいつわざとやってるな!

「それでは説明します。簡単に言うと
変換効率が良くない。貰った魔力が
10として1も自分の魔力に出来ない。
大量に貰ってもただの垂れ流しになる」

「つまり徐々にしか回復出来ないと」

「そうそう、だからしばらく近くに居れば
回復出来るから傍にいさせて欲しい」

「は~」ため息をつきつつ、何となく
だが何を言っても離れなさそうだ。
仕方ない。

「良いぞ。その代わり働いて貰うからな!
メイドだしせっかくだからこの屋敷の
管理を頼む。掃除とかな」

「分かった。それなら得意分野、
任されよう!」

 それから俺達はパンさん達に挨拶を
して屋敷で住み始めた。家を出た時は
チーちゃんに泣かれちゃった。
毎日会うことになるからそんなに
寂しがることないよと言って説得した。


…………………▽
 
 屋敷での初めての食事をしていると、

「う…ま…い………ガクッ」
 レイチェルがフォークを片手に倒れた。

「う、美味い!?」
 いつも騒がしく食べるレイチェルの
気を失わせる程の感動を与える美味しさ、
駄女神が造ったゴーレムだから
ドジっ子キャラになるかと思って
いたのに驚いた。

「美味かったよ。ルビーどうしたらこんなに
美味くなんるだ!」

「最高の味を出せなければテュケ様の
食事係になれない。
私は料理の腕を磨きまくった」

「成る程、なんかうるさそうだもんな、
あの女神」

「テュケ様は食事だけはこだわりが
強い方でした。ウザかったですね。
部屋はすぐに汚すし、部屋は汚れて
いても気にしないので、たまーに
ほっときましたけど」

「ルビー……やっぱり駄女神なのか?」

「駄女神ですよ!天界では常識です」

「そうか……常識なんだな、
それならなんで女神なんて」

「力」………「テュケ様は天才ならる神才!
天界でその力に叶うものがいないと
言われる程に強い力
……………『運』によって女神になったのです」

「ルビー……ふざけてるの?それとも本気?」

「本気も本気です。『運』より強い力が
どこにあるというのてすか~」
 
 ルビーの言う事は分からなくはないが、
『運』だけで女神されたら困るんだがな~

「話が変わりますが、あちらは宜しいの
ですか?」

「あ~あれね……今はどうにも
出来ないかな」
 俺は少し困った顔で答える。
ルビーの目線の先にはリルとジャンヌが
居た。どうもあまりの美味しさに
ショックを受けているようだ。
俺としてはルビーの料理は確かに
激ウマではあるがリルとジャンヌが
作るメニューとは別物、ルビーが作る
のは高級料理でリルとジャンヌが
作るのは心をホッとさせる家庭料理、
そんな感じだから気にしなくても
いいのだが、かける言葉が思いつかん。

「あの~本当に宜しかったのですか、
一緒に食事をしても……」
 お!ジャンヌが目を覚ましたな。
ただまだ言ってるよ。
ジャンヌは真面目すぎるんだよ!

「ジャンヌ異論は認めないぞ!
俺達は一緒に住んでいる
家族なんだ!式神を含めてだ!」

「しかし、恐れ多いといいますか……」

「恐れ多いって……ジャンヌ
……風太先輩を見ろ
遠慮など微塵もない」

 風太は食べ慣れない高級料理を
一心不乱に食べている。

「ん?なんだまだ言ってるのかジャンヌ、
お前は間違っているぞ!確かに主人に
従うことは重要なことだが、お前は蒼字
(そうじ)の事を本当に考えている
のか?」

「もちろんです!ご主人様に為に……」
 ジャンヌは強い思いで風太に告げる。

「それならば、ジャンヌはまだ蒼字
(そうじ)の事をもっと知れ、お前に
足りないのはまずはそこだ!
それさえ出来ればジャンヌ、
お前は蒼字(そうじ)に
とって最高の式神になれるであろう」

「……………分かりました風太先輩!
私、やります」

「良し、私もジャンヌを応援しよう」

「はい、ありがとうございます」

 なんかあそこで勝手に盛り上がって
るけど、俺が言いたい内容からズレてる
から、もっと気軽に行こうぜ!
ジャンヌの場合堅苦しいとかむず痒い
とか、あと俺ってそこまで大したこと
してないよ!ジャンヌの方が
すごいんだからね!他の人が知ったら、
俺どうなるのよ。

「なかなか面白いパーティてす」

「お!ルビーもそう思うか、
フッ……俺は結構好きなんだよ。
お前もしばらくはパーティの一員
だから宜しくな!」
 俺は軽く笑いルビーに握手を
求めたかった。

「承知しました」
 ルビーは俺の手を握ってくれた。

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