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第六章 伝える想いと伝わる想い 

あっけない決着

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「ドスーーン………パラパラパラ」
 くまが落ちてきた。もちろん
……野生の熊ではない!

「いきなりぺったんこだな」※健司
「いいか!お前も変な事すればああなるんだ
 覚えておけ!」※一樹

 ここ最近健司は華凪にアプローチを
しているがまったく上手くいく気配がない。
そのうちうざがられてさっきの奴のにの前に
なるのが落ちかもしれない。

「うーん、なかなか良い攻撃だね!
 ただ動きが遅い、そして野蛮だ!」

 ヴィーはいつの間にか華凪に接近、
何事もなかったようにそこに居た。

 ヴィーの手が華凪に触れようとした時、
「ビュッ」と鋭い刃がそれを阻んだ。

「それ以上華凪に近づくな、
小間切れにするぞ!」※白根

 ヴィーは目を細める。
「なんだい君は僕と華凪の邪魔をするのか?」

「お前は華凪には相応しくない!」
 白根のオーラが高まる。髪が一気に
逆立ち。
 ヴィーの方向に向き、突き刺すように
直進した。

「ふー危ないです!」※ヴィー
 何故か髪はするりと横にズレ、
地面や周りの物に刺さった。

 白根は得体の力に一度下がった。

「それがあなたの力!」※白根

「フフッ、知りたいですか?教えてあげても
 良いですが、あなたの私への態度を
改めてくれたは考えてあげてもいい
ですよ!」※ヴィー

「いい!そんなの知りたくない!
 さっさと潰れて!」※華凪

 クマ型のゴーレムが10体ヴィーを囲む。
 
『くまくまボンバー』
 ゴーレム達は高速の連続パンチを繰り出す。
 しかしまるで当たった音がしない。
 
 その動きを華凪は見る。
 ゴーレムから放たれたパンチは不自然に
 曲がっていることが分かる。
 
「いやーそんなに熱い目で見つめられると
照れますね!もっと見ていただいても
良いですよ!」※ヴィー


「うん、見るけどあなたには1ミリも
興味ないから」※華凪

『ベアシャトルヘッド』※華凪
 一体のゴーレムがビュッと頭を突き出し
 吹っ飛びヴィーに当たる直前またしても
 曲げられてしまった。

 見る限りではあの程度の威力ではダメ
 連続攻撃も受け切られた。しかも全方位から
 攻撃したのに攻撃が当たらない。

 それなら次は意表をつくしかない。
 
 華凪は自らヴィーのもとに歩いていく。
 
「お~華凪………僕の胸に飛び込んでおいで」
 ヴィーは両腕を広げ待つ、しかし華凪は
 来なかった。正確には来れなかった。

「白根さん………」※華凪

「華凪がそこまでする必要ない。
 私が全部切り裂く」※白根

 白根は華凪の前に立ちヴィーの相手を
 かって出るが、華凪に肩を叩かれ振り向く。

「白根さん、一緒に闘おうよ!」
 笑顔で言われ白根は感動大きく
首を縦に振った。

「先行は私がやる!華凪はあいつを
潰して!」※白根

「うん」※華凪

 白根は髪を操りヴィーを攻撃、ヴィーは
 何をするでもなくただそこにいるだけ、
 しかし白根の攻撃はさっきまでとは違った。

 白根はヴィーの周りに髪を纏わせるだけで
何もしない。ヴィーは何のつもりか
分からないが、自分の能力に絶対の自身が
あったので何かをしようとはしなかった。

 いつまで経っても動きを見せない為、
だんだんとヴィーはイラつき、動きたく
なっていたのだがこの能力は攻撃をすると
発動できないため動くに動けなかった。

「どう言うつもりだ!来るならさっさと来い」
 ※ヴィー


 
「白根さん、これは確定ですね!」※華凪

「あとはどうやってあいつに攻撃を
させるかだけどあいつ頑なに攻撃して
こないみたいだけど」※白根

「……………………じゃ、このまま攻撃しないで
もらいましょう」※華凪

「……………そっか!わざわざ倒さなくって
良いんだ!でも髪にあいつの匂いが
つきそうでイヤー」※白根

「頑張って白根さん!終わったら
私が洗ってあげるから」※華凪

「は!分かりました」※白根
 白根はビシッと背筋を伸ばし
気合を入れていた。


………………▽
 
 ここはダンジョンの外、
 あれから髪を纏わせたままヴィーを
運んでいる。相変わらず何もしては
来ないのだが、一瞬たりとも
白根は油断していない。

「くっ……どうするこのままでは
捕まってしまう。こんな髪いとも
簡単に引きちぎりるものを」
 ヴィーはとうとう苛立ちがMAXに
なろうとしていた。
 

「なんか思ってたより楽勝だったな!」
※健司

「やばい奴らって言っても、その中に
一人や二人ザコはいるだろう。今回は
オレが出るまでもないザコだったな!」
※一樹

 ヴィーの眉間にシワがより、
青筋がたっていた。

「ふ、ふ、ふざけるなよ!この私をコケに
するとはいい度胸だ!絶対に許さん!
全員殺してやる!」

 ヴィーは能力を解き、白根の髪を
切り裂いた。

「バカで良かった!単細胞さようなら」

『ベアスポットインパクト』
 華凪は左腕で右腕首を支え、
くまの手形のオーラを
ヴィーの腹にぶっ飛ばす。

「ボバー」※ヴィー
 見事に攻撃が当たり完全に沈黙した。

「一発で終わりなのね。あっけなかったわ
 きっと攻撃を受けた経験が少なくて
痛みに対する耐性がなかったのね!
 ま~そんな事はいいか華凪に手を
出すことは許さないからよーく覚えて
おきなさい。

 白根は華凪を抱きしめ、嬉しそうに
笑っていた。
 
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