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第五章 長寿薬ノア 

ヘルヘイムのユルグ

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 首だけが転がっていた。顔も殆とんどが
黒く消滅している。

「くそ………ま・け・た・か……」※スリーズ

「もう諦めろ!そこまでダメージを受ければ
再生は出来ないだろ。今までおまえが
したことを悔いてあの世に行け!」※八雲

「アッハハハ、ボクは…そんな事
…しないよ!今でも…こんな世の中
…無くなれば……いいと…
思ってるからね」※スリーズ

 笑顔で塵と成って消えた。

「スリーズ、お前は哀れな男だよ!
一体お前になにがあったんだよ!
この世をそこまで恨む理由って
なんなんだよ!」※八雲

 八雲の中で中でやるせない気持ちが
湧き出てきた。

「うっ、ヤバいな!先生、そろそろ
限界っぽいです。お願いします」※八雲
 八雲は耐えるようにリームに声をかける。

「分かったのじゃ、良くやってな!
あとはゆっくりと休め」※リーム

 リームは風に乗せて粉を飛ばす。

「妖精!それはなんだ!」※赤城

「これは少し強力な睡眠薬じゃ、
八雲は光の精霊闘気を使い、闇の力が
表に出始めた。このままでは、
以前と同じように飲み込まれる」※リーム

「そうか……それは面倒だ!さっさと寝ろ」
※赤城

「お~う……悪いなあとは任せた。
赤城、先生おやすみ~………ぐ~」※八雲

 八雲は倒れるように眠りにつく。

「これで大丈夫なのか?」※赤城

「うむ、多少は時間がかかるが、
徐々に回復はする。この術の難点は
ここじゃな!効果は大きいが喪失も
大きい、暴走するのを問題と八雲は
しておるが、実際これ程の心の変動が
あれば心に何らかの障害が出ても
おかしくはない。使用は控えるべきじゃ」

「八雲の能力は全体的にリスクが高い。
ゆえに安定感がない。もう少し良い方法は
なかったのか?」

「うむ!それについては八雲自身も
わかっておる。だからこそ我の弟子と
なり教えを受けた。少しでも、『ライフ』の
ようなリスクの高い能力を使わずに済む
方法を手に入れるために、しかし、
周りがそれだけでは許してはくれなかった
のじゃ、『ライフ』とはとても便利で
強力な力!お前を筆頭に強いやつが 
多すぎた」※リーム

「なんだ!最後の最後に皮肉か?とは
言えお前が言うことは正しいがな!」
※赤城

「随分と素直ではないか
………少々物足りないのじゃ」※リーム



『おかしいと思ったがスリーズは
殺られたのか』

 40代くらいの落ち着いた雰囲気を
持った男が部屋に入って来た。赤城と
リームは即座に戦闘態勢に入る。
 
 明らかにヘルヘイムと思わせる
禍々しいオーラ、そして今までで
感じたことが無いほどの圧力を感じる。

「貴様何者だ!」※赤城

「わたしか!私の名はユルグだ!
覚えんで良いがね!」

「お前………」鋭い目つきになるリーム

「どうしたリーム殿、私の顔になにか
付いているかね」※ユルグ

「お前妖精なのか?」
 リームは難しい顔をしている。
 確信をしながらも迷いがあった!
あり得ないと!

「ふん!分かるか?リーム殿
……その反応を見ると信じることが
出来ていないようだが、その通りだ。
私は妖精だ、正確には元妖精だかね!」
※ユルグ

「妖精動揺するな!まだ戦いが始まっても
 いないのだぞ!」※赤城

「わかっておる!冷静でなければ
ならんことはな!」※リーム

 ユルグは奥で寝ている八雲を見る。
「スリーズを倒したのは彼かね!
どうやらだいぶお疲れのようだ!
………彼は邪魔になりそうだ!」※ユルグ

 その一言を切っ掛けにリームと
赤城のオーラが高まった。

「我が弟子に手は出させん!」※リーム
「まずは俺を倒してからにして
もらおう!」※赤城

「………そうか、出来れば今のうちに
殺しておこうと思ったが、簡単では
なさそうだ!今回は目的は達成している。
お前たちにも用もないしな」※ユルグ

「逃がすと思うのか!」※赤城

「フッそうだなそう簡単には逃が
してはくれないとは思っているよ。
しかし彼の力を借りればそれ程
難しくはないんだよ」※ユルグ

 ユルグは懐から宝石を取り出す。
 紫色の直径10センチメートルくらいの
 禍々しいオーラを放つ宝石を……

『や~先程振りだね!リームに赤城』

 この声は………

 リーム、赤城共に動きを止める。

「ハハッどうしたんだい、僕か死んたかと
思ったのかな?
 残念だったね。さっきの!僕の本体
じゃないんだよ!」※スリーズ

 ユルグの後ろに黒い穴が出現

「今回は勝てなかったけど目的の
『雷霆の宝玉』は頂いていくね!
次に会う時はしっかりと死んで
貰うから覚悟しておいてよね!
……それじゃ~」

 スーッと闇に吸い込まれて行き逃げ
られてしまった。 

「チッ面倒なことになりそうだ!」※赤城

 リームは黙り何かを考えている。

「妖精、奴らは撤退したと思うが、
まだいる可能性はある。ボケっと
してないでさっさと行くぞ!」※赤城

「分かっておると言っておろう!
さっさと行くのじゃ」
 リームはそのまま部屋を出ていった。

「まったく……動揺が過ぎるぞ!妖精」
※赤城

 赤城もリームの後を追い部屋の
外へ出て行った。


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