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過去編 結城とあゆみ悲劇までのカウントダウン 

過去編 過去を変えることは出来ない!

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「確かこの辺にさっきは居たんだけど」
※あゆみ

「特長があってるなら僕も居たのは
覚えてる。でも、そいつからは何も
感じなかった。僕の『ホーリーサーチ』に
引っ掛からない能力を持っていると思う。
 あゆみ不意打ちには気を付けるんだ!」
※結城

『ホーリーサーチ』
  以前ハサンドラ砦でマトンと言う魔人を
 見つける際に使った魔法
 魔人特有の魔力や強い悪意を感知する。

「お兄ちゃん!二手に別れよう!」※あゆみ

「なに言ってるんだ!あゆみ!!」※結城

「お兄ちゃん、言いたいことは分かるけど
 今はそれどころじゃないよ。
 こうしている間にも村人に危険が
 迫ってるかもしれない!!」※あゆみ

「それは分かるが………」※結城

「私はあっちに行くからお兄ちゃんは
 あっちをお願い!」※あゆみ

 あゆみが走っていくその後ろ姿を見て
 追いかけそうになるがぐっと足を止める。
 
 あゆみの気持ちを尊重したかったからだ!
 結城は言われた通り反対側を走っていく。
 しかし、この時追いかけなかったことを
 結城は一生後悔することになる。

……………………………………………………
           過去を変えることは出来ない
……………………………………………………

「あ~もう!どこ行ったよ!
あのおばあちゃん」※あゆみ

  周辺を捜索しながら走っているが
 特に目立った騒ぎもなく村人は普通に
 生活している。もしかしたらあれは
『村殺し』ではなくただの大柄な
おばあちゃんなのかもと思い始めた時、
ささやくように声が聴こえた。

『お嬢ちゃん
         あなたには大切な
                     人はいるかい?』

 その声は身体に響き心に直接ノックを
 されるような衝撃を感じた。

 あゆみはふらつきながらも声が聴こえた
 側面を向くが誰もいない。

『お嬢ちゃんからは良い響きが聴こえるよ!
 ア~イイヨ~もっと聴かせてくれるか~い』

 相手がどこにいるのか分からない
 声だけが聴こえる。

「これ!幻術………それなら
 光よ闇を照らし、あるべきものよ現れよ!」
 ※あゆみ
『ライトウェーブ』

 光の波が周辺を照らす。
 この魔法は相手の悪意に感じると
 波が僅かに揺れ相手が居る方向を探すことが
 出来る。
 
「うぐっ………なんで見つからないの!」
※あゆみ

 村殺しの姿は未だ見ることが出来ない。
 あゆみには敵の力が未知のものと感じ
 対処方を模索しようとするが、何故か
 頭がまわらない。

「なんじゃ!私の姿が見たいのか~」
 目の前に人の形をしたモヤが発生したかと
 思うと、姿を現した…………『村殺し』だ!

「目の前に居たのは?なんで気が
つけなかったの?」※あゆみ

「何故?お嬢ちゃんには見えないさ~
 私達はね~人であって人ではない存在
 知らず知らずに目を背けてしまうのさ~」
 ※村殺し

「何を言ってるのかわかんないけど!
 あなたをこれ以上野放しに出来ない!」
※あゆみ
 あゆみは剣を構える。

 村殺しは杖を少し上げ「トン」と
地面をた高く。地面に波紋が波打ち
世界が変わった。

「な に こ れ」※あゆみ

  あゆみの前に現れたのは多くの人
しかし普通ではなかった。恐らく同じ
村人が争い殺しあっている。

「うふふ、お嬢ちゃんは特別じゃよ!
 色んな音を奏でてくれるから………聴こえる。
 聴こえるよ! お嬢ちゃんの心の旋律が!」
 ※村殺し

「あなたはなんでこんな酷いことができるの!
 こんなことして何が楽しいの!!」※あゆみ

 あゆみからオーラが吹き出るように高まる。
 
「これ以上は絶対にさせない!」※あゆみ
 村殺しに突撃するように飛び出す。
 高速で直線的に走り、剣を振り上げ切り裂く。
 
「キーン」金属がぶつかり合う音が響く。
 何十何百と剣が交わり悲しい声が聴こえた。

「もうやめてくれー
 目を覚ますんだ!あゆみー」※結城

 怒りの形相で結城に剣を向けるあゆみ。

「兄弟がそれぞれの音を出し新たな曲が
生まれる。あ~なんと言えば良いのか!
お嬢ちゃん達はとても澄んだ音色を出す
からか、その音が大きく歪み……悲しみや
怒りへと 変わった瞬間私の中の何かが
呼び覚まされる。そんな気持ちに
させられる」※村殺し

 村殺しは身体がうずくのか!
 震え歓喜の雄叫びをあげた。

「くっ」このままでは押しきられる。
 すまないあゆみ! 兄を許してくれ

結城のオーラが高まる。
刺突で攻撃してきた剣を結城は素手で掴み。
そのままあゆみの懐に入ると背負い
投げの要領で地面に投げる。しかし結城は
あゆみに怪我などさせることは出来ない。
出来る限りそっと地面に落とした。

『正方結界(せいほうけっかい)』
 あゆみを包むように透明な壁が発生し
 あゆみを閉じ込める。

「お前、許さないからな! 村殺し!!」※結城
 結城は今まで誰にも見せたことのない
 怒りの表情になりオーラもまたそれに
 呼応するかの如く赤く光

「お前さんは勇者かえ、
 そんな顔しとったらいかんよ!
 冷静になりんしゃいあんたの音はまだ
 ちゃん~と聴いとらんから」※村殺し

「もういい、あんたは死んでくれ!」

 結城は目にも止まらぬ速さで
 村殺しの首を跳ねた。

 
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