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過去編 結城とあゆみ悲劇までのカウントダウン 

過去編 勇者結城

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「は~疲れたわ~」※未希
 大きく背伸びをしてリラックスしている。
 しかし、その周りには戦闘による痕が多く
 残っており未希のほのぼのとした空気を
 微塵も感じさせない惨状だった。

「あの野郎、なかなか頑なに開けないから
 苦労したぜ」※大地

「大地、ナイス!!褒めて使わすわ!」※未希

「は、は~ありがたき幸せ」※大地
 大地は紳士のようなお辞儀をして
ふざけていた。

 こんな明るくふざけているが、
 戦闘は壮絶であった。
 未希による氷球の連続発射、
 地面や壁が穴だらけになっており、
 大地もまた鉄球を放ったためより
 周りが悲惨な状態になった。

 最終的にはなかなか腹を見せない
魔人に対して、大地は魔人の足元の
地面を吹き飛ばし上空で丸まっている
魔人の割れ目に鉄のプレートを差し、
未希が冷気を放ち魔人を凍らせると、
氷のバットを構え思い切り振り抜き
魔人を地面に打ち付けた。地面に
鉄のプレートから落ち身体が真っ二つに
なり絶命した。

「お疲れ様です。大地さん、未希さん」
※結城

「お! 結城じゃん、そっちも終わったのか?」
 ※大地

「はい、こちらもなんとか魔人討伐
完了しました。と、言ってもあゆみ1人で
倒して僕はただ見てただけなんですけ
どね!」※結城

「え!? すごいじゃん1人で倒したの?
 私達なんてどんだけ苦労して倒したと
 思ってるのよ!」※未希

「あゆみもずいぶん強くなったと
言うことですね。嬉しい限りですよ!」
※結城

 嬉しそうに結城は笑う。しかし大地と
未希はあゆみちゃんがいないことに
気がつきどうしたのかと聞く。

「あゆみですか!兵士の皆さんと
残党狩りをしていますよ。まだ体力が
余っているそうです!」※結城

「そっか、それなら良かった!
結城くんいつもあゆみちゃんに
ついてるからいないと何かあったん
じゃないかと不安になったゃった。
変なこと聞いてごめんね」
 ※未希

 結城は軽く笑いながら首を振り
「僕も分かってはいるんですけど
 どうにも過保護になってしまって、
 あゆみには邪魔臭く思われてるかも
 知れませんね!」※結城

「そんなことね~よ!
あゆみちゃんはお前のこと尊敬
してるからな煙たがられること
なんてないと思うぜ!」※大地

「そうそう!! ただしあゆみちゃんに
彼氏が出来たらどうかしらね!
うふふふ」※未希

「コラコラ、未希なんてこと言うんだ!
 空気読め空気!!」※大地

「アッハハハ、そうですね!その時は
きっぱりとあゆみから離れますよ。
もちろんそいつがあゆみに見合う人
だったらですけど!」※結城

 その時は大地と未希は卯すら
寒い雰囲気を感じた。


「で、でもなんでこっちに来たんだ!
こっちも終わったしあゆみちゃんが
強いのはわかってるけど心配だろ。
俺達も行くか?」※大地

「いえ、もう強いモンスターは
ここにしか居ませんので、あゆみ達に
任せています」※結城

「? ……………どういう意味だ結城」※大地
「魔人は倒したわよ!………あ! もしかして
 こいつ死んだふりしてるの?」※未希

  未希と大地はダンゴムシ魔人を
見て警戒をするが、動く様子は
特になかった。

「も~結城くん脅かさないでよ!
こいつもう死んでるよ!もしものことを
考えているなら凍らせようか!」※未希

 手から冷気を放ちながら結城と話す。
 しかし、結城は首を振り「少しそいつから
 離れて下さいと」言った。

 大地と未希は不思議に思いながらも
ダンゴムシ魔人から離れた。

「もうそろそろ出てきてはどうですか!」
※結城

 ダンゴムシ魔人の死骸に話しかける結城
その目は一切の油断もなく真剣な
眼差しだった。しかし特に変化は
見られなかったので、痺れを切らせて
未希が話しかけた。

「結城くん、気にし過ぎじゃないのかな~
 ほらこいつ真っ二つだし生きてないよ」
 ※未希

「そうですね!わかりました」
結城が納得してくれたと未希はほっと
したが、それはほんの一瞬のこと
だった。

「出てこないのであれば攻撃させて
いただきます!」※結城

 未希と大地は結城の行動が想定外
だったため驚き硬直する。

『ライトセイバー』※結城
 結城の剣が輝き頭上に剣を振りかぶると

「まてまて、あせるでない」
※しわがれた謎の声

 大地と未希は戦闘態勢を取る。
結城は特に動かず死骸を見つめる。

 ダンゴムシ魔人の腹がモコモコと
動き出した。びきびきと音をたて
血渋きをあげそこから小柄な
おじいさんが杖を持って出てきた。

「まったく持って生意気なガキじゃ
 せっかく油断したところを狙おうと
 思っておったのに台無しじゃ、
 は~めんどうじゃ! めんどうじゃ!」
 ※小柄なおじいさん

「なんだこいつ!魔人か!?」※大地
「何てところから出てくるのよ!
気持ち悪い」※未希

「ふん! 黙れ人間、お前達など
いつまで居座るつもりじゃ!さっさと
死滅してしまえばえ~のじゃ」
※小柄なおじいさん

 小柄なおじいさんは顔を赤くして
怒っている。先程の発言から人間では
ないようだ。

「あなたは魔人ですね!そして人に
害をなすなら、あなたを敵です」※結城

「お前さん、本当に生意気なだ!
このマトン様を相手に勝てると思って
おるのか?ブラストのガキを倒した
くらいで調子にのりおってからに
苦しんで死ぬがよい」※マトン

「こいつ、こないだの魔人より
強いのか?」※大地
「大地、気負いしないでまずは
冷静になるのよ」※未希

 大地と未希の警戒度がマックスになる。
マトンから恐ろしい程のオーラが放出
先程のただのじいさんとはまるで
雰囲気が違う。角が生え肌の色が
紫に変化……魔人と化した。

「さ~楽しもうではないか殺戮………」
※マトン

「すまないがあなたに付き合うつもりは
 ないんです
……………『一刀雷斬(いっとうらいざん)』」
※結城

 マトンが喋っているさなか、
 結城が一瞬光、次に見た時にはマトンは
 消し炭になり、その先に結城が立っていた。

 
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