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第四章 結城との再開 

結城と八雲

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「やー久しぶりだね!八雲くん」※結城
軽く手を上げ昔と同じような爽やかな
笑顔で僕に声をかける結城さん

「結城さん………」
 八雲はそれ以上声が出なかった。
僕はいったい結城さんに何を言って
良いのか分からなかったから…………


 リームは飛んでいき、八雲と結城の間
に割って入る。
「久しいのう結城、思ったより
元気そうじゃのう」

「リームさんご無沙汰です。
 リームさんは八雲くんの
 指導を続けておられるんですか?」

「そうじゃ、いつまで経っても
心配をかける弟子でまったく
離れられないのじゃ」

リームは結城を厳しい目で見るが、
結城は相変わらず笑顔

「リームさんは弟子思いですね!」

 凛は不思議に感じていた。
どうやら結城と言う男は知り合い
らしいが、なんか八雲とリームさんの
様子がおかしい、八雲は怯え、
リームさんが守っているように見える。

「セシリアさん!良かった。
貴方も居たんですね。聞きたかったん
ですよ。シャインの皆がどこに
行ったのかと?」

「結城さん………」
少しセシリアは間を相手喋る。

「シャインに何かしらの緊急事態が
起きたため一時的に異界に転移したと
思われます。ですので安心して
ください。皆さんは安全な場所にいます」

「そうですか、良かったです。それで
 どうすれば行けるんですか?」

「城の中に異界への入口の鍵が
ありますのでまずはそれを取りに
行きましょう」

「分かりました。まずはそれを
 取りに行きましょう」

結城と合流し鍵を探しに行く。

「セシリアよ!鍵はどこに
隠しているのじゃ?」

「鍵は城の中央にある泉の中です。
 但し沈んでいるわけではありませんので、
 見つけるのはかなり難しいですけどね!」

「さすがに簡単に見つかったら
意味ないワンもしや俺の嗅覚が
活躍してしまうのかワン」
 ※ポチ

「ポチさんすいません、たぶん匂いが
まったくないので見つけられないと
思います」

「ワ~ン!Σ( ̄□ ̄;)」※ポチ

ククがポチを撫でる丶(・ω・`) ヨシヨシ

 そうこうしている内に到着
セシリアはしゃがみ手を水に浸ける。

「大丈夫そうです。鍵を召喚します」

 セシリアが触れている場所から
波紋が広がりいくつもの魔方陣が
展開され、魔方陣がそれぞれ
ぶつかり合い、その度に音を奏でる。
それはとても澄んだとても
心に響くものだった。

 魔方陣がぶつかり続け最後の
一つになると、その魔方陣から
金色の鍵が現れた。

 セシリアはそれを手で取る。

「初めてでしたけどうまくできました。
 これで入口が開けます。それではそこに
 行きましょう」


……
………

 それから城を出て町外れの教会へと
向かいました。

「ずいぶんと離れた場所にしたものだ
 そこにしたのにも何か理由があるのか?」
 ※赤城

「いいえ、特にありませんよ!」
 ※セシリア

「ないんかい~………ワン」※ポチ

「理由は簡単ですよ。ランダムなんです!」

「ランダム?ってどう言うこと
ですか?」※凛

「転移が発動したさいにランダムで
入口が決まるからです。ですので
今回は遠くになっただけで、もしも
次行ったら城の中になんて
 可能性もあります」※セシリア

「ではどうやって今回は入口が
分かったのじゃ?」※リーム

「鍵を召喚しているとき、
音が出ていました。あの音は実は
暗号になっていまして、私達聖女と
王族であれば分かるんですよ」
 ※セシリア

「そうでしたか!これはいくら考えても
 見つかりそうにありませんね!
本当に良かった」※結城

結城さんはとても嬉しそうにしていた。

ここが入口の教会です。

「すごいーとっても大きいの!」※クク
「ここの教会も立派な建物!」※凛

「そうですね!その辺の町の教会より
 大きいかもしれません」※セシリア

 3人が話している時、少し離れた所で
八雲と結城が話をしていた。

「結城さん………今までどこに
おられたんですか?」※八雲

「あ~そうだね!心配かけたよ!
ごめんな!歩のことで心を落ち
着かせるのに旅に色々行ってきたよ」
※結城

八雲は手を強く握り締める。

「結城さん、僕はどうすれば………」
 ※八雲

結城は八雲の肩に手を置き

「八雲くんあの時は………君にはどうにも
 できなかった。それは私も分かっている」
 ※結城

「私も昔とは違う!もうあんな事は絶対に
 許さないがね!」※結城

結城は決意した表情に変わり、
八雲は強い意思を感じた。

「さっさと行こうワン、
腹が減ったワン」※ポチ

「ワーン?………なんかいる
ワン(*・ω・)」※ポチ

教会から見覚えのある2人の
男が出てきた。

「坂本さんと梵字(ぼんじ)さん………!!」
 ※八雲

「八雲あの人達、知り合い?」※凛
凛がかけよって八雲の声をかけた。

「うん!そうだよ!僕と同じで
勇者召喚された人達、一緒こっちで
戦った仲間だよ!」

「そっか!敵じゃないんだね!安心!」
 ※凛

 凛と話をしてしている間に、何故か
次々と兵士が出てきた。100人はいる
だろうか?

「それ以上近づくな!
………お前とて容赦はしない」

 大声で威圧するように声を
かけてきたのは、ガンジールさん、
異世界に来てから僕の指導員を
してくれた人だった。

どうしたんだろうすごく敵意を感じる。
ただ事じゃない。何が起こったんだ!?

「ユウキィィィー正気になれ!!!」
 ※梵字さん
「結城くん、今からでも遅くは
ありません。我々に従って下さい。
これ以上罪を重ねないで下さい」
※坂本さん

 僕を含め皆が結城さんを見る。
結城さんはさっきと違い無表情に
なっていた。まるで何も感じて
ないように!

「結城……どういうつもりかは知らんが、
 王に手を出した以上、どうなるか分からん
 お前ではないな!」※ガンジール

「重歩兵まいえー! 魔術強化せよ!」
※ガンジール
 ビックシールドを持った歩兵が
僕達の前に整列し並ぶとその後衛の
魔術士が歩兵に強化魔法を施す。

「結界魔法 シールドホールド」
 ※ガンジール

 重歩兵のシールドからオーラが
放出され、僕達の私も周りを取り囲む。

結城の身体がダラーンと脱力したように
見えたかと思うと、凄まじいスピードで
オーラの結界の隙間をくぐり、
重歩兵の前に仁王立ち、「ビクッ」と
重歩兵が反応即座に防御体勢に入る。

結城は一言なにか呟いて、
重歩兵3人を剣でなぎ払った。

「結城さん……なにを……」※八雲
八雲だけではなく、皆が何が起こったか
わからず立ち止まっていた。

 結城さんの後ろ姿はかつての誰もが
信頼する勇者の後ろ姿ではなかった。


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