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第1章 「悪魔」
第13話「幕間①ダウト」
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船が出航して私たちは傷国の戦場へと向かっていた。着くまでにはそれなりに日数もかかるため船上生活を楽しむことにした。
「ささ、始めるわよ?」
「よーし楽しくなってくるなー!」
「あれれー?みなさん私に勝てるって思ってるの?」
私たちはトランプで賭けをすることにした。賭けの内容は今回の報酬の山分け金額。6:3:1の割合に割り振って勝負をする。今回はダウトで勝負。この勝負は互いに親睦を深めると共に誰が何を企んでいるかを知るためだ。
ダウトはいかに相手を騙して先に上がるかのゲーム、すなわち私たちの中で1番の嘘つきが誰かを見つけるゲームでもある。A~Kまでを順番ずつ裏返しで出していく、もちろん騙して別のカードを出すのが醍醐味。
「じゃすみれ、シャッフルしてくれる?ジョーカーは使わないから抜いといて。」
「わかりました!」
すみれはカードをシャカシャカとシャッフルしていく。もちろんズルしないように私と周は監視をしていく、やる前に簡単に2人にはルールを説明してあるから盛り上がる一戦になると考えた。
すみれは1枚ずつ順番に配っていく。そして三等分をしたらスタートする。配ったすみれから周、最後に私の順番でぐるぐると回していく。
「じゃあまずは私から!」
注意深く観察をしていく。確かすみれは嘘をつく時は右に目線を向ける。手の指先を少し曲げて。
「A!」
視線は私を向いていた。やはりすみれも殺し屋になった子、そう簡単には見破られないようにする。
「次はおれか、2。」
私は1番周がわからない。しばらく一緒に活動をしているけど藤宮から過去を聞くまでは全くと言っていいほど隙を見せなかった男だから今も何を考えているのかさっぱりだ。
「最後私ね、3。」
「4!」
「5。」
私は舌を少しだけ出した。そして周が見せた一瞬の瞬き2回を見逃さなかった。
「ダウト!」
勢いよく私は叫んだが周はまるでケロッとした顔のまま私を見つめてくる。
「お、いいんだな?」
なんだ、そう聞かれると私の決断が少しだけ揺らいでいく。人は自分の意見が相手と違う時に瞬間的に自分に対して疑問を持ってしまう。そこをつかれたけど私の決意は固かった。なぜなら私の手札に5が3枚もあったからだ。だから確率は高いはず!
「それじゃ見せますね...」
すみれがゆっくりカードをめくる。数字は...9だった。
「なっ!?」
「残念だったなあやめ、ほれw」
ダウトを宣言した人が失敗をすると中央に出したカードを全て手札に加えないといけない。5枚も加えてしまったことでハンデがついた。てか加えて見てみるとAからすでに数字が違うことが発覚した。すみれのやつ...
「じゃあ6。」
「7!」
「8。」
さてと、私がこんなやられるようなタマじゃないことを証明する。唇を少し窄めて噛む。
「9!」
「10!」
「J。」
「Q!」
「ダウト!」
しまった、すみれにダウトと言われた。私は咄嗟に誤魔化すセリフを考えて牽制する。
「あら、いいのすみれ?わたしQは2枚あるのよ?」
「はい!ダウトですよ!」
私は静かにまた山札を回収する。すみれは笑いを堪えるのを必死で耐えている。
「なっ、何がおかしいのよ?」
「先輩気づいてないんですか?気づいてないならそのままでw」
「あんたいつから性格悪くなったのよ、そんな子に育てた覚えはないわよ?」
「先輩はお母さんじゃないじゃないですかー?w」
「う、うるさいわねー!///」
楽しいのと同時に少しずつ恥ずかしさが増していく。
「じゃ続きは私からですねー!K!」
「じゃもどってA。」
「2。」
「3!」
ーーーーーー
気づいたら私の手札が山札なみにたくさん揃ってしまった。残りすみれが3枚、周が2枚まで迫ってきた。もう私は1割確定になったが意外とすみれもトランプゲームが得意だとは思わなかった。いや、麦国じゃ普段から賭けの一つとしてポーカーをやっているのかもしれない。
周も相当やりこんでいるような抜け目のなさが見える。普段から何考えているかわからないからこそこういう心理戦は本当に強い。
「さぁすみれ、次はお前の番だぜ?」
「わかってますよ、6。」
「7。」
「8。」
「9!」
「ダウトだな。」
「ほんとてすかー?w」
ニヤニヤしながら周を見つめて目で何かを訴えかけているような見えた。互いが目を見つめてにやけている。
(まだガキとはいえ、ここまでやるとはな。だがおれの予想はほぼ当たっているに違いない。)
(さすがは周さん、ここを突いてくるのは腐っても十将は伊達じゃない感じ。けど私は負けられない、山分け大量にゲットしてみせる!)
私には目でそんな会話を繰り広げているんじゃないかと想像しながら答えを待った。すみれは静かにカードをめくる。9だった。
「残念でしたね?w」
「まぁいいさ。まだ反撃はできる。」
「すみれやるじゃん!あと2枚になっちゃってるよ。」
「えへへ、先輩に褒められるの照れちゃいますよw」
笑ってるすみれはやっぱりかわいいなぁー!てか周の疑りをかいて普通に9を持ってるなんて思わなかったけど。
「じゃあ私ね、10。」
「J!」
「..Q。」
「ダウト!」
周は黙って手札に加えていく。私が山札ほど持っていると言うことは必然的にダウトという回数は増えてくる。これで勝負を泥沼化させていくつもり。
「じゃK!」
「A!」
「ダウト!」
「あれー先輩いいんですかーそんなに簡単にダウトって言っちゃって?w」
ニヤけながら私に言ってくる。さっきは周にまんまと引っかかったことを考えるとここは一度引いてみよう。大丈夫、あと1枚だ。
「やっぱ辞めとく!」
「なんだよwじゃ2。」
「3!」
さぁ、ついに復讐の時だ。すみれごめんなさい。最後の最後でなんだけど、私4は3枚あるんだよな。たぶん周が1枚持っているはず、何食わぬ顔して。だからここで一気に枚数を増やして逆転のチャンスを作る。
「ダウト!」
私はダウトを宣言して勝負に賭ける。さぁ、すみれは一体どうするのか。
「はい!」
すみれはあっさりとカードをめくった。3だった。つまりすみれはダウトを一度も食らわずに上がってみせた。
「やったぁー!これで今回の山分け半分以上ゲットだー!何買おうかな、この間向こうで出た新作の服とかバッグとか買おうかな!?」
喜びを隠さず無邪気にすみれは私たち2人に勝利を見せびらかせた。
「クソ、まさかトランプが得意だとは思わなかったな。これだったらチェスとかで勝負した方がよかったか!」
「チェスだと3人で楽しめないじゃないですかーまぁ先輩の分け前奪えればそれでよかったのでw」
あんた私のことそんな風に思ってたの...
「まぁ3割なら悪くはないか。あやめは...まぁ今回はご縁がなかったってことでw」
「あーあ、なんか一気に帰りたくなったんだけどー」
私は少し不機嫌になりながらもトランプを回収していった。するとすみれは優しい声で呟いた。
「ほんとに、楽しかったな...」
無邪気に楽しんだ子供がほっとした声で言うような声で言うもんだから私も周も振り返ってしまう。確かにずっと大変な思いをしてきていたのはわかるから、こうやって誰かと遊んだりするのが本当に楽しいのだろう。2人は満足気な顔でニヤニヤしている。
「まぁまたやろうぜ、また分け前を賭けにしてな。」
「そうですね!また先輩の分け前をいただいちゃいましょう!」
「あんたたち、次は絶対負けないからな?」
こうして私たちは戦場に向かいながら少しの娯楽を楽しむことができたのだった。
「ささ、始めるわよ?」
「よーし楽しくなってくるなー!」
「あれれー?みなさん私に勝てるって思ってるの?」
私たちはトランプで賭けをすることにした。賭けの内容は今回の報酬の山分け金額。6:3:1の割合に割り振って勝負をする。今回はダウトで勝負。この勝負は互いに親睦を深めると共に誰が何を企んでいるかを知るためだ。
ダウトはいかに相手を騙して先に上がるかのゲーム、すなわち私たちの中で1番の嘘つきが誰かを見つけるゲームでもある。A~Kまでを順番ずつ裏返しで出していく、もちろん騙して別のカードを出すのが醍醐味。
「じゃすみれ、シャッフルしてくれる?ジョーカーは使わないから抜いといて。」
「わかりました!」
すみれはカードをシャカシャカとシャッフルしていく。もちろんズルしないように私と周は監視をしていく、やる前に簡単に2人にはルールを説明してあるから盛り上がる一戦になると考えた。
すみれは1枚ずつ順番に配っていく。そして三等分をしたらスタートする。配ったすみれから周、最後に私の順番でぐるぐると回していく。
「じゃあまずは私から!」
注意深く観察をしていく。確かすみれは嘘をつく時は右に目線を向ける。手の指先を少し曲げて。
「A!」
視線は私を向いていた。やはりすみれも殺し屋になった子、そう簡単には見破られないようにする。
「次はおれか、2。」
私は1番周がわからない。しばらく一緒に活動をしているけど藤宮から過去を聞くまでは全くと言っていいほど隙を見せなかった男だから今も何を考えているのかさっぱりだ。
「最後私ね、3。」
「4!」
「5。」
私は舌を少しだけ出した。そして周が見せた一瞬の瞬き2回を見逃さなかった。
「ダウト!」
勢いよく私は叫んだが周はまるでケロッとした顔のまま私を見つめてくる。
「お、いいんだな?」
なんだ、そう聞かれると私の決断が少しだけ揺らいでいく。人は自分の意見が相手と違う時に瞬間的に自分に対して疑問を持ってしまう。そこをつかれたけど私の決意は固かった。なぜなら私の手札に5が3枚もあったからだ。だから確率は高いはず!
「それじゃ見せますね...」
すみれがゆっくりカードをめくる。数字は...9だった。
「なっ!?」
「残念だったなあやめ、ほれw」
ダウトを宣言した人が失敗をすると中央に出したカードを全て手札に加えないといけない。5枚も加えてしまったことでハンデがついた。てか加えて見てみるとAからすでに数字が違うことが発覚した。すみれのやつ...
「じゃあ6。」
「7!」
「8。」
さてと、私がこんなやられるようなタマじゃないことを証明する。唇を少し窄めて噛む。
「9!」
「10!」
「J。」
「Q!」
「ダウト!」
しまった、すみれにダウトと言われた。私は咄嗟に誤魔化すセリフを考えて牽制する。
「あら、いいのすみれ?わたしQは2枚あるのよ?」
「はい!ダウトですよ!」
私は静かにまた山札を回収する。すみれは笑いを堪えるのを必死で耐えている。
「なっ、何がおかしいのよ?」
「先輩気づいてないんですか?気づいてないならそのままでw」
「あんたいつから性格悪くなったのよ、そんな子に育てた覚えはないわよ?」
「先輩はお母さんじゃないじゃないですかー?w」
「う、うるさいわねー!///」
楽しいのと同時に少しずつ恥ずかしさが増していく。
「じゃ続きは私からですねー!K!」
「じゃもどってA。」
「2。」
「3!」
ーーーーーー
気づいたら私の手札が山札なみにたくさん揃ってしまった。残りすみれが3枚、周が2枚まで迫ってきた。もう私は1割確定になったが意外とすみれもトランプゲームが得意だとは思わなかった。いや、麦国じゃ普段から賭けの一つとしてポーカーをやっているのかもしれない。
周も相当やりこんでいるような抜け目のなさが見える。普段から何考えているかわからないからこそこういう心理戦は本当に強い。
「さぁすみれ、次はお前の番だぜ?」
「わかってますよ、6。」
「7。」
「8。」
「9!」
「ダウトだな。」
「ほんとてすかー?w」
ニヤニヤしながら周を見つめて目で何かを訴えかけているような見えた。互いが目を見つめてにやけている。
(まだガキとはいえ、ここまでやるとはな。だがおれの予想はほぼ当たっているに違いない。)
(さすがは周さん、ここを突いてくるのは腐っても十将は伊達じゃない感じ。けど私は負けられない、山分け大量にゲットしてみせる!)
私には目でそんな会話を繰り広げているんじゃないかと想像しながら答えを待った。すみれは静かにカードをめくる。9だった。
「残念でしたね?w」
「まぁいいさ。まだ反撃はできる。」
「すみれやるじゃん!あと2枚になっちゃってるよ。」
「えへへ、先輩に褒められるの照れちゃいますよw」
笑ってるすみれはやっぱりかわいいなぁー!てか周の疑りをかいて普通に9を持ってるなんて思わなかったけど。
「じゃあ私ね、10。」
「J!」
「..Q。」
「ダウト!」
周は黙って手札に加えていく。私が山札ほど持っていると言うことは必然的にダウトという回数は増えてくる。これで勝負を泥沼化させていくつもり。
「じゃK!」
「A!」
「ダウト!」
「あれー先輩いいんですかーそんなに簡単にダウトって言っちゃって?w」
ニヤけながら私に言ってくる。さっきは周にまんまと引っかかったことを考えるとここは一度引いてみよう。大丈夫、あと1枚だ。
「やっぱ辞めとく!」
「なんだよwじゃ2。」
「3!」
さぁ、ついに復讐の時だ。すみれごめんなさい。最後の最後でなんだけど、私4は3枚あるんだよな。たぶん周が1枚持っているはず、何食わぬ顔して。だからここで一気に枚数を増やして逆転のチャンスを作る。
「ダウト!」
私はダウトを宣言して勝負に賭ける。さぁ、すみれは一体どうするのか。
「はい!」
すみれはあっさりとカードをめくった。3だった。つまりすみれはダウトを一度も食らわずに上がってみせた。
「やったぁー!これで今回の山分け半分以上ゲットだー!何買おうかな、この間向こうで出た新作の服とかバッグとか買おうかな!?」
喜びを隠さず無邪気にすみれは私たち2人に勝利を見せびらかせた。
「クソ、まさかトランプが得意だとは思わなかったな。これだったらチェスとかで勝負した方がよかったか!」
「チェスだと3人で楽しめないじゃないですかーまぁ先輩の分け前奪えればそれでよかったのでw」
あんた私のことそんな風に思ってたの...
「まぁ3割なら悪くはないか。あやめは...まぁ今回はご縁がなかったってことでw」
「あーあ、なんか一気に帰りたくなったんだけどー」
私は少し不機嫌になりながらもトランプを回収していった。するとすみれは優しい声で呟いた。
「ほんとに、楽しかったな...」
無邪気に楽しんだ子供がほっとした声で言うような声で言うもんだから私も周も振り返ってしまう。確かにずっと大変な思いをしてきていたのはわかるから、こうやって誰かと遊んだりするのが本当に楽しいのだろう。2人は満足気な顔でニヤニヤしている。
「まぁまたやろうぜ、また分け前を賭けにしてな。」
「そうですね!また先輩の分け前をいただいちゃいましょう!」
「あんたたち、次は絶対負けないからな?」
こうして私たちは戦場に向かいながら少しの娯楽を楽しむことができたのだった。
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