異世界、皇子です

晴れのち曇り

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四章、大陸戦乱

機嫌

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「あ、あのー、ミラさん?」

おそるおそるというように、フリートがミラに話しかける。

「……なに」

(そんなドスのきいた声で返事しなくても……)

怖かった、それはもう怖かった。

「明日何処かへ行きま……せん…………か?ごめんなさい……」

思わず謝ってしまった。怖すぎる。

「どうして、謝るの?」

(それはねミラさん、貴女が怖いからだよ)

という風には言えないので、何とか誤魔化そうとする。

「い、いやぁ。やっぱりミラの希望を叶えずに置いていってしまったからね、後悔しているんだよ。

やっぱり私には、ミラが必要だからね」

急にフリートがミラを口説きだした。

「そ、そう…………っ!そんなこと言っても許さない」

(惜しい!あと少しだったんだけどなぁ)

まるで猫である。

「…………殿下が何か失礼な事を考えていたような気がする。

殿下酷い…………」

(間違いでは無いのだが、何か納得がいかないというか、釈然としないというか……)

「とっ取り敢えず!お詫びに何処かに遊びにでも行こう!二人で!」

「殿下、無理矢理に話題を変えましたな」

アードルフが余計なことを言った。

「ええい、アードルフ!お前は喋るな!話がややこしくなる!」

八つ当たり気味にフリートは叫ぶ。

とは言うものの、アードルフの今の一言は要らなかったと思うが。

「それで、どうだろう?一緒に何処かへ行かないか?

…………とは言っても、ウルムの中ぐらいしか行けないけどね。私も此処ウルムを離れる訳には行かないから」

気を取り直し、もう一度ミラをデートに誘った。

「…………ん」

小さくこくり、と頷いてミラは部屋を出た。

その顔は僅かにだが、紅くなっているように見えたのはきっと気のせいでは無いのだろう。
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