44 / 53
四章、大陸戦乱
機嫌
しおりを挟む
「あ、あのー、ミラさん?」
おそるおそるというように、フリートがミラに話しかける。
「……なに」
(そんなドスのきいた声で返事しなくても……)
怖かった、それはもう怖かった。
「明日何処かへ行きま……せん…………か?ごめんなさい……」
思わず謝ってしまった。怖すぎる。
「どうして、謝るの?」
(それはねミラさん、貴女が怖いからだよ)
という風には言えないので、何とか誤魔化そうとする。
「い、いやぁ。やっぱりミラの希望を叶えずに置いていってしまったからね、後悔しているんだよ。
やっぱり私には、ミラが必要だからね」
急にフリートがミラを口説きだした。
「そ、そう…………っ!そんなこと言っても許さない」
(惜しい!あと少しだったんだけどなぁ)
まるで猫である。
「…………殿下が何か失礼な事を考えていたような気がする。
殿下酷い…………」
(間違いでは無いのだが、何か納得がいかないというか、釈然としないというか……)
「とっ取り敢えず!お詫びに何処かに遊びにでも行こう!二人で!」
「殿下、無理矢理に話題を変えましたな」
アードルフが余計なことを言った。
「ええい、アードルフ!お前は喋るな!話がややこしくなる!」
八つ当たり気味にフリートは叫ぶ。
とは言うものの、アードルフの今の一言は要らなかったと思うが。
「それで、どうだろう?一緒に何処かへ行かないか?
…………とは言っても、ウルムの中ぐらいしか行けないけどね。私も此処を離れる訳には行かないから」
気を取り直し、もう一度ミラをデートに誘った。
「…………ん」
小さくこくり、と頷いてミラは部屋を出た。
その顔は僅かにだが、紅くなっているように見えたのはきっと気のせいでは無いのだろう。
おそるおそるというように、フリートがミラに話しかける。
「……なに」
(そんなドスのきいた声で返事しなくても……)
怖かった、それはもう怖かった。
「明日何処かへ行きま……せん…………か?ごめんなさい……」
思わず謝ってしまった。怖すぎる。
「どうして、謝るの?」
(それはねミラさん、貴女が怖いからだよ)
という風には言えないので、何とか誤魔化そうとする。
「い、いやぁ。やっぱりミラの希望を叶えずに置いていってしまったからね、後悔しているんだよ。
やっぱり私には、ミラが必要だからね」
急にフリートがミラを口説きだした。
「そ、そう…………っ!そんなこと言っても許さない」
(惜しい!あと少しだったんだけどなぁ)
まるで猫である。
「…………殿下が何か失礼な事を考えていたような気がする。
殿下酷い…………」
(間違いでは無いのだが、何か納得がいかないというか、釈然としないというか……)
「とっ取り敢えず!お詫びに何処かに遊びにでも行こう!二人で!」
「殿下、無理矢理に話題を変えましたな」
アードルフが余計なことを言った。
「ええい、アードルフ!お前は喋るな!話がややこしくなる!」
八つ当たり気味にフリートは叫ぶ。
とは言うものの、アードルフの今の一言は要らなかったと思うが。
「それで、どうだろう?一緒に何処かへ行かないか?
…………とは言っても、ウルムの中ぐらいしか行けないけどね。私も此処を離れる訳には行かないから」
気を取り直し、もう一度ミラをデートに誘った。
「…………ん」
小さくこくり、と頷いてミラは部屋を出た。
その顔は僅かにだが、紅くなっているように見えたのはきっと気のせいでは無いのだろう。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
断罪される1か月前に前世の記憶が蘇りました。
みちこ
ファンタジー
両親が亡くなり、家の存続と弟を立派に育てることを決意するけど、ストレスとプレッシャーが原因で高熱が出たことが切っ掛けで、自分が前世で好きだった小説の悪役令嬢に転生したと気が付くけど、小説とは色々と違うことに混乱する。
主人公は断罪から逃れることは出来るのか?
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています〜なお、実家はどんどん崩壊しているようです〜
よどら文鳥
恋愛
フィアラの父は、再婚してから新たな妻と子供だけの生活を望んでいたため、フィアラは邪魔者だった。
フィアラは毎日毎日、家事だけではなく父の仕事までも強制的にやらされる毎日である。
だがフィアラが十四歳になったとある日、長く奴隷生活を続けていたデジョレーン子爵邸から抹消される運命になる。
侯爵がフィアラを除名したうえで専属使用人として雇いたいという申し出があったからだ。
金銭面で余裕のないデジョレーン子爵にとってはこのうえない案件であったため、フィアラはゴミのように捨てられた。
父の発言では『侯爵一家は非常に悪名高く、さらに過酷な日々になるだろう』と宣言していたため、フィアラは不安なまま侯爵邸へ向かう。
だが侯爵邸で待っていたのは過酷な毎日ではなくむしろ……。
いっぽう、フィアラのいなくなった子爵邸では大金が入ってきて全員が大喜び。
さっそくこの大金を手にして新たな使用人を雇う。
お金にも困らずのびのびとした生活ができるかと思っていたのだが、現実は……。
元悪役令嬢はオンボロ修道院で余生を過ごす
こうじ
ファンタジー
両親から妹に婚約者を譲れと言われたレスナー・ティアント。彼女は勝手な両親や裏切った婚約者、寝取った妹に嫌気がさし自ら修道院に入る事にした。研修期間を経て彼女は修道院に入る事になったのだが彼女が送られたのは廃墟寸前の修道院でしかも修道女はレスナー一人のみ。しかし、彼女にとっては好都合だった。『誰にも邪魔されずに好きな事が出来る!これって恵まれているんじゃ?』公爵令嬢から修道女になったレスナーののんびり修道院ライフが始まる!
冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる