異世界、皇子です

晴れのち曇り

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三章、帝国内乱

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エレメンヒルデとの戦闘から1週間ほどたった。

あれからというもの、フリートは蜂起の鎮圧へと赴くことも減った。

やはり、エレメンヒルデという少女は彼等の精神的主柱だったのだろう。

蜂起の数も大きさも小さくなってきている。

これは、帝国皇子として喜ばしいことなのだろう。

事実、皇帝陛下から褒美も与えられている。

その中でもフリートの私的な軍を増強することが出来たのはかなり大きいだろう。

しかし、はなにか引っかかっていた。

これで良いのか?そう問われているような気がした。





ーーーこれで良いはずだ。


声が聞こえる。


本当に?

ーーー当たり前だ。私は帝国皇子なのだから、これは当然の思考だ。


なら、


ーーーっ、解らない。


どうして?


ーーー知るものか。


本当は分かっているんじゃ無いの?


ーーー解っているならこうも悩まないさ。


解っているから悩んでいるんじゃ無いの?

その正体が解っているから、悩んでいるんじゃ無いの?


ーーー本当に解らないんだ。

ーーー私はどうしたかったんだ?

ーーー何をしたかったんだ?


でも、あの時はすべき事をしていたじゃ無いか。


ーーーそうだ、あの時はをしていた。

ーーーだけなんだ。

ーーーそれは、本当に私がしたかった事なのだろうか?

ーーーそれが解らないんだ。



でも、帝国は力こそ正義だ。

そう考えると君は正義を成した事になるけど?



ーーーあれが?

ーーーあれが正義?

ーーーあんなものがか?

ーーーだとしたら正義というものは血と鉄と硝煙の匂いがするのか。

ーーー随分な正義もあったものだな。



だがそれが正義だ。

あの時は彼等を殺さなければ、更に多くの人が殺されていただろう。

君は大勢を救ったんだ。

ならそれは、正義だろう?

それ以外に何と表現すれば良い?

君は大勢にとって正しい事をしたんだ。

だから表彰され、讃えられた。

君は功績を打ち立てたんだ。

ほうら、正義じゃあないか。

素直に喜んでいた方が幸せだと思うよ?





ーーーそうだろうか?

ーーー本当に?

ーーー私は正しい事を成せたのだろうか?

ーーー人を殺すことが?

ーーー正しい行動だと本当に言えるのだろうか?

ーーー確かに、あれは私にとってすべき事だったのだろう。

ーーーだが、フリートとしてあの地獄を作り出すことが私のしたかった事なのか?

ーーー違うだろう。

ーーーそうでなければ、こうも悩んだりはしない。



なら、君が間違っているのかい?

それとも、帝国が間違っているのかい?

どっちなんだろうね。






ーーーそう言えば、この声の主は誰なんだろう。
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