25 / 53
三章、帝国内乱
対話
しおりを挟む
「それは当然、この国を正さんがためだ」
黄金の少女は凛と、場に似合わない涼やかな声でフリートの質問に答えた。
「この国を正す、か。君から見て帝国は間違っているという事なのかな?」
この質問が少女を激昂させた。
烈火の如く顔を怒りに染めた。
「当たり前だ!度重なる重税、嘆願書を出そうが貴族に握り潰される!
少しでも支払いが遅れたり、拒否した村は焼かれる!
そして村民は全て奴隷として売られていく!
これのどこが正しい政治だ!只の村娘にさえ解る事が、貴方達には解らないなどとは言わせんぞ!」
それはまさしくその通りであり、現在の帝国の影となっている部分であった。
貴族は自領民に重税を課し、それを一切咎めようとしない皇帝。
これでは民に見放されても仕方がない、というものだろう。
彼等は蜂起するしか無かったのだ。
それしか生きる道などなかったのだ。
だから立ち上がった。
帝国を正す為に。
そして何より、生きる為に。
彼女は、彼女達は帝国に牙を向けたのだ。
「いやぁ、耳が痛いね。全くもってその通りだよ」
フリートは何でもないかのように、当然だとでも言うように呟く。
「…………っ!それが解っているのなら、何故何もしない!?
聞けば貴方は王子と言う話ではないか!
なら、どうにか出来たのではないのか!」
少女は激情を隠そうともせずに吐き出す。
だが、そう上手くは世の中は動いてくれない。
「何とか出来れば良かったのにね、残念ながら私にはその力が無かったんだよ」
フリートはそう反論する。
しかし、少女はその言葉を信じる事が出来なかった。
「嘘だ!貴方は皇子だろう!?」
そう、フリートは皇子だ。
なら、どうにか出来たのではないか?
そう考えるのは極めて普通の考えだ。
そう、普通の市民の世界の考えである。
しかし、王侯貴族の世界ではそうはいかない。
皇位継承権の低い皇子など、上位の貴族には恐れる必要など無いのだ。
つまり、2人の思考の違いは住む世界の違いでもあった
黄金の少女は凛と、場に似合わない涼やかな声でフリートの質問に答えた。
「この国を正す、か。君から見て帝国は間違っているという事なのかな?」
この質問が少女を激昂させた。
烈火の如く顔を怒りに染めた。
「当たり前だ!度重なる重税、嘆願書を出そうが貴族に握り潰される!
少しでも支払いが遅れたり、拒否した村は焼かれる!
そして村民は全て奴隷として売られていく!
これのどこが正しい政治だ!只の村娘にさえ解る事が、貴方達には解らないなどとは言わせんぞ!」
それはまさしくその通りであり、現在の帝国の影となっている部分であった。
貴族は自領民に重税を課し、それを一切咎めようとしない皇帝。
これでは民に見放されても仕方がない、というものだろう。
彼等は蜂起するしか無かったのだ。
それしか生きる道などなかったのだ。
だから立ち上がった。
帝国を正す為に。
そして何より、生きる為に。
彼女は、彼女達は帝国に牙を向けたのだ。
「いやぁ、耳が痛いね。全くもってその通りだよ」
フリートは何でもないかのように、当然だとでも言うように呟く。
「…………っ!それが解っているのなら、何故何もしない!?
聞けば貴方は王子と言う話ではないか!
なら、どうにか出来たのではないのか!」
少女は激情を隠そうともせずに吐き出す。
だが、そう上手くは世の中は動いてくれない。
「何とか出来れば良かったのにね、残念ながら私にはその力が無かったんだよ」
フリートはそう反論する。
しかし、少女はその言葉を信じる事が出来なかった。
「嘘だ!貴方は皇子だろう!?」
そう、フリートは皇子だ。
なら、どうにか出来たのではないか?
そう考えるのは極めて普通の考えだ。
そう、普通の市民の世界の考えである。
しかし、王侯貴族の世界ではそうはいかない。
皇位継承権の低い皇子など、上位の貴族には恐れる必要など無いのだ。
つまり、2人の思考の違いは住む世界の違いでもあった
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
異世界母さん〜母は最強(つよし)!肝っ玉母さんの異世界で世直し無双する〜
トンコツマンビックボディ
ファンタジー
馬場香澄49歳 専業主婦
ある日、香澄は買い物をしようと町まで出向いたんだが
突然現れた暴走トラック(高齢者ドライバー)から子供を助けようとして
子供の身代わりに車にはねられてしまう
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる