異世界、皇子です

晴れのち曇り

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三章、帝国内乱

対話

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「それは当然、この国を正さんがためだ」

黄金の少女は凛と、場に似合わない涼やかな声でフリートの質問に答えた。

「この国を正す、か。君から見て帝国は間違っているという事なのかな?」

この質問が少女を激昂させた。
烈火の如く顔を怒りに染めた。

「当たり前だ!度重なる重税、嘆願書を出そうが貴族に握り潰される!
少しでも支払いが遅れたり、拒否した村は焼かれる!
そして村民は全て奴隷として売られていく!

これのどこが正しい政治だ!只の村娘にさえ解る事が、貴方達には解らないなどとは言わせんぞ!」

それはまさしくその通りであり、現在の帝国の影となっている部分であった。

貴族は自領民に重税を課し、それを一切咎めようとしない皇帝。

これでは民に見放されても仕方がない、というものだろう。

彼等は蜂起するしか無かったのだ。

それしか生きる道などなかったのだ。

だから立ち上がった。

帝国を正す為に。

そして何より、生きる為に。

彼女は、彼女達は帝国に牙を向けたのだ。





「いやぁ、耳が痛いね。全くもってその通りだよ」

フリートは何でもないかのように、当然だとでも言うように呟く。

「…………っ!それが解っているのなら、何故何もしない!?
聞けば貴方は王子と言う話ではないか!
なら、どうにか出来たのではないのか!」

少女は激情を隠そうともせずに吐き出す。

だが、そう上手くは世の中は動いてくれない。

「何とか出来れば良かったのにね、残念ながら私にはその力が無かったんだよ」

フリートはそう反論する。
しかし、少女はその言葉を信じる事が出来なかった。

「嘘だ!貴方は皇子だろう!?」

そう、フリートは皇子だ。
なら、どうにか出来たのではないか?
そう考えるのは極めて普通の考えだ。

そう、普通のの世界の考えである。

しかし、王侯貴族の世界ではそうはいかない。

皇位継承権の低い皇子など、上位の貴族には恐れる必要など無いのだ。

つまり、2人の思考の違いは住む世界の違いでもあった
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