氷結セシ我ガ世界

晴れのち曇り

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一章

第三十三話

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「これは……凄まじいな」

 その杖が発するプレッシャーに知らず知らずのうちに圭は震えていた。

「流石に分かるか……こいつは龍杖、ていうものだ。」

「龍杖……?」

 龍杖とは簡単に言えばそのものだ。
 かの古龍が何らかの原因で杖の形となったものである。
 現状でも三つの龍杖が確認されている。
 圭の眼の前にあるそれも三つの内の一つである。
 それらの杖にはそれぞれに自我があると言われている。
 そして、プライドの高さと恩恵の多さが龍を彷彿とさせる。
 だが、龍杖の使用者は極端に少ないと言われている。
 何故か、それは龍杖自身が使用者を選ぶからである。
 のお眼鏡に叶った魔法使いはこの千年で二十人にも満たない。
とは言うものの現在の使用者は二人が揃っているのだが、これはかなり珍しいと言える。
普通なら一人存在すれば良い方で、一人もいないという方が多いくらいだ。

 何故そのようなものがこの店にあるのかは分からないが、杖が発する雰囲気から本物だ。というのがイルヴァの言である。

「こいつは正真正銘の化物だ。所有者が気に食わなければ

「喰らい尽くす……?」

「そうだ、文字通り喰われちまうんだよ。まあ、そんなんだから正直なところこいつを持て余していたところだ。龍杖を金で取引しようものなら暴れ始めるしな」

 そう言って店主は深くため息をついた。
 確かにそんな面倒なものなら手離したいと思うのが当然だろう。

「だから、もし坊主が所有者になったらそれは無料でくれてやるよ」

 どうにも投げやりになっているように思えるが強力な武器が使えるというのであれば、圭としては魅力的である。
 だが、やはりというのが気になる。

 なので、そのあたりに詳しそうなに聞くことにした。

「イルヴァ、あれ龍杖って俺が使おうとしても大丈夫だと思うか?」

 イルヴァなら何か分かるのでは?と思い彼女を連れて店主が二人の会話が聞こえない場所まで移動してから圭は聞いた。

 イルヴァは一つ考えた後頷いて言った。

「ふむ……問題ないだろうな。同じ古龍だから分かる。圭よ、お前は扱える人間だ」

 イルヴァは確信を感じさせる瞳で圭を見つめそう断言した。

「…………分かった」

 そう呟いて圭は龍杖を掴むべく近づいて行った。
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