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一章
第二話
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見渡す限り白。
白銀の世界。
弱者が生きるのを許さぬ大地。
そこに1人の少年が立っている。
彼は強者である。
本人にその自覚は無いが。
世界を揺るがす力を与えられた者である。
「さて、これからどうしようか……」
右を向いても左を向いても銀世界。
眼に見える所に家屋などは無く、勿論人がいた痕跡など皆無だ。
当てもなく彷徨っても野垂れ死ぬだけだろう。
しかし、このままこの場に留まっていても凍え死ぬ。
ーーー賭けになるか。
圭は歩き始めた。
当てはあるのか?
ーーー当然、当てなど無い。
考えあってのことか?
ーーー当然、考えなど無い。
では何故進むのか?
ーーー進まなければ死ぬ。ここに居ても死ぬだけだというのなら、せめて全力で抗ってから死んでやる。
ーーーそれに何とかなる気がする。根拠は無いが。
「氷刃よ『アイスエッジ』」
三日月型の氷の刃が雪面を駆ける。
体長が3メートルはゆうにある熊の左腕を切断した。
「グオオオオオオオオ!!!」
地の底から響くような叫び声を辺りに響かせる。
「ガアアアアアアアア!!!」
片腕を失った怒りからか、身体から煙が上がり、圭を押し潰さんとする程のプレッシャーを放ち出した。
「……一撃で仕留められなかったのは痛かったか」
それなりに整った顔を少し歪める。
降ってきた魔法の知識から有効な術を検索し、発動する。
右腕を正面に掲げ詠唱する。
「貫け『アイスジャベリン』」
狼を貫いたものと同じ氷の槍で熊の胸を狙う。
寸分違わず胸を貫き生命の灯火を凍りつかせた。
断末魔を上げる間も無く崩れ落ちた熊に目線を向けることなく歩き出した。
「…………こんなものか」
ボソリと呟く。
「これで5匹目か」
そう、これまでに5匹の動物を出会っていた。
そして全ての動物が好戦的であり、襲いかかってきた。
「何となく疲れにくくなってきたか?ひょっとしたらレベルとかステータスがあるのかもな。
……と言ってもそれを確認する手段が無いんじゃ考える意味が無いな」
しかし、確実に成長しているのが感じられる。
それが技術によるものか、所謂ステータスと呼ばれるものの上昇によるものかは分からないが。
随分と歩いた気がする。
「……?あれは…………」
圭の眼に何かが写り込んで来た。
同時にこれまで一度も感知していなかった生物の反応を捉えた。
ーーーまさか、いるのか?
それはこの世界では一度も感知出来ず、しかし地球では幾度と無く眼にしたものであった。
「人……なのか?」
思わず、といった風に呟いた。
「本当にいたのか?」
その声に応えるかのように門から人が出て来た。
「着いた……」
ーーーああ、
「本当にあったのか」
ーーーああ、
「あそこに人が住んでいるのか」
ーーー救われた。
「この世界に1人、と言うわけでは無かったのか……」
圭の瞳から涙が出て来た。
「あれ……?」
止まらない。
「可笑しいな……?」
止まらない。
「どうして……?」
安堵した。
「……行くか」
目的地は決まった。
圭は一歩踏み出す。
その足取りはとても軽やかだった。
白銀の世界。
弱者が生きるのを許さぬ大地。
そこに1人の少年が立っている。
彼は強者である。
本人にその自覚は無いが。
世界を揺るがす力を与えられた者である。
「さて、これからどうしようか……」
右を向いても左を向いても銀世界。
眼に見える所に家屋などは無く、勿論人がいた痕跡など皆無だ。
当てもなく彷徨っても野垂れ死ぬだけだろう。
しかし、このままこの場に留まっていても凍え死ぬ。
ーーー賭けになるか。
圭は歩き始めた。
当てはあるのか?
ーーー当然、当てなど無い。
考えあってのことか?
ーーー当然、考えなど無い。
では何故進むのか?
ーーー進まなければ死ぬ。ここに居ても死ぬだけだというのなら、せめて全力で抗ってから死んでやる。
ーーーそれに何とかなる気がする。根拠は無いが。
「氷刃よ『アイスエッジ』」
三日月型の氷の刃が雪面を駆ける。
体長が3メートルはゆうにある熊の左腕を切断した。
「グオオオオオオオオ!!!」
地の底から響くような叫び声を辺りに響かせる。
「ガアアアアアアアア!!!」
片腕を失った怒りからか、身体から煙が上がり、圭を押し潰さんとする程のプレッシャーを放ち出した。
「……一撃で仕留められなかったのは痛かったか」
それなりに整った顔を少し歪める。
降ってきた魔法の知識から有効な術を検索し、発動する。
右腕を正面に掲げ詠唱する。
「貫け『アイスジャベリン』」
狼を貫いたものと同じ氷の槍で熊の胸を狙う。
寸分違わず胸を貫き生命の灯火を凍りつかせた。
断末魔を上げる間も無く崩れ落ちた熊に目線を向けることなく歩き出した。
「…………こんなものか」
ボソリと呟く。
「これで5匹目か」
そう、これまでに5匹の動物を出会っていた。
そして全ての動物が好戦的であり、襲いかかってきた。
「何となく疲れにくくなってきたか?ひょっとしたらレベルとかステータスがあるのかもな。
……と言ってもそれを確認する手段が無いんじゃ考える意味が無いな」
しかし、確実に成長しているのが感じられる。
それが技術によるものか、所謂ステータスと呼ばれるものの上昇によるものかは分からないが。
随分と歩いた気がする。
「……?あれは…………」
圭の眼に何かが写り込んで来た。
同時にこれまで一度も感知していなかった生物の反応を捉えた。
ーーーまさか、いるのか?
それはこの世界では一度も感知出来ず、しかし地球では幾度と無く眼にしたものであった。
「人……なのか?」
思わず、といった風に呟いた。
「本当にいたのか?」
その声に応えるかのように門から人が出て来た。
「着いた……」
ーーーああ、
「本当にあったのか」
ーーーああ、
「あそこに人が住んでいるのか」
ーーー救われた。
「この世界に1人、と言うわけでは無かったのか……」
圭の瞳から涙が出て来た。
「あれ……?」
止まらない。
「可笑しいな……?」
止まらない。
「どうして……?」
安堵した。
「……行くか」
目的地は決まった。
圭は一歩踏み出す。
その足取りはとても軽やかだった。
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