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第57話 帰って来ない2人

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 男は少し通りを歩くと裏道に入る。アウレールとクリスタは後をついて行く。裏道は汚く人通りが無い。アウレールは不審に思い男に言う。
 「どこに連れていくつもりだ。」「いいところだよ。」
彼はクリスタの手を掴み、表通りに戻ろうと振り返る。すると人相の悪い男3人が道を塞いでいる。
 「ここはもう通れないぜ。」
彼は男を睨みつけて言う。
 「だましたな。」「いいや、本当のことだよ。子供だけで街に出したりしないんだよ。俺たちみたいなのがいるからな。」
男は笑いながら答える。さらに3人男が反対側から来る。クリスタがアウレールに言う。
 「どうする。」「人数が多すぎるよ。」
 「余計なこと考えるなよ。」「大切な商品だからな。」
幌付きのトラックが走ってくる。2人は男たちにトラックの荷台に乗せられると後ろ手に縛られ、布袋を頭からかぶせられる。
 アウレールたちを乗せたトラックは街の中を走る。
 午前の外出時間が終わったセレーネにアウレールとクリスタの服が届けられる。団員が2人が帰っていないことに気づく。このことはブルーノに伝わる。
 「あいつら何やっているんだ。」「これは失敗したかもしれません。」
クルトが言うとブルーノが尋ねる。
 「失敗てどういうことだ。」「私たちは、彼らを大人扱いしてますが、まだ14歳の子供です。ポートダグラスの治安は良いとは言えません。攫われたかもしれません。」
 「まずいな。すぐに警察に連絡して、動けるもので探すぞ。」「急ぎましょう。」
団員が装甲車に乗って町へ出ていく。ブルーノは基地の電話を借りて警察に電話する。
 「子供が2人帰って来ない。探してほしい。」「子供だけで外出させたのですか。それは出てきませんよ。」
 「どういうことだ。」「この街の裏では子供は商品として扱われます。攫われた後では探しようがありません。」
ブルーノは、寒気を覚える。2人は自分を兄のように慕ってくれている。彼らの両親からも信用があればこそ預けられている。自分のミスで全てを失おうとしている。
 何より彼らは大切な弟分である。ブルーノは走り出そうとして、クルトに止められる。
 「ブルーノ、あなたは団長です。セレーネで報告を待ってください。」「しかし、2人が・・・」
 「私が動きます。必ず連れて戻ります。」「ああ、頼む。」
ブルーノはうなだれる。クルトはこんなに落ち込む彼を初めて見る。
 団員たちは街の各所で装甲車を降りて探し始める。
 クルトは裏道を中心に道路の端に座り込んでいる者に声をかけていく。
 そして、アウレールとクリスタを見た者を見つける。クルトは金を渡して質問する。
 「彼らを誰が攫いましたか?」「2番街を徘徊するチンピラだよ。」
 「そいつらのことを教えてください。」「・・・」
クルトはさらに金を渡す。
 「連中は、恐喝から人身売買までなんでもする。チーム・カラスと名乗っているよ。」「カラスのたまり場を教えてください。」
クルトはさらに金を渡す。
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