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第12話 住民の避難

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 クルト大尉は、装甲車5両と自走砲3両でエリア29へ向かう。軍用車はもっと数を出せたが刺激しないため数を絞り、軍用ヘリも待機させている。
 彼はエリア29の入り口から200メートル位離れたところに軍を止める。
 見張りから連絡を受けたブルーノは装甲車に乗り入口へ急ぐ。
 午前の授業中だったアウレールは、知らせを受けて広場にあるワルカの元に走って行く。
 クリスタは黙って自警団の事務所へ行く。他の子供たちは授業が中止になり家へ帰って行く。
 ブルーノは入り口に着くと独り言を言う。
 「遅いじゃないか。もう来ないかと思っていたぜ。」
しかし、彼は軍の数が少ないと感じる。見くびられているのだろうか。
 クルト大尉は、兵を2人連れて入り口に向かって歩いていく。ブルーノは、それに応じるようにエリアの入り口に立つ。クルト大尉は、ブルーノの前に立つ。彼はブルーノに言う。
 「私は戦闘を望んでいない。今から住民と一緒に避難してくれ。」「どういうつもりだ。」
 「ダーグ司令は、私にエリア29の皆殺しを命じた。」「なっ、・・・」
 「だが、私にそのつもりはない。だから逃げてくれ。」「あんたはどうするんだ。」
 「無人のエリア29を攻撃する。」「俺たちに故郷を捨てろというのか。」
 「1時間待つ。避難を開始しない場合には攻撃を始める。」「俺たちは戦うぞ。」
そこへエリア長のユリウスが来る。ブルーノはクルト大尉が言ったことを話す。クルト大尉は兵を引き連れて戻って行く。
 ユリウスは、住民に避難指示を出す。住民は戦闘が終われば家に戻れるとの言葉に大きな荷物は持たずにエリアを出る。
 クリスタの父親クラウスが、家に戻ってこないクリスタを探す。そして、クラウスは自警団の事務所でクリスタを見つける。
 「クリスタ、何をしているんだ。逃げるぞ。」「お父さん、嫌よ。アウレールは、これから戦うのよ。」
 「アウレールは自警団に入ったんだ。お前とは違う。」「私、ここにいるから。」
 「ここで何ができる。」
クラウスは強引にクリスタを連れていく。アウレールはワルカをエリアの入り口に移動させる。装備は盾に斧である。
 クルト大尉はワルカを見て言う。
 「あれが人型か。ガントより細身だな。あれで戦うのか、ライフルは無いらしい。」
彼は、ワルカの持つ斧のようなものを見て言う。彼は住民がエリアから離れるまで2時間ほど待つ。
 彼は指示を出す。
 「自警団の頼みの綱は人型だ。まずはあれをたたいて戦意を喪失させるぞ。」
装甲車から携帯ロケットランチャーを持った兵たちが降りてくる。そして、3両の自走砲はワルカに狙いを定める。
 アウレールは兵たちの持っている筒がこちらを向いていることに気づく。
 ブルーノが無線でアウレールに指示を出す。
 「ロケット砲と自走砲がワルカを狙っている。防御スクリーンを張れ。」「はい。」
アウレールは防御スクリーンを展開する。そこへロケット弾と砲弾が襲って来る。
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