勇者がアレなので小悪党なおじさんが女に転生されられました

ぽとりひょん

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第9章 魔王ミーム

第19話 ナツキ、正気に戻る

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 俺は炎の渦に巻き込まれるが、ウインドシールドに守られていた。アネットがとっさに3重のウインドシールドを張ってくれたのだ。そうでなければ、今頃骨まで焼かれていただろう。
 クレイウォールで炎の渦を防ぐ、その瞬間だけでウインドシールドが2枚破壊される。炎の渦はかなり威力があるようだ。
 ローズがミームにファイヤーサイクロンを打ち込む。ミームは防ぎもしない。ファイヤーサイクロンは確かにミームを飲み込んだがミームは平然と立っている。
 おそらく魔力が大きいので体を覆っている魔力だけで防いだのだ。
 アニタがナツキの剣の打ち込みを受け流して、懐に入ると左こぶしをナツキの腹に打ち込む。ナツキは体をくの字に折って苦しむ。
 「アニエス様、今です。」
俺は、ミームに狙われることを承知でナツキに向かって走る。ミームは再び炎の渦を俺に向かって撃ち出す。カスパーがクレイウォール使って炎の渦を止めようとする。
 炎の渦は土壁を溶かし始める。アネットが俺とナツキの周りにウインドシールドを4重に張る。
 「これ以上は無理よ。」
アネットが俺に声をかける。ローズは注意をそらすため、ミームにファイヤーサイクロンを打ち込むが、ミームは見向きもしない。俺の手がナツキに届く。
 ナツキはサンダーボルトで感電する。俺はすぐにクレイウォールを作りだす。炎の渦は4枚のウインドシールドを破壊してクレイウォールに当たる。
 作った土壁が溶け始める。溶鉱炉の近くにでもいるように熱い。俺はクレイウォールを発現させて土壁を厚くする。そしてミームにファイヤーサイクロンを打ち込む。
 するとミームは手をかざして俺のファイヤーサイクロンを防御する。威力ならローズのファイヤーサイクロンの方が上なのだが、俺のファイヤーサイクロンは防いだのだ。
 ミームは俺の魔法を警戒しているらしい。俺は倒れているナツキにけりを入れる。ナツキには復活してもらわなければならないのだ。
 「ひどいよ。アニエスちゃん、何で蹴るんだ。」「腑抜けているからよ。ミームを退治するんでしょ。」
 「分かっているよ。切ればいいのだろう。」「復活したわね。アニタ、ナツキと協力してミームを切って。」「面白くありませんが、仕方ありません。」
カロリーネはナツキが元に戻ってホッとする。
 アスモダイたち3人の魔族は、魔法士のエック、エマ、ヨーゼフとアヒムたちとの巧みな連携に悩まされる。アスモダイは2人の魔族に指示する。
 「魔法士を先に叩くぞ。」「俺に命令するな。」
 「このままでは勝てないぞ。ミーム様の前で醜態をさらしたいのか。」「分かったよ。魔法士を狙えばいいんだな。」
これまでばらばらだった魔族たちが連携を取り始める。
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