勇者がアレなので小悪党なおじさんが女に転生されられました

ぽとりひょん

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第8章 魔獣を操る者

第9話 カロリーネ、荒野へ行く

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 カロリーネは、俺とアニタを呼ぶ。
 「来てもらったのは、ドラゴン退治をするためです。」「ドラゴンはいるとは決まっていないはずですが・・・」
 「いたほうがいろいろと説明がつくでしょ。」「何か楽しんではいませんか。」
 「そのようなことはありません。」「私たちがドラゴンを探しに行けばよいのですね。」
 「私とナツキ様も一緒です。馬車の御者にはカスパー様をお願いしています。」「もしかしてご自身がおとりになるのですか。」
 「大丈夫です。最強の布陣ですから。」
確かにナツキとアニタの剣士と俺とカスパーの魔法士がいる。おそらく国内最強のパーティーに入るだろう。
 「出発はいつですか。」「もう準備はできています。今から行きますよ。」
俺とアニタは心の準備ができていない。そのようなことは関係なく、馬車に乗せられて王都を出発する。誰が見てもドラゴンなんて捕まるわけがないと考えるだろう。
 しかし、カロリーネは馬車の中でナツキといちゃつき、楽しそうにしている。ナツキは俺とアニタにちょっかいを出さずカロリーネの相手をしている。
 馬車は荒野に差し掛かる。カスパーが俺たちに声をかける。
 「そろそろ荒野だ。心の準備をしておいてくれ。」「分かりました。」
俺は答えながら何も起きないのではないかと思う。カロリーネは期待に目を輝かせている。彼女は間違いなく楽しみでやっているにちがいない。
 荒野は夕暮れ前には通りぬける。結局、何も起きなかったのだ。これから夜営をして、明日王都に帰ることになる。カロリーネが残念そうに言う。
 「ドラゴン、出ませんでしたわ。いないのかしら。」「まだ、1度通っただけです。根気よく続けないとわかりませんわ。」
 「根気よくですか。難しいですわ。」
カロリーネには女王の仕事がある。こんなことを続けるわけにはいかないだろう。翌朝、俺たちは王都に向けて荒野の中、馬車を走らせる。
 馬車には巨大な影が接近してきたが、まだ誰も気づいていない。
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