勇者がアレなので小悪党なおじさんが女に転生されられました

第8章 魔獣を操る者

第6話 荒野の事件

　王都への流通量は３カ月かけて、リチャード王の時よりも多くなる。これはカロリーネの政策がうまくいっている証拠である。
　王都へのルートが変更されてから２件商人が行方不明になっているが旅の途中の遭難の危険は付いて回っており、２件とも荒野で道を間違えて遭難したと考えられている。
　つまり、商人が行方不明になる２件の事件は調査されずに遭難したものとして処理されている。
　情報省からは、魔王ミームの情報は無く。７大魔族の残りの１人、魔獣王アギトについても情報は無い。
　さらに情報省はシルバーグリズリーの件について発生源、群れの行動理由についても結論を出せずにいる。
　荒野を乗り合いの馬車が走っている。馬車は明日の昼には王都に着く予定である。その馬車を大きな影が覆う。御者は雲がかかったのだと思い異変に気付かない。
　馬車は馬ごと巨大な爪に掴まれて空中に連れ去られる。翌日の午後、王都では、定期便の乗り合い馬車が到着せず。馬車を待っていた人々が夕方まで待たされて悪態をつく。
　翌日になっても馬車は来ない。街では騒ぎになる。定期便の馬車が行方不明になったのである。個人の商人が行方不明になったこととはわけが違う。
　１週間後、別の乗り合い馬車が到着して、乗り合い馬車が行方不明になったことが決定的になる。情報は商人ギルドから情報省に入る。
　情報省の職員は荒野の調査に乗り出す。しかし、何の情報も得られずに３週間が過ぎる。情報省は調査の打ち切りを考える。
　すると商人の馬車が行方不明になる事件が発生する。情報省はさらに３週間荒野の調査を続けることにする。
　さらにカロリーネ女王から情報省に命が下る。
　「荒野の行方不明事件は民を不安に陥れています。早期の原因究明を望みます。」
これによって荒野の調査をする職員の数が倍になる。さらに調査期間は無期限に近くなる。情報省の職員は何としても原因を見つけなければならなくなる。