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第7章 王都への帰還
第5話 アルテンブルク夫妻
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門に使用人が出迎えに来て俺たちを案内する。玄関を入ると玄関ホールにツェザールとアマーリアと思われる男女がいる。カロリーネが前に出ると2人は片膝をつく。
「カロリーネ様、ツェザール・フォン・アルテンブルクです。お初にお目にかかります。」「妻のアマーリア・フォン・アルテンブルクです。よろしくお願いします。」
「カロリーネ・ド・エマールです。急な来訪ご迷惑を掛けます。」「当家にどのようなご用件でしょうか。」
「私は、人身売買をしていた国王を排斥しようとしていることはご存じでしょうか。」「うわさが当家まで届いています。」
「今は、ボドリヤール伯爵領を足掛かりにして力をためています。」「ボドリヤール伯爵領ですか。」
「ツェザール様は若いころリュシー様と仲が良かったと聞きます。」「む、昔のことです。」
アマーリアがツェザールを睨みつけ、彼は汗を流し始める。
「今日はリュシー様の代理に娘のアニエス様を連れて来ています。」「あのアニエス様ですか。結婚式を壊したと耳にしています。」
「アニエス・ド・ボドリヤールです。ツェザール様のお力を頼りにしているのです。」「可憐な、天使と言われるだけありますな。」
ツェザールは思わず口にする。リュシーにどこか似ていて輪をかけて美しくしたアニエスに心を撃ち抜かれたのだ。もちろんチャームの影響が大きい。
「分かりました。全面的に・・・」「あなた、はなの下が伸びていますよ。」
アマーリアが怖い声で言い、待ったをかける。ツェザールは青くなる。妻が怖いのだ。
「はなと言えば、お屋敷の花はずいぶんきれいですわ。さぞかし魅力的な女性が手を入れているのでしょう。」
カロリーネの言葉にツェザールは血の気が引いていく。彼はカロリーネに花屋の娘との関係をばらすと脅されたのだ。
「花は男性の花屋が手入れをしています。きれいだからと言って女性とは限りませんわ。」
言葉の意味に気がつかないアマーリアがカロリーネの言葉を訂正する。
「私は、カロリーネ様の味方に付くつもりだ。ボドリヤール伯爵の力になると誓おう。」
「ありがとうございます。アニエスはツェザール様に感謝します。おじさまと呼んでよろしいですか。」「ああ、構わないよ。」
「おじさま。うれしいです。」「ボドリヤールの領地のことは心配しなくてよいからね。」
ツェザールの顔が緩む。アマーリアは面白くない。カロリーネは目的を達成したが続ける。
「ボドリヤールから来たといったら通行料を1人つき銅貨10枚でした。高くはないですか。」「それは・・・」
「銅貨10枚ですか、通行料は銅貨5枚だったはずです。あなたこれはどういうことですか。」「恋敵に嫌がらせをしていたんだ。」
「あなたには私がいるではないですか、反省してください。」「アマーリアいう通りだ。反省するよ。」
カロリーネはアマーリアの苛立ちをうやむやにする。俺はアマーリアに恨まれずに済みそうである。
そしてカロリーネは用件が済むとすぐにボドリヤール伯爵領に出発する。彼女は一刻でも早くナツキの元へ行きたいのだ。
「カロリーネ様、ツェザール・フォン・アルテンブルクです。お初にお目にかかります。」「妻のアマーリア・フォン・アルテンブルクです。よろしくお願いします。」
「カロリーネ・ド・エマールです。急な来訪ご迷惑を掛けます。」「当家にどのようなご用件でしょうか。」
「私は、人身売買をしていた国王を排斥しようとしていることはご存じでしょうか。」「うわさが当家まで届いています。」
「今は、ボドリヤール伯爵領を足掛かりにして力をためています。」「ボドリヤール伯爵領ですか。」
「ツェザール様は若いころリュシー様と仲が良かったと聞きます。」「む、昔のことです。」
アマーリアがツェザールを睨みつけ、彼は汗を流し始める。
「今日はリュシー様の代理に娘のアニエス様を連れて来ています。」「あのアニエス様ですか。結婚式を壊したと耳にしています。」
「アニエス・ド・ボドリヤールです。ツェザール様のお力を頼りにしているのです。」「可憐な、天使と言われるだけありますな。」
ツェザールは思わず口にする。リュシーにどこか似ていて輪をかけて美しくしたアニエスに心を撃ち抜かれたのだ。もちろんチャームの影響が大きい。
「分かりました。全面的に・・・」「あなた、はなの下が伸びていますよ。」
アマーリアが怖い声で言い、待ったをかける。ツェザールは青くなる。妻が怖いのだ。
「はなと言えば、お屋敷の花はずいぶんきれいですわ。さぞかし魅力的な女性が手を入れているのでしょう。」
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「花は男性の花屋が手入れをしています。きれいだからと言って女性とは限りませんわ。」
言葉の意味に気がつかないアマーリアがカロリーネの言葉を訂正する。
「私は、カロリーネ様の味方に付くつもりだ。ボドリヤール伯爵の力になると誓おう。」
「ありがとうございます。アニエスはツェザール様に感謝します。おじさまと呼んでよろしいですか。」「ああ、構わないよ。」
「おじさま。うれしいです。」「ボドリヤールの領地のことは心配しなくてよいからね。」
ツェザールの顔が緩む。アマーリアは面白くない。カロリーネは目的を達成したが続ける。
「ボドリヤールから来たといったら通行料を1人つき銅貨10枚でした。高くはないですか。」「それは・・・」
「銅貨10枚ですか、通行料は銅貨5枚だったはずです。あなたこれはどういうことですか。」「恋敵に嫌がらせをしていたんだ。」
「あなたには私がいるではないですか、反省してください。」「アマーリアいう通りだ。反省するよ。」
カロリーネはアマーリアの苛立ちをうやむやにする。俺はアマーリアに恨まれずに済みそうである。
そしてカロリーネは用件が済むとすぐにボドリヤール伯爵領に出発する。彼女は一刻でも早くナツキの元へ行きたいのだ。
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