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第5章 勇者一行

第26話 ナツキ、追い込まれる

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 国王とカロリーネ王女が拍手で迎えられるとナツキは進み出て片膝をついてカロリーネに言う。
 「勇者をしているナツキと申します。王女様と会えて幸せです。」「カロリーネ・ド・エマールです。魔法省には美しい花々が咲き乱れていて、私などかすんでしまうでしょう。」
 「そのようなことはございません。カロリーネ様はお美しい。」「勇者様はおもてになるでしょ。お付き合いしている人はいないのですか。」
 「いません。」「本当に?お付き合いの約束もしていないのですか。」
 「ロートリンゲン伯爵の使用人の女の子5人と付き合う約束をしています。」「そうですか。」
カロリーネは顔色を変えることなくパンパンと手を叩く。彼女の横に執事が突然現れる。彼女は執事に言う。
 「話は分かっていますね。」「はい、ロートリンゲン伯爵には手を打っておきます。」
カロリーネは笑顔になって言う。
 「ナツキ様、使用人の女の子のことは忘れてください。」「えっ、そんな。」
 「私がいます。他の女のことは忘れてください。」「・・・・・」
ナツキはこの世の終わりに様な顔をして黙り込む。カロリーネはさらに追撃する。
 「デートをしたお相手はいますか。」「いません。デートなんかしたこともありません。」
ナツキはうそを言う。このままでは他の女の子と遊べなくなる。再び執事が現れてカロリーネに耳打ちをする。
 「ナツキ様、アニエス様とデートしたそうですね。」「いやそれは・・・」
 「大丈夫です。アニエス様はナツキ様を諦めて、私たちを祝福してくれますわ。」「アニエスちゃんをとらないで。」
ナツキは泣きそうになる。執事は「分かりました」とやることリストに加える。さらに執事はカロリーネに耳打ちをする。
 「ナツキ様は23人の町娘とデートして夜を共にしたそうですね。」「う~わ~あぁぁ・・・」
ナツキはうめくと崩れて膝をつく。
 「大丈夫ですわ。すべて処理しますから。」
ナツキは泣き出す。カロリーネはナツキの天敵だった。様子を見ていた王様がカロリーネに聞く。
 「どうだ、勇者様とうまくやれそうか。」「はい、勇者様は、私の配慮に感激の涙を流していますわ。」
 「それは良かった。式はいつにしよう。」「勇者様が魔王を倒した後が良いですが、早く式を挙げたいです。」
 「そうか。そうか。勇者殿はどうかな。」「何のことですか。」
 「結婚式のことだ。半月後でどうかな。」「お父様、うれしいですわ。」
結婚、この女と・・・。ナツキは俺に対して助けを求める目で見る。俺は目をそらす。ナツキに自由はなくなるが相手は王族である。何ともし難い。
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