勇者がアレなので小悪党なおじさんが女に転生されられました

第4章 宮廷魔法士

第32話 アニタの参戦

　１０日間でアヒムはナツキに追い込まれる。ナツキは日々成長を続けてアヒムの打ち込みに対応するようになった。このままでは数日中にアヒムはナツキに負けるかもしれない。
　アヒムはアニタに話をする。
　「アニタ、この前アニエス様と話をしていたんだが、勇者が俺と剣の腕が変わらなくなった来たんだ。」「まさか、アニエス様にデートをさせるつもりではないですね。」
　「そのつもりはない。だが、数日で俺は勇者に負けるかもしれない。」「どうするんですか。」
　「そのことはアニエス様に話している。アニエス様は君に勇者を叩きのめしてもらうと話していたんだ。」「アヒムさんが負ける前に勇者を叩きのめせば良いのですね。」
　「ああ、卑怯かもしれない。頼めるか。」「私はアニエス様に近づこうとする勇者が嫌いです。引き受けましょう。」
アニタはアニエスとのデートを公言している勇者ナツキが嫌いだった。彼女はナツキを徹底的につぶすつもりだった。
　訓練所でナツキはいつものようにベルンたち４人に勝つ。
　「アヒムさん、今日こそ勝ちますよ。待っててアニエスちゃん。」「今日は俺とやる前にお前と戦いたいと言う者がいる。まずはそいつと戦ってもらうぞ。」
　「誰ですか。俺の邪魔をするのは。」
アニタが訓練所に入って来る。
　「私です。勇者として未熟だと言うことを叩き込んであげます。」「アニタちゃん。僕の相手をしてくれるの。なら、デートに行かないかい。」
　「軽薄ですね。死んでも恨まないでくださいよ。」「アニタちゃん、本気なの。」
ナツキが言うとアニタは白い影になり、ナツキの前に姿を現す。同時にナツキはくの字になって後ろに飛んでいく。アニタが腹に突きを入れたのだ。
　再びアニタは白い影になる。そして飛んでいたナツキが床にたたきつけられる。アニタがナツキの頭を木剣で殴りつけたのだ。
　床に倒れたナツキは白目をむき、胃液を吐いて、頭からは血を流している。ヒーラーのディルクが駆け付ける。
　アヒムはアニタの次元の違う強さに驚く。白い悪魔と呼ばれるアニタは国内最強の剣士の１人に数えられている。
　「今日は、これで終わりですね。」「ああ。」
アニタは表情も変えず帰って行く。