勇者がアレなので小悪党なおじさんが女に転生されられました

第4章 宮廷魔法士

第22話 ラミアとの対決

　ラミアの液化を防ぐ手立てを思いつかないため、最初から全力で戦うしかない。俺は魔力を開放して、ラミアの周りにファイヤーボールを作る。
　ラミアは突然、強大な魔力を感じる。敵の中で４番目の魔力量の大きさを感じていた少女だ。彼女の魔力が突然膨れ上がったのである。
　ラミアは逃げていく敵を標的にしていたが、標的をその少女にして液化しようとする。その瞬間、周りに高熱量の巨大な玉がいくつも発生する。
　これだけで、体の水分が蒸発しそうな高熱である。アミアは泥の水で壁をドーム状に作り、体を守る。
　俺は全魔力を使ってファイヤーボールを発現させる。それは巨大な火の玉ですでにファイヤーボールと呼べる代物ではない。
　巨大な火の玉は周囲の泥水を沸騰させている。それはラミアのドーム状の防御も同じである。
　俺はファイヤーボールをラミアの防御に撃ち込む。蒸気で視界が悪くなりどうなったのかわからない。しかし、ラミアの魔力の気配は健在である。
　さらにファイヤーボールを作り撃ち込む。俺は連続して撃ち込み続ける。泥沼全体が沸騰して熱気が襲って来る。
　俺は攻撃の手を休めて、ラミアに攻撃のチャンスを与えれば、液化で殺されると考え、必死に攻撃を続ける。泥沼は沸騰して泡立ち、高熱の泥が跳ねてくるが俺は熱さに耐える。
　とうとう、泥沼は干上がり、からからに乾いてしまう。すると温度が急激に上がりだす。俺は高熱に耐える。溶鉱炉の近くはこんな感じだろうか。
　蒸気が晴れて、ラミアの防御のドームが見えてくる。泥水の防御は乾燥して泥の壁に変わり見る影もない。ラミアの魔力も弱くなっている。
　防御がファイヤーボールによって崩される。ラミアの姿が見えるが水分が減ったのか小さくなっている。俺は攻撃の手を止めない。
　ラミアは倒れ、茶色のフードが燃え上がる。そして、炎の中に何かがうごめいているがファイヤーボールの攻撃の中で消えていく。
　俺はラミアの魔力の反応が消えたので攻撃をやめる。汗まみれになりながら立ち上がり、右手を突き上げると
　「勝ったぞー。」
と叫ぶ。そして、座り込み、水筒の水をがぶ飲みする。