勇者がアレなので小悪党なおじさんが女に転生されられました

ぽとりひょん

文字の大きさ
上 下
119 / 303
第4章 宮廷魔法士

第10話 聖剣

しおりを挟む
 カールハインツが俺に言う。
 「アニエス様、それは考えすぎではありませんか。」「そうかもしれませんが・・・」
俺は言いよどむ。この時、アニタが発言する。
 「カールハインツ様、嘘は良くありませんよ。」「私が嘘をついているというのかね。侮辱するつもりですか。」
 「私には嘘を嗅ぎ分けられます。獣人の鼻を甘く見ないでください。」
俺はアニタがはったりをかましていると考える。
 「私たちの調査には、真実を知る必要があります。ここで聞いたことは他言しません。領民のためにお願いします。」「私の領民を人質に取るのか。」
 「いいえ、ルマールを守るためです。」「アニエス様は領民を守ってくれるのですね。」
 「力を尽くします。」「お話しすることは他言無用でお願いします。もし話が広まればルマールは危険にさらされます。」
 「分かりました。アニタもいいわね。」「はい。」
カールハインツは深呼吸をすると話し始める。
 「聖剣を知っていますか。」「以前勇者が使っていたそうですね。」
 「その後どうなったか知っていますか。」「勇者は王都で余生を送りましたから、王都にあるのではないのですか。」
 「いいえ、ルマール男爵領のある村の中に隠されています。」「村人は知っているのですか。」
 「知りません。知っているのはルマール家の者だけです。」「魔族は知らないのですよね。」
 「知っていればルマールは戦場になっているでしょう。」「では、なぜ魔族は村を襲うのですか。」
 「私の想像ですが、魔族はどこかの村に聖剣が隠されていると考えていると思います。」「まさか、ブラバント男爵領の悲劇もそれで起こったのですか。」
 「そうだと思います。魔族は村々に探りを入れてこれだと思う村を襲っているのだと思います。」「ルマールでは氷獄のエスエと配下のアベルが倒されているので魔族が探りを入れているというわけですか。」
 「恐らくそうでしょう。」「これはきりがありませんね。聖剣を処分してはどうでしょう。」
 「何を言うのですか。」「勇者様の剣ですよ。守らないでどうするのですか。」
 「聖剣には特別な力があるのですか。」「分かりません。しかし、魔王を切った剣です。」
俺は聖剣を守ることに疑問を感じる。女神テイアに聞いてみることにする。
 (テイア様、聖剣は何か特別な力があるのですか。)(ないわよ。それよりちゃんとやっているのでしょうね。)
 (宮廷魔法士になっていますよ。)(ならいいわ。)
 (よくありません。今、聖剣を守ることになっているんですよ。)(頑張ってね。)
 (こら。聖剣のために魔族と戦うんだぞ。)(怒ってもしょうがないでしょ。聖剣は守ってもらわなければならないわ。)
 (ただの剣でしょ。)(業物よ。それに勇者の象徴なんだから。)
 (へぇ~、聖剣持ったら勇者らしくなるんだ。)(あの勇者、聖剣を使いこなせないと思うけど。)
 (ちょっと待て!使えないだって~)(あなたのそばに勇者の指導をしてくれる人がいるでしょ。)
 (その勇者、役に立つんだよな。)(まあ、決まっているし、それなりかな?)
俺はだんだん不安になって来るし、頭痛もしてくる。アニタが俺の顔を覗き込んで言う。
 「アニエス様、大丈夫ですか。」「考え事かな。」
 「カールハインツ様、魔族の動向調査を頑張ることにします。」「成果を期待しているよ。」
俺とアニタはルマール男爵邸から宿に戻る。宿には「アニエス様をあがめ隊」の面々がいる。宿を俺たちのいる宿に変えたらしい。アヒムが俺たちに言う。
 「アニエス様、何かわかりましたか。」「ええ、でも話すことはできません。」
 「分かりました。」「知りたくないのですか。」
 「俺らはアニエス様について行くだけです。」「ありがとうございます。」
う~ん、アヒムたちが元野盗とは思えないくらい頼もしい。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

処理中です...