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第3章 ルマールの地にて

第5話 地下の真実

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 御者の知らせで、衛兵と騎士団が駆け付けてくる。彼らはアニタがゲレオンを取り押さえているところを見て
 「お前たち何をしている。」「私はアニエス・ド・ボドリヤールです。少女を誘拐した犯人を取り押さえているところです。」
 「伯爵令嬢か。その方はゲレオン・ド・リッシュ子爵ですぞ。」「はい、少女を地下牢獄に閉じ込めている変態です。」
ゲレオンが怒鳴る。
 「お前たち、私は領主だぞ。分かっているのか。」「しかし・・・」
 「皆さん、証拠はあそこにあります。領主と一緒に処罰されますか。」
俺は言いながら床の大穴を指さす。騎士団長が俺に言う。
 「我々は、エマール王国の兵士です。真実を確かめてから判断します。」「何を言っている。私は国王に爵位を賜って領地を統治しているのだぞ。」
 「ならば、床の大穴を説明してください。」「私の知らないことだ。誰かが私をはめようとしているのだ。」
騎士団長は穴の中を調べるように指示を出す。兵が穴の中に降りて精げると30の牢屋があり、43人の少女が発見される。
 その中にはアネットの他、2人の貴族の令嬢がいた。少女たちは、街や村から連れ去られたり、さらわれ奴隷商に売られたりしていた。
 俺は、アネットに言う。
 「ネティー、大丈夫。」「頭がくらくらするわ。薬を使われたみたい。」
俺はアネットにヒールウインドをかけてみる。
 「ありがとう。楽になったわ。」「誰にさらわれたの。」
 「気づいたら牢の中にいたわ。ゲレオン様が笑って見ていたわ。」「アネット嬢、それは本当ですか。」「本当よ。」
騎士団長はアネットに確認すると部下に指示する。
 「ゲレオン・ド・リッシュ子爵を拘束しろ。」「はっ。」
騎士団長は俺たちに言う。
 「これは私たちの手に負えません。王都とボドリヤール伯爵に応援を要請します。数日、この街に滞在願えませんか。」「分かりました。」
3日後には、父、ジルベールが騎士団を率いて駆け付けてくる。
 「アニー、大変だったね。大丈夫かい。」「お父様、被害に遭ったのはアネットです。リッシュ子爵はアニタが取り押さえました。」
 「そうか、アニタよくやってくれた。」「ありがとうございます。」
王国の騎士団が来るのに1週間かかる。結局、俺たちは2週間街に足止めされた。
 少女たちは夜な夜なゲレオンに凌辱されていたらしい。地下と隠し通路には魔法無効化と隠ぺいの仕掛けがしてあった。
 俺もアネットも探知の魔法で屋敷を調べていたが地下を見つけられないのも当然である。アネットは俺が地下を見つけたことを疑問に思う。
 「アニー、どうやって地下を探知したの。」「すごく集中したからよ。前にも奴隷の倉庫の魔法無効化を破ったことがあるわ。」
 「私のために頑張ってくれたのね。」「ええ。」
俺は魔力が人の10倍あることは隠しておく。
 調査の結果、リッシュ子爵他2名の貴族と関係者が処刑される。しかし、調査の中で他国に売られていった者もいることが判ったが調査は打ち切られる。
 調査の中で分かったのは、俺とアニタには金を惜しまず手に入れようをする輩が少なからずいるということだった。
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