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第2章 上級魔法士
第2話 街に出る
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俺は翌日の午後からアニタを連れて街に出ることにする。アニタは俺の従者であるため木剣を背中にかけている。
初日なので館からあまり離れないようにして表通りを歩くことにする。俺は串焼きの屋台を見つけると串焼きを2本注文する。すると店の親父は
「お嬢ちゃん天使のようにかわいいからただでいいよ。」「いえ、しっかり代金は払います。」
「お嬢ちゃん、偉い、2本サービスしよう。」「ありがとうございます。」
俺は串焼きを2本アニタに渡して、歩きながら食べる。アニタが俺に注意する。
「アニエス様、はしたないですよ。」「アニタは食べないの。冷めちゃうよ。」
「いえ、いただきます。」「これでアニタも共犯ね。」
アニタは難しい顔をするが、串焼きがおいしいのか2本とも食べてしまう。
しばらく歩くと身なりのいい青年が声をかけてくる。
「お嬢さん、僕とお茶を飲みませんか。」「結構です。のどは乾いていませんわ。」
「串焼きを食べた後は飲み物が欲しいでしょ。」
確かに冷えたビールがあれば最高だ。
「私は散歩を楽しんでいるんです。邪魔しないでください。」「それなら僕と歩きましょう。」
青年は強引に俺の手を掴む。俺は引き離そうとするが振りほどくことはできない。まだ5歳児だから非力なのだ。
するとアニタが木剣で青年の腕を打ち据える。すると青年の護衛らしき男が剣を抜き構える。アニタはひるまない。
男に向かって行く。男は上段から剣を振り下ろす。その瞬間アニタは右に飛びながら剣をかわし、そのまま木剣を腹に打ち込む。
男はそのまま動かなくなる。アニタは青年を睨み木剣を向ける。青年は後ずさりながら叫ぶ。
「僕はランベルズ商会のディータだぞ。ただで済むと思うなよ。」「この方はアニエス・ド・ボドリヤール様です。無礼ですよ。」
「ボドリヤール伯爵の・・・」「ご息女です。」
「ごめんなさい。知らなかったのです。あまりにも可憐だったから・・・」「この件はジルベール様に報告します。」
ディータは青い顔をして、男を起こして去って行く。俺はアニタの強さと的確な対応に別人を見るような気がする。
アニタが2週間でここまで変わっているとは思っていなかった。騎士団長が欲しがるわけである。
トラブルで人が集まり注目を浴びてしまったので今日は帰ることにする。
屋敷に帰るとアニタはディータの件を父に報告するという。俺はどうでもいいことなので黙っていて欲しかったがアニタの立場を悪くするといけないので彼女に任せることにする。
アニタは父の所へ行き報告する。すると父は部屋を飛び出してきて俺に言う。
「アニー、ケガはないかい。」「大丈夫です。手を握られただけです。」
「何、それは許せん。怖い思いをしたね。」「私は大丈夫です。あまり、大事にしないでください。」
その時、ディータが父親を連れて屋敷を訪れる。
「ジルベール様、ランベルズ商会のベルント・ランベルズです。今日は愚息のディータがとんだ失礼を働き申し訳ございません。」「ベルント、商会が街の中で一番だと思っておごっているのではないかな。」
「そのようなことはございません。すべては私の教育が行き届かなかった結果です。」「そちらが娘に乱暴を働こうとした者か。」
「ディータ・ランベルズと申します。乱暴する気はございません。あまりにも可憐だったので親しくなりたかったのです。」「ずいぶん強引だったそうだな。」
「申し訳ありません。」「ふん、君には街から出ていってもらおうか。」
「ジルベール様、お許しを・・・」
父はかなり怒っているようである。しかし、このままだと街一番の商会の恨みを買うことになる。
「お父様、少し厳しいと思います。」「アニー、こうでもしないと私の気は治まらないよ。」
「私の好きなお父様はお優しい方です。」「この者たちにも優しくしろと言うんだね。」
「はい、ディータは父親から学んで商会を盛り上げ街の発展に貢献しなくてはなりません。」「仕方ないな。ベルント、息子はお前に任せる。励めよ。」
「ありがとうございます。ジルベール様、アニエス様。アニエス様の天使のような優しさにこのベルント、感服しました。今後アニエス様の力になることを誓います。」
これでボドリヤール伯爵に恨みを持つ者を作らずに済んだ。
初日なので館からあまり離れないようにして表通りを歩くことにする。俺は串焼きの屋台を見つけると串焼きを2本注文する。すると店の親父は
「お嬢ちゃん天使のようにかわいいからただでいいよ。」「いえ、しっかり代金は払います。」
「お嬢ちゃん、偉い、2本サービスしよう。」「ありがとうございます。」
俺は串焼きを2本アニタに渡して、歩きながら食べる。アニタが俺に注意する。
「アニエス様、はしたないですよ。」「アニタは食べないの。冷めちゃうよ。」
「いえ、いただきます。」「これでアニタも共犯ね。」
アニタは難しい顔をするが、串焼きがおいしいのか2本とも食べてしまう。
しばらく歩くと身なりのいい青年が声をかけてくる。
「お嬢さん、僕とお茶を飲みませんか。」「結構です。のどは乾いていませんわ。」
「串焼きを食べた後は飲み物が欲しいでしょ。」
確かに冷えたビールがあれば最高だ。
「私は散歩を楽しんでいるんです。邪魔しないでください。」「それなら僕と歩きましょう。」
青年は強引に俺の手を掴む。俺は引き離そうとするが振りほどくことはできない。まだ5歳児だから非力なのだ。
するとアニタが木剣で青年の腕を打ち据える。すると青年の護衛らしき男が剣を抜き構える。アニタはひるまない。
男に向かって行く。男は上段から剣を振り下ろす。その瞬間アニタは右に飛びながら剣をかわし、そのまま木剣を腹に打ち込む。
男はそのまま動かなくなる。アニタは青年を睨み木剣を向ける。青年は後ずさりながら叫ぶ。
「僕はランベルズ商会のディータだぞ。ただで済むと思うなよ。」「この方はアニエス・ド・ボドリヤール様です。無礼ですよ。」
「ボドリヤール伯爵の・・・」「ご息女です。」
「ごめんなさい。知らなかったのです。あまりにも可憐だったから・・・」「この件はジルベール様に報告します。」
ディータは青い顔をして、男を起こして去って行く。俺はアニタの強さと的確な対応に別人を見るような気がする。
アニタが2週間でここまで変わっているとは思っていなかった。騎士団長が欲しがるわけである。
トラブルで人が集まり注目を浴びてしまったので今日は帰ることにする。
屋敷に帰るとアニタはディータの件を父に報告するという。俺はどうでもいいことなので黙っていて欲しかったがアニタの立場を悪くするといけないので彼女に任せることにする。
アニタは父の所へ行き報告する。すると父は部屋を飛び出してきて俺に言う。
「アニー、ケガはないかい。」「大丈夫です。手を握られただけです。」
「何、それは許せん。怖い思いをしたね。」「私は大丈夫です。あまり、大事にしないでください。」
その時、ディータが父親を連れて屋敷を訪れる。
「ジルベール様、ランベルズ商会のベルント・ランベルズです。今日は愚息のディータがとんだ失礼を働き申し訳ございません。」「ベルント、商会が街の中で一番だと思っておごっているのではないかな。」
「そのようなことはございません。すべては私の教育が行き届かなかった結果です。」「そちらが娘に乱暴を働こうとした者か。」
「ディータ・ランベルズと申します。乱暴する気はございません。あまりにも可憐だったので親しくなりたかったのです。」「ずいぶん強引だったそうだな。」
「申し訳ありません。」「ふん、君には街から出ていってもらおうか。」
「ジルベール様、お許しを・・・」
父はかなり怒っているようである。しかし、このままだと街一番の商会の恨みを買うことになる。
「お父様、少し厳しいと思います。」「アニー、こうでもしないと私の気は治まらないよ。」
「私の好きなお父様はお優しい方です。」「この者たちにも優しくしろと言うんだね。」
「はい、ディータは父親から学んで商会を盛り上げ街の発展に貢献しなくてはなりません。」「仕方ないな。ベルント、息子はお前に任せる。励めよ。」
「ありがとうございます。ジルベール様、アニエス様。アニエス様の天使のような優しさにこのベルント、感服しました。今後アニエス様の力になることを誓います。」
これでボドリヤール伯爵に恨みを持つ者を作らずに済んだ。
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