同棲しているけど彼女じゃない~怨霊は恋のキューピット

ぽとりひょん

文字の大きさ
上 下
156 / 175

156話 夕食の誘い

しおりを挟む
 九郎たち4人は、ハイキング部へ行くことを諦めて帰ることにする。
 つよしが九郎に言う。
 「九郎が飲まれたっていう市松人形の呪いだけど、オカルト同好会の会長が封印を解いたらしいぞ。」「そんなこと警察が信じるかな。」
 「だから、原因不明で立ち入り禁止になっているんじゃないのか。」「そうだよな。誰も信じないよな。」
九郎は、自分が見る霊や妖は普通の人に見えないので存在を信じてもらえないのだと考える。
 今も、玉枝は姿が見えない状態で皆と一緒にいる。しかし、みんなからは認識されていないのだ。彼女はどんな気持ちでいるのだろう。
 九郎とあやめとつよしと美琴は大学を出ると別れる。その時、九郎のスマホが着信を告げる。一久からの電話だ。
 「九郎君、そろそろ大学からの帰りかな。」「そうです。ちょうど大学を出る所です。」
 「夕食を一緒に食べないか用意してあるんだ。」「分かりました。あやめに聞いてみます。」
九郎は歩きながらあやめに言う。
 「今日、家で夕食を食べないかって一久さんに誘われているんだ。」「私を家に連れ戻すつもり。」
 「そんな話はしていないよ。」「九郎は行くつもり。」
 「僕は賛成だよ。」「分かったわ。行きます。」
九郎は一久に返答する。
 「夕食ごちそうになります。」「それは良かった。待っているよ。」
九郎とあやめは手をつないで久沓神明社へ歩いていく。神社の坂を上り鳥居の所まで来ると玉枝が気配を強くして見えるようになる。
 あやめが家の引き戸を開けると一久が飛び出てくる。彼女は予測していたのか、一久を避ける。彼はそのまま玉枝に向かう。
 玉枝は一久の右腕とえりを取り払い腰で投げる。彼は抗議する。
 「親子の久々の対面に避けることないだろ。」「久々ではありません。」
あやめは取り合わない。一久はすぐに復活するとみんなに言う。
 「さあ、入って。夕食の準備はできているよ。」「お邪魔します。」
九郎たちは家に入り居間へ行く。居間には寿司が並んでいる。一久が注文したに違いない。彼は九郎に言う。
 「九郎君、あやめはちゃんとしているかい。」「はい。」
 「あやめはいつまで九郎君の所にいるつもりだい。」「ずうっとよ。九郎からは離れないから。」
 「玉枝さんはどうするつもりですか。」「あやめちゃんがいても構いませんわ。」
 「そうか、今のところうまくいっているのか。」「一久さんは、あやめに帰ってきてほしいのですよね。」
 「私は、九郎君にも一緒に来て欲しいと思っているよ。」「僕はまだアパートで暮らすつもりです。」
 「そうか、まだ話は付きそうにないね。」
一久は話を聞くだけで終わらせる。九郎は、一久がどこに着地点を求めているのか気になる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私は側妃なんかにはなりません!どうか王女様とお幸せに

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のキャリーヌは、婚約者で王太子のジェイデンから、婚約を解消して欲しいと告げられた。聞けば視察で来ていたディステル王国の王女、ラミアを好きになり、彼女と結婚したいとの事。 ラミアは非常に美しく、お色気むんむんの女性。ジェイデンが彼女の美しさの虜になっている事を薄々気が付いていたキャリーヌは、素直に婚約解消に応じた。 しかし、ジェイデンの要求はそれだけでは終わらなかったのだ。なんとキャリーヌに、自分の側妃になれと言い出したのだ。そもそも側妃は非常に問題のある制度だったことから、随分昔に廃止されていた。 もちろん、キャリーヌは側妃を拒否したのだが… そんなキャリーヌをジェイデンは権力を使い、地下牢に閉じ込めてしまう。薄暗い地下牢で、食べ物すら与えられないキャリーヌ。 “側妃になるくらいなら、この場で息絶えた方がマシだ” 死を覚悟したキャリーヌだったが、なぜか地下牢から出され、そのまま家族が見守る中馬車に乗せられた。 向かった先は、実の姉の嫁ぎ先、大国カリアン王国だった。 深い傷を負ったキャリーヌを、カリアン王国で待っていたのは… ※恋愛要素よりも、友情要素が強く出てしまった作品です。 他サイトでも同時投稿しています。 どうぞよろしくお願いしますm(__)m

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

御曹司の執着愛

文野多咲
恋愛
甘い一夜を過ごした相手は、私の店も家も奪おうとしてきた不動産デベロッパーの御曹司だった。 ――このまま俺から逃げられると思うな。 御曹司の執着愛。  

呪われた生贄王女は人質として隣国に追放されて、はじめての幸せを知る~男になりすましていたのに、隣国王子からの愛が止まらない?〜

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
アウローラ国の王女・ベッティーナは約十年間、小さな屋敷に閉じ込められていた。 呪われていると噂される彼女。実際、白魔法という精霊・天使を従えることのできる血が流れているはずが、彼女は黒魔法使いであり、悪霊・悪魔を従えていた。 そんな彼女に転機が訪れる。隣国・シルヴェリに生贄の人質として渡ることになったのだ。弟の身代わりであり男子になりすますよう命じられる、ベッティーナはこれを受ける。 作家になる夢があり、勉強の機会が増えると考えたためだ。 そして彼女は隣国の王子・リナルドの屋敷にて生活することとなる。彼は執事のフラヴィオと懇意にしており、男色疑惑があった。 やたらと好意的に接してくるリナルド王子。 彼に自分が女であることがばれないよう敬遠していた矢先、敷地内の書庫で悪霊による霊障沙汰が起こる。 精霊と違い、悪霊は人間から姿も見えない。そのため、霊障が起きた際は浄化魔法が施され問答無用で消されることが一般的だ。 しかし彼らが見えるベッティーナは、それを放っておけない。 霊障の解決を行おうと、使い魔・プルソンとともに乗り出す。 そんななかで、リナルド王子が協力を持ちかけてきて―― その後はやたらと好意的に接してくる。 はじめは疎ましいとしか思っていなかったベッティーナ。 しかし、やがて彼との関係が壮絶な過去により凍り付いたベッティーナの心を溶かしていく。 隣国の男色(?)王子と、呪われ王女が紡ぐロマンスファンタジー。

処理中です...