同棲しているけど彼女じゃない~怨霊は恋のキューピット

ぽとりひょん

文字の大きさ
上 下
146 / 175

146話 あやめの誘い

しおりを挟む
 夜、九郎のスマホに電話がかかってくる。あやめからだ。
 「こんばんわ、電話大丈夫。」「大丈夫だよ。」
 「みこがお父さんと日曜日にに会うことになったわ。」「決心がついたんだね。」
 「それで、日曜日、暇かな。」「用事はないよ。」
 「買い物したいから2人で出かけない。」「玉枝さんはどうするの。」
 「デートしたいの。」「分かった。2人で行こう。」
 「約束よ。」「朝10時に迎えに行くよ。」
九郎は、あやめがデートしたいと言ってくるのは初めてだと思う。そして、自分もまともに誘ったことが無いことに気づく。
 彼はこれまで周りに流されて付き合ってきたように感じる。それでもあやめをかわいいと思っていて、ずっと一緒にいたい気持ちは変わらない。
 九郎とあやめの周りは、2人が結婚するものと思っている。
 しかし、彼は玉枝のこともかわいいと感じ魅かれている。これは浮気心なのだろうかと思ったりしたが、本心であることに間違いない。
 あやめはそんな自分を許してくれるだろうか。自分は今、2人の女性に恋をしているのではないだろうか。
 「九郎ちゃん、どうしたの。」
玉枝が考え込んでいる九郎に声をかける。
 「玉枝さん、何でもないよ。あやめにデートに誘われたんだ。」「九郎ちゃんの方から誘わないとだめでしょ。」
 「そうだね。最近いろいろあったから・・・」「理由になってないわよ。」
 「じゃあ、玉枝さんをデートに誘ってみようかな。」「・・・バカ。」
玉枝は赤くなる。九郎はしまったと思い。
 「僕、もう寝るね。」
と言って、ベットに逃げ込む。玉枝はそんな九郎を見つめて独り言を言う。
 「バカなんだから。本気になったらどうするのよ。」
玉枝は気持ちを落ち着かせてから添い寝する。
 日曜日の午前10時、九郎はあやめの家のインターフォンを押す。
 一久が玄関の引き戸から顔を出そうとするが引きずり込まれる。そして、あやめが出てくる。
 「おはよう、九郎。」「おはよう、あやめ。」
2人は歩いてバス停に向かう。あやめが九郎に言う。
 「こうして出かけるの久しぶりね。」「そうだね。でも出会ってから半年ちょっとしか経っていないよ。」
 「いろいろあったわね。楽しかった?」
あやめは前かがみになって九郎の方に顔を向けて見上げるようにして言う。九郎はあやめはかわいいと思う。
 「楽しかったよ。あやめと出会えてよかったよ。」「うれしい。」
2人はバスに乗るとあやめは体を預けてくる。九郎は肩を抱く。バスがショッピングモール前に着くとバスを降りる。
 ショッピングモールでは早くも冬物が売られている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】婚約破棄されたので田舎に引きこもったら、冷酷宰相に執着されました

21時完結
恋愛
王太子の婚約者だった侯爵令嬢エリシアは、突然婚約破棄を言い渡された。 理由は「平凡すぎて、未来の王妃には相応しくない」から。 (……ええ、そうでしょうね。私もそう思います) 王太子は社交的な女性が好みで、私はひたすら目立たないように生きてきた。 当然、愛されるはずもなく――むしろ、やっと自由になれたとホッとするくらい。 「王都なんてもう嫌。田舎に引きこもります!」 貴族社会とも縁を切り、静かに暮らそうと田舎の領地へ向かった。 だけど―― 「こんなところに隠れるとは、随分と手こずらせてくれたな」 突然、冷酷無慈悲と噂される宰相レオンハルト公爵が目の前に現れた!? 彼は王国の実質的な支配者とも言われる、権力者中の権力者。 そんな人が、なぜか私に執着し、どこまでも追いかけてくる。 「……あの、何かご用でしょうか?」 「決まっている。お前を迎えに来た」 ――え? どういうこと? 「王太子は無能だな。手放すべきではないものを、手放した」 「……?」 「だから、その代わりに 私がもらう ことにした」 (いや、意味がわかりません!!) 婚約破棄されて平穏に暮らすはずが、 なぜか 冷酷宰相に執着されて逃げられません!?

呪われた生贄王女は人質として隣国に追放されて、はじめての幸せを知る~男になりすましていたのに、隣国王子からの愛が止まらない?〜

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
アウローラ国の王女・ベッティーナは約十年間、小さな屋敷に閉じ込められていた。 呪われていると噂される彼女。実際、白魔法という精霊・天使を従えることのできる血が流れているはずが、彼女は黒魔法使いであり、悪霊・悪魔を従えていた。 そんな彼女に転機が訪れる。隣国・シルヴェリに生贄の人質として渡ることになったのだ。弟の身代わりであり男子になりすますよう命じられる、ベッティーナはこれを受ける。 作家になる夢があり、勉強の機会が増えると考えたためだ。 そして彼女は隣国の王子・リナルドの屋敷にて生活することとなる。彼は執事のフラヴィオと懇意にしており、男色疑惑があった。 やたらと好意的に接してくるリナルド王子。 彼に自分が女であることがばれないよう敬遠していた矢先、敷地内の書庫で悪霊による霊障沙汰が起こる。 精霊と違い、悪霊は人間から姿も見えない。そのため、霊障が起きた際は浄化魔法が施され問答無用で消されることが一般的だ。 しかし彼らが見えるベッティーナは、それを放っておけない。 霊障の解決を行おうと、使い魔・プルソンとともに乗り出す。 そんななかで、リナルド王子が協力を持ちかけてきて―― その後はやたらと好意的に接してくる。 はじめは疎ましいとしか思っていなかったベッティーナ。 しかし、やがて彼との関係が壮絶な過去により凍り付いたベッティーナの心を溶かしていく。 隣国の男色(?)王子と、呪われ王女が紡ぐロマンスファンタジー。

慟哭の螺旋(「悪役令嬢の慟哭」加筆修正版)

浜柔
ファンタジー
前世で遊んだ乙女ゲームと瓜二つの世界に転生していたエカテリーナ・ハイデルフトが前世の記憶を取り戻した時にはもう遅かった。 運命のまま彼女は命を落とす。 だが、それが終わりではない。彼女は怨霊と化した。

私は側妃なんかにはなりません!どうか王女様とお幸せに

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のキャリーヌは、婚約者で王太子のジェイデンから、婚約を解消して欲しいと告げられた。聞けば視察で来ていたディステル王国の王女、ラミアを好きになり、彼女と結婚したいとの事。 ラミアは非常に美しく、お色気むんむんの女性。ジェイデンが彼女の美しさの虜になっている事を薄々気が付いていたキャリーヌは、素直に婚約解消に応じた。 しかし、ジェイデンの要求はそれだけでは終わらなかったのだ。なんとキャリーヌに、自分の側妃になれと言い出したのだ。そもそも側妃は非常に問題のある制度だったことから、随分昔に廃止されていた。 もちろん、キャリーヌは側妃を拒否したのだが… そんなキャリーヌをジェイデンは権力を使い、地下牢に閉じ込めてしまう。薄暗い地下牢で、食べ物すら与えられないキャリーヌ。 “側妃になるくらいなら、この場で息絶えた方がマシだ” 死を覚悟したキャリーヌだったが、なぜか地下牢から出され、そのまま家族が見守る中馬車に乗せられた。 向かった先は、実の姉の嫁ぎ先、大国カリアン王国だった。 深い傷を負ったキャリーヌを、カリアン王国で待っていたのは… ※恋愛要素よりも、友情要素が強く出てしまった作品です。 他サイトでも同時投稿しています。 どうぞよろしくお願いしますm(__)m

処理中です...